利己的な遺伝子
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利己的な遺伝子
The Selfish Gene
著者
リチャード・ドーキンス
発行日 1976年
1980年
発行元オックスフォード大学出版局
ジャンル進化生物学進化生態学
イギリス
言語英語
形態著作物
次作延長された表現型 : 自然淘汰の単位としての遺伝子
コードISBN 978-0198-57519-1 .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}OCLC 2681149

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利己的遺伝子(りこてきいでんし)とは、自然淘汰されるものは個体ではなくその遺伝子であるという、現代進化論進化生物学における比喩的表現[1][2]。これはリチャード・ドーキンスが用いた表現であり、より自己増殖に有利な働きをする遺伝子がより生存することを意味する[1]。利己的遺伝子論は、自然選択生物進化を遺伝子中心の視点で理解することであり、遺伝子選択説もほぼ同じものを指す。

ドーキンスの生物学書『利己的な遺伝子』について、2018年に進化生態学者岸由二は本書を名著と呼び四〇年を生き抜いた本書は、現代の進化論的生態学の視野をみごとに紹介する学術書、当該分野の研究・批評を志す者の必読の入門書として、評価も確定したと述べている[3]。2016年『ゲノム生物学(Genome Biology)』の論説によれば、本書はダーウィンの進化論を論理的に結論づけた本であり、おそらく本書の不朽の重要性を最も良く示しているのは、何世代もの科学者たち──この論説の著者らを含む──への圧倒的な影響力であり、本書は科学者たちを刺激して遺伝学ゲノム科学進化論を探求させた[4]。同年『ネイチャー』における科学ジャーナリストマット・リドレーによればドーキンスが支持して具体化した遺伝子中心の進化観は今や、進化論においても、野生動物ドキュメンタリー番組など一般向けの自然史解説においても、中核をなしている[5]
概要

百科事典マイペディア』によると現代において、生物を「遺伝子の乗り物」とする論(利己的遺伝子論)は多大に影響している[6]。なお、この文脈での遺伝子の利己性は他の遺伝子に対する関係であり、生物が利己的に行動するとは限らない[1]。利己的な遺伝子の働きは、生物の利他的行動を成り立たせてもいる[1]

例:一見すると個体の直接的利益にならないような利他的な行動は、社会性昆虫などにしばしば見られる[7]不妊働きバチの利他的行動を利己的遺伝子論から見ると、これは自分の遺伝子に近い子孫を女王バチに生ませる行動である[7]

『利己的な遺伝子』によれば、遺伝子に比べて生物個体は不安定であり、遺伝子(のコピー)は個体が老衰を迎える前に、次世代の個体へと乗り移っていく[8][注釈 1]
遺伝子の乗り物/生存機械

2003年数理社会学会『理論と方法』の論文は、進化ゲーム理論分子生物学を論じる中で.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}生物においても、個体はいわば遺伝子の乗り物である

と述べている[10]。『利己的な遺伝子』によれば、生物は「遺伝子のヴィークル〔乗り物〕」と表現可能であり、それは遺伝子が退出する経路を持っている[11]。その経路とは生殖細胞であり、より具体的な例では卵子精子である[11]。次のようにも書かれている:

私たちが最もよく知っているヴィークル〔乗り物〕は、私たち自身のような個体の体だ。したがって、体は自己複製子〔自分自身のコピーを作るもの〕ではなく、ヴィークルなのだ。〔…〕ヴィークルはそれ自身では複製しない。その自己複製子を増殖させるように働く。自己複製子は行動せず、世界を知覚せず、獲物を捕らえたり捕食者から逃走したりはしない。自己複製子は、ヴィークルがそういったことすべてをするように仕向ける。[12]

同書によると、生物は長命な遺伝子の束の間の連合によって作られた生存機械

だとも言える[13]。2017年『神経治療学』の論文では、生物と動物の違いについて要約すると,素早く動くという手段を手に入れて有利に遺伝子を残そうとした生存機械が動物である

とされている[14]
遺伝子と生存機械(乗り物)の起源

現代の進化生物学の考えでは、かつて30?40億年前の海洋──原始のスープ──において、分子レベルの化学反応が数億年かけて繰り返される中で、自らを複製する分子──すなわち、自己複製子としての分子──が偶然現れた[15]。自己複製子の内、淘汰を免れて化学的な外被をまとった分子が、現代生物学では遺伝子と呼ばれている[16][注釈 2]

自己複製子が行う自己複製は完璧ではなく、誤りが発生することがある[18]。特に発生当初の未発達な自己複製子は、今よりも誤りが多かったと考えられている[19]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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