利他的行動
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利他的行動(りたてきこうどう、: Altruism)は、進化生物学動物行動学生態学などで用いられる用語で、ヒトを含む動物が他の個体などに対しておこなう、自己の損失を顧みずに他者の利益を図るような行動のこと。理想的には、利益は適応度で計られる。行動の結果だけで判断され、目的や意図は問わない。利他的行動の進化は動物行動学などで長く議論の対象となっている。利己的行為の対義語としても用いられる。行動の進化の文脈では、同じ意味で協力行動(Co-operation)が使われることもある。
行動の分類

ハミルトンは適応度に与える効果によって行動を次の四つに分類した。

利己的行動?行為者が利益を得、被行為者がコストを負担する(または被害を受ける)。

利他的行動?行為者がコストを負担し、被行為者が利益を得る。

相利行動?行為者と被行為者のどちらも同時に利益を受ける。

いじわる行動?行為者がコストを負担し、被行為者が不利益を被る。

行動の効果を長期的に計測することは困難であるために、ふつうは短期的に何らかの種類の利益(えさや縄張り、配偶者など)を得られたかどうかで判断される。
利他的行動の例

動物の利他的行動はさまざまな場面で見られる。代表的なのは、親が子を守る場合や、集団を作る動物の社会的な行動である。
親による子の保護

利他行動の代表的な例が、親の投資と呼ばれる、親による子の保護や子育てである。雌親が子を守るために時には命懸けの行動を取ることは母性愛や母性的行動と呼ばれるが、雄親がそのような行動をとる場合もある。たとえばチドリなどの鳥では、天敵が卵や雛のいる巣に近づいた際に、親が囮となり、傷ついているかのようにその目の前に姿を見せ、遠くへ誘導する偽傷行動を行う。さらに極端な例としては、カバキコマチグモのように、雌親が子供に自分の体を食わせてしまう生物もいる。そこまで極端ではなくとも、親が子を保護する場合、それがほんのわずかであっても労力を割いているのは確実である。ヒトの価値観から見れば子育ては利他的とは見なしにくいが、自己の損失と他者の利益という利他行動の定義を満たしている。
配偶者の保護と防衛

配偶者を守る行動も見られる。これは配偶者があってこそ自らの子が得られるので、間接的に自分の子を守る行動と同じと考えられる。しかし現在では雌雄間に利害の対立があることもわかっており、配偶者の保護が必ずしも利他行動と呼べるわけではない。たとえばヤドカリの中には交尾したあと配偶者をつかんで持ち運ぶ種がいるが、これはメスが他のオスと交尾するのを阻止する目的もある。
子が親・その他の血縁者を守る場合

子が親のために尽くすような行動が見られる場合もある。アリやハチなど社会性昆虫では働きアリ(バチ)が女王の世話をし、その子供を育てる。同様に、親の手助けをして親の子の世話をする行動は鳥などにも見られ、ヘルパーと呼ばれる。また、これらの例では親の育児を手伝うのだから、兄弟姉妹に対する利他行動とも言えるが、親以外の個体の子育てを手伝う場合もある。この場合ヘルパーは親(巣の主人)が死んだ後にその縄張りを受け継いだり、子育ての方法を学ぶことによって結果的に自己の適応度を高めている利己行動だという指摘もある。
社会的な行動

群れをつくって暮らす動物の場合、群れの中で一定の役割を演じる為に、その個体にとっては利益になりそうにない行動が観察される場合もある。

例えばサルやシカの群れでは、見張り役がある程度決まっていて、敵が近づいたのに気づくと警戒音を発するなどの目立つ行動をとる事で群れの他個体にこれを知らせる。また、リーダーが敵に対峙して他の仲間を守る行動をとる場合もある。ただし、警戒を発する行動が、その個体にどの程度の危険を増やすかを見積もるのは難しい。
協同作業

ライオンのように群れで獲物を狩る肉食獣では、おとりとして脅かして追う係と追われて来た獲物を捕まえる担当に分かれている場合もある。この場合、追う係は獲物を捕らえることができない、という意味では利他的である。社会性昆虫にもこのような労働や作業の分業が見られる例もある。

特に深い関係があるとも思えない個体間での協同作業が見られる場合もある。古くはタマコロガシが二頭で大きい玉を転がすことが知られていたが、ファーブルはこれが観察の誤りで、糞玉泥棒であると述べている。他方、彼はシデムシについては一つの死体に任意に集まった複数個体が群がり、それを地面に埋めること、その際に埋めにくい条件に置くと、協同作業で埋められるようにすることを観察している。このような行動の場合、それぞれの個体にその配分があるのであれば、利他的とは言えないと思われる。
同種や他種の保護ラロトンガ島にて、ザトウクジラが人間をイタチザメから守ろうとしているのではないかと推測されることもある観察例[1]

ザトウクジラシャチの捕食を妨害したりシャチを攻撃し、同じザトウクジラだけでなく数々の他の鯨類鰭脚類魚類などを保護したり守ろうとしていることが多数報告されており、同じザトウクジラに対する救援よりも他の生物を救助しようとする事例の方が多く記録されてきた[2]

しかし、現状ではこれらの行動の理由がシャチに対する敵対心や、シャチを攻撃することで何らかの利益がザトウクジラ側に存在するのか、それとも実際に利他的な心情故の行動なのかは厳密には明らかになっていない[2]

鯨類には同種または別種への利他的行動とも取れる行動を行う事例はザトウクジラ以外にも報告されており、たとえばミナミセミクジラが同種の子供やザトウクジラの子供の保護とも取れる行動を見せたり[3][4]マッコウクジラの未成熟の雄がシャチの群れに襲われるマッコウクジラの雌と子供の群れを救助して共に脱出したり[5]奇形ゆえに群れから脱落したと思わしいハンドウイルカにマッコウクジラの群れが寄り添っていた[6]等のケースが確認されている。
利他的行動の進化

利他的行動は、一見すると自然選択説と直接に対立するように思われる。生物はあらゆる時間あらゆる場所で競争を行っており、生存と繁殖成功度を増大させる行動は集団中に増加し、減少させる行動は集団から取り除かれるはずである。したがって、現在見られる生物は競争に生き残るために自分自身にとって有利な形質を多く持っているはずである。たとえ損失がわずかでもあっても、行為者の適応度を低下させるならその行為は進化の過程で取り除かれるはずで、動物の行動はすべてが利己的なものだと予測できる。しかし実際にはそうではない。

その中では子供を守る行動は比較的理解しやすい。子供を成長させることができなければ、親がいくらうまく生き延びてもその形質が受け継がれることはない。自然選択から考えても、親による子の保護は当たり前のことに思える。

自分の子を守る以外の行動については、それを説明するいくつかの説が出されてきた。代表的なものを以下に挙げる。現在では互恵的利他主義と血縁選択説による説明が一般的であるが、かならずしもその二つで全ての利他行動が説明できるわけではなく、正確にはその二つは利他的行動が進化する条件の説明である。また説明困難な利他行動と思われた行動が実は利己行動だと判明した例もある。
群選択「群選択」も参照

これは、自然選択によって増減する単位を集団に求める考え方である。つまり、種(個体群)にとって有利になるような習性や行動は、個体にとっては不利でも、その集団を有利にするから自然選択によって進化すると考える。

例えば、群れの見張りをする個体は、率先して目立つ行動を取るために危険であると考えられる。したがって、そのような行動を取らない方が有利であるように考えられる。しかし、群れを単位として考えれば、見張りを置く群れは、それを持たない群れに比べて危険を素早く察知して逃げ出せるから、群れとしてははるかに生き延びる可能性が高いであろう。したがって、そのような個体を含む集団はそうでない集団に対して有利であるから、自然選択によって頻度が増大するであろう。

この説は一見するとわかりやすいように思えるが、子を残すのは種ではなく個体である。利他行動が個体の適応度を低めるのであれば、たとえその行動が種や群れ全体のためになろうとも、個体は(利他行動ごと)排除されると考えられる。反乱者による瓦解(利他行動を取らない個体が生まれれば、他個体の利他行動にただ乗りして数を増やし、群れで多数派となる)の可能性が常にあり、進化的に安定ではない。群選択説が全盛であった頃は、利他的行為は「種の存続ため」という視点で説明されてきた。


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