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出典検索?: "列車防護無線装置"
列車防護無線装置(れっしゃぼうごむせんそうち、英: Train protection radio equipment)は、鉄道信号の発報信号で、鉄道において緊急時に列車から無線信号を発信し、付近を走行する列車に停止信号を現示して列車を停止させ、二次事故を防止するための装置。1962年(昭和37年)に発生した三河島事故をきっかけに開発された[1]。単に「防護無線」「防護無線装置」と呼ばれることもある。 本来、列車の運転士は、列車の故障や脱線、線路上での支障、異音感知、列車分離、人身事故など緊急の異常などで、列車を急遽に停止させる必要がある場合には、後から進行してくる列車を停止させる列車防護[2]を行うが、それを行っている間に列車が接近して来た場合では、列車防護の時機を失う恐れがある。そこで、乗務員が乗務員室に設置されている防護無線装置のボタンを押すことで、装置から非常信号を乗せた電波を発射し(発報という)、近隣でこの電波を受信した他の列車の防護無線装置が警報(“ピピピピ…”という警報音)を発する。走行中の列車がこの信号を受信し、装置が鳴動した場合には、運転士は必ず列車を停止させる様に運行規則等で義務付けられている。これにより、事故や支障の起きている現場に列車が進入するのを防ぎ、二次事故を未然に防ぐ。 信号を受信して停止した列車においては、車掌が車内放送で乗客に「ただいま非常停止信号を受信しました。原因を調べております」と案内する場合が多い。「非常停止信号」については「危険を知らせる信号」や「列車を緊急に停止させる信号」などと言い換えられることもある。 なお、列車防護無線装置はあくまでも緊急の列車防護であり、列車の故障や脱線、線路上での支障などで列車を急遽に停止させる必要がある場合には、それを行った後に列車防護を行うのが望ましいとされている。発報した乗務員は、運転指令所等と連絡をとり、指示を受けた上で装置を復位して発報を止める。一方、信号を受信して停止した他の列車は、信号が無現示となっても直ちに運転を再開せず、以後指令所の指示を仰いで運転を再開する。 防護無線は自動列車停止装置や自動列車制御装置とは違い、鳴動することで乗務員に対して列車停止の指示を現示する装置である。具体的に停止させるための制動操作を行うのは運転士であり、信号を受信することで自動的に列車にブレーキがかかるものではない。また、JRで導入している防護無線では、防護無線装置固有の識別番号から車両を特定することは可能だが、運行中のどの便がどこで発報したのかは直ちに分からない上、危険の原因を特定する情報なども含まれておらず、指令所からの一斉同報を待つ必要がある。 防護無線の電波が届く範囲は発報地点から半径約1 - 2 km圏内とされ、この範囲では別の路線の車両も発報を受けて緊急停止する。これは路線が併走する箇所等で事故が発生した際、並走する路線を走る他の列車が事故現場に冒進するのを防ぐためである。一方で、路線が過密に入り組む大都市圏などでは、事故の発生している路線とは全く関係のない別の路線の列車にも電波が届いて運行に影響を及ぼすことがあり、また高架など見通しの良い場所で発報した場合にはより遠くまで電波が届いて想定外の広範囲に影響を及ぼすことがある。 防護無線装置の機種によっては、通常は車両より給電を受けて動作し、停電時には電源を切りかえる操作を必要とするものがある。JR福知山線脱線事故では、この操作を行わずに発報ができなかったことが明らかになり、以後は停電時でも特別な操作なしに発報ができるように改修が進められている。 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生時には、筑波山と田無にあるNTTの鉄塔から強力な防護無線が発報されたため、東北から関東にかけての非常に広い範囲で防護無線が扱われた[3]。 防護無線は、1962年5月3日に常磐線三河島駅で発生した列車脱線多重衝突事故(三河島事故)を教訓に整備が進められた[1]。
概要
導入と整備
導入の経緯