分離主義(ぶんりしゅぎ)は、国内における民族的、宗教的、人種的な少数派が中央からの分離独立を目指すことを指す。 対応は、その国の情勢次第である。独立を認めることもあるし、自治権で妥協させることもある。また実力で封殺することもある。あるいは、自主財源がないなどの理由で、大きな声にならないこともある。 ナイジェリアにおけるビアフラやロシアにおけるチェチェンのように、一度独立を宣言した勢力を内戦の末に滅ぼすこともある。 国際的に承認されていないソマリランド、イタリア北部の独立を掲げるイタリアの政党・同盟のように、経済的な理由(利益配分の不均衡など)から分離独立を実行したり、主張したりするケースもある。ユーゴスラビア紛争は、民族的・宗教的対立の他に、鉱工業地帯がスロベニアやクロアチアに集中していたことにより、ここからの利益の再分配が対等に行われていない(利益が農業地帯であるセルビアなど他地域に取られてしまう)、という両国の不満も原因の一つとなっている。 ある国における分離独立運動を、その国と対立関係にある国や勢力が支援・煽動することもある。例として などが挙げられる。
概要
エリトリア、東ティモール民主共和国、南スーダン:長い独立闘争の末国内外の承認を勝ち取ったものであり、後は国家運営を軌道に乗せるだけである。
コソボ共和国、ソマリランド共和国、アルツァフ共和国、アブハジア、沿ドニエストル、南オセチア:独立闘争の末実効支配を行っているが、国際社会の多数派からは承認されていない(事実上独立した地域)。
スペインのバスク地方・カタルーニャ州、イギリス・北アイルランド:中央政府は自治権を付与している。ハト派は納得しているが、タカ派は武装闘争を厭わない。
中華人民共和国におけるチベット(チベット独立運動)・東トルキスタン(東トルキスタン独立運動)・内モンゴル自治区・香港(香港独立運動)、イスラエルにおけるパレスチナ、イラク北部及びトルコのクルド人地域、アンゴラにおけるカビンダ:実力装置を使って独立派を摘発したり、多数派住民の入植を進めて先住民を少数派にしようとする。
イギリスにおけるスコットランド(スコットランド独立運動)、カナダにおけるケベック州(ケベック独立運動)。普段は独立論は強くならないが、差別問題が起きれば、強くなる。
日本における琉球民族。詳細は琉球独立運動を参照。
分離工作
2014年のウクライナにおけるドンバス地方独立運動のロシアによる支援[1]
日本における沖縄独立運動の中国による支援[2][3]
類型
民族型分離主義
アフリカAK-47ライフルを持つケニアのオロモ人解放戦線2011年の南部スーダン独立住民投票
アフリカでは何百もの民族的集団があり[4]現在は54カ国の枠組みに組み込まれているが、しばしば民族自決などの分離主義紛争に帰結することがある[5]。例えばアンゴラ、アルジェリア、ブルンジ、ナミビアのカプリビ回廊、エチオピアの、コンゴ共和国とコンゴ民主共和国、スーダンのダルフール、セネガル、南アフリカ、ウガンダ、西サハラ、ジンバブエなどの地域がそのような状況を呈している。
ナイジェリアにおける1960年代のイボ人、ハウサ人、ヨルバ人の間で起こったビアフラ戦争はビアフラが分離独立を宣言したことから勃発したが、現在でもニジェール川デルタにおける民族及び石油資源の所有をめぐる対立が継続している。
リベリアにおけるアフリカ系リベリア人と奴隷貿易によりアメリカに移送され解放・帰国したアメリカ系リベリア人の対立
南アフリカにおけるボーア人、アフリカーナー系分離主義
トゥアレグ族分離主義(ニジェール、北部マリにおけるアザワドなど)
コモロにおけるアンジュアン島及びモヘリ島分離主義
アンゴラにおけるカビンダ
ソマリランド共和国:独立闘争の末実効支配を行っているが、国際社会の多数派からは承認されていない(事実上独立した地域)。
アジア2017年9月国民投票直前のイラン系クルド人による分離独立賛同派デモ
ソビエト連邦解体後の中央アジア周辺地域では、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタンなどそれぞれ民族自治に基づく国家が成立している。
キプロスにおけるトルコ系分離主義(北キプロス)
ジョージアにおける南オセチアとアブハジア分離主義
アゼルバイジャンにおけるナゴルノ・カラバフのアルメニア人分離主義(アルツァフ共和国)