分娩後出血
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分娩後出血
別称分娩後異常出血

非空気圧抗ショック衣類 (NASG)
概要
診療科産科
症状出産後の多量失血、失血に伴う頻脈・血圧低下・呼吸数増加[1][2]
原因子宮弛緩、胎盤停滞子宮破裂出血傾向[2]
危険因子貧血アジア人多胎妊娠肥満、40歳以上での出産[2]
予防オキシトシン投与、ミソプロストール投与[2]
治療輸液、NASG、輸血エルゴタミン投与、トラネキサム酸投与[2][3]
予後死亡率 3 % (発展途上国)[2]
頻度870万人(全世界)[4]・出産数の1.2%(発展途上国)[2]
死亡数・83,100 (2015)[5]
分類および外部参照情報
Patient UK分娩後出血
[ウィキデータで編集]

分娩後出血 (ぶんべんごしゅっけつ)、または 分娩後異常出血 (ぶんべんごいじょうしゅっけつ、: postpartum hemorrhage, PPH)とは、分娩後24時間以内の出血量が500 ml以上または1,000 mlであること[2]。この出血に加え、低血圧の兆候や症状が存在することである[6]
解説

分娩に伴う出血は避けられないものだが、その量が異常に多い場合、母体に様々な影響が出てくる。最初に診られる兆候や症状は、心拍数の上昇立ち上がる際のめまい、呼吸回数の上昇である[1]。出血量が増えると寒気を感じ、血圧がさがり、落ち着きがなくなるまたは意識をなくすこともある[1]。出産後6週間以内に起こりえる症状である[6]
原因と対策

最も一般的な分娩後異常出血の原因は、出産後の子宮弛緩である[2]。他に、胎盤停滞(遺残胎盤)、子宮破裂血液凝固なども原因となり得る[2]。 一般的に分娩後出血が起こりやすい人の特徴は赤血球が少ないアジア系、巨大児を妊娠していた、または双子以上を妊娠していた肥満、妊婦が40歳以上などが挙げられる[2]。さらに帝王切開、分娩促進薬の使用、会陰切開をした人にもよく見られる[2]

予防は既知のリスク要因を減らすこと、すなわち、リスクのある分娩法を可能限り避けることや、分娩直後に子宮を収縮させるオキシトシンを投与することである[2]。設備が乏しい場合はオキシトシンの代わりにミソプロストールが用いられることもある[2]。治療には、点滴、輸血エルゴタミンでさらに子宮を収縮させることである[2]。もし他の治療の効果が診られなかった場合、子宮を手で圧迫するのも効果的である[2]。腹部を押して大動脈を圧迫するのも効果的である[2]。世界保健機関は手術の可能な場所への搬送などに非空気圧抗ショック衣類の使用を推奨している[2]。 2017年の研究ではトラネキサム酸による女性の死亡リスクの減少がみられた[3]
疫学

開発途上国では出産の約1.2%の女性に分娩後異常出血が起こり、そのうちの3%の女性が死に至る[2]。世界的には年間約8,700,000件のうち44,000人から86,000人が亡くなっており、妊娠による死亡で最も多い原因である[7]。 英国では100,000人中約0.4人の女性が分娩後異常出血で死亡しており、サブサハラアフリカでは100,000人中約150人の女性が分娩後異常出血で亡くなっている[2]。英国では遅くても1800年代から死亡率は大きく減少している[2]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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