出家とその弟子
初版本表紙(函)
作者倉田百三
国日本
言語日本語
ジャンル戯曲
幕数序曲と6幕(13場)
初出情報
初出『生命の川』
発表年月日1916年(大正5年)11月
刊本情報
出版元岩波書店
出版年月日1917年(大正6年)6月
総ページ数293
初演情報
場所京都大丸ホール
『出家とその弟子』(しゅっけとそのでし)は、倉田百三による戯曲である[1][2][3][4]。序曲と6幕13場からなり[1][3][5]、鎌倉時代の僧親鸞とその弟子唯円を中心に[5][6]、人間の罪、愛欲などを描く[6][7]。1916年(大正5年)から同人誌『生命の川』で連載され、1917年(大正6年)に岩波書店から出版された[4][6][7][8]。1919年(大正8年)にエラン・ヴィタール小劇場によって[9][10][11][12]京都大丸ホールで初演された[9]。
『歎異抄』をベースにしつつ、一燈園やキリスト教の思想の影響も強く受けているとされる[13][14]。発表直後から史実の親鸞を歪曲しているなどとして批判も受けたが[15][16]、当時の青年からは熱狂的に支持されて大ベストセラーとなり[1][6][8]、大正後期の日本の文芸界に、宗教文学、とりわけ親鸞を扱った文芸作品が相次いで出版される「親鸞ブーム」を引き起こした[6][17]。世界各国で翻訳され[3][18][19]、ロマン・ロランが絶賛したことでも知られる[2][3][20][21]。 失恋と病、第一高等学校退学などの挫折を経験し[22]、姉二人や祖母の相次ぐ死を受けて執筆された倉田百三の代表作である[11][23]。学生時代に薫陶を受けた西田幾多郎の哲学や、闘病中に救いをもとめたキリスト教や仏教、さらに一時期身を寄せた一燈園での経験などが投影されている[24]。1916年(大正5年)11月から翌1917年(大正6年)4月にかけて同人誌『生命の川』で第四幕第一場までが連載され、1917年(大正6年)6月に岩波書店から全編が出版された[4][6][7][8]。『歎異鈔』に代表される[25]親鸞の思想を下敷きとした[6]仏教文学の一つとされるが[26]、「祈り」などキリスト教的な要素も見られる[25][27]。 物語は、浄土真宗の開祖親鸞と愛弟子唯円、親鸞の息子善鸞を主要登場人物として[26][27][28]、親鸞・善鸞親子の葛藤と、唯円の恋愛と信仰の摩擦を軸に展開する[29]。人妻との道ならぬ恋から親鸞に義絶された善鸞は、本心では父と会いたいと願っており、親鸞も我が子を愛しながらもゆるすことができずにいる[30]。
概要