出入国管理令
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

出入国管理及び難民認定法

日本の法令
通称・略称出入国管理法、入国管理法、入管難民法、入管法
法令番号昭和26年政令第319号
効力現行法
種類外事法
主な内容出入国の管理、難民の認定
関連法令外国人登録法旅券法領海外国船舶航行法
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出入国管理及び難民認定法(しゅつにゅうこくかんりおよびなんみんにんていほう、昭和26年政令第319号)は、出入国管理制度(日本国への入国・帰国、日本国からの出国、外国人の日本国在留に関する許可要件や手続、在留資格制度、出入国在留管理庁の役割、不法入国や不法在留に関する罰則等)、並びに難民条約及び難民議定書に基づく難民認定制度等を定めた日本の法令である。
目次

1 沿革

2 入管法の規定の概要

3 主な改正

3.1 難民認定手続への対応(1982年)

3.2 在留資格の再編(1990年)

3.3 フーリガン対策(2001年)

3.4 出国命令制度の創設(2004年)

3.5 難民審査参与員制度の導入(2005年)

3.6 入国審査での指紋採取・写真撮影(2007年)

3.7 外国人登録制度の廃止と新たな在留管理制度の導入(2009年)

3.8 在留資格と上陸審査の緩和(2014年)

3.9 在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設(2018年)


4 下位法令

5 関連法令

6 脚注

7 関連項目

8 外部リンク

沿革

いわゆるポツダム命令の一つとして出入国管理令の題名で1951年(昭和26年)10月4日に公布、同年11月1日に施行された[1]。ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律(昭和27年法律第126号)第4条の規定により、日本国との平和条約発効日(1952年(昭和27年)4月28日)以降も「法律としての効力を有する」との存続措置がとられたため、法令番号は政令のままであるが法律の効力を有するものとして扱われており、以後の一部改正もすべて法律により行われている。日本国の難民条約・難民議定書への加入に伴い1982年(昭和57年)1月1日に題名が現在のものに改められた。

形式は政令だが効力は法律同等、題名の末尾は「法」ではあるが「法律」ではない、など特殊な経緯を持つ。通常、法令においては冒頭(第1条など)に目的・趣旨についての規定が置かれ、この中で法令自身を指す文体として「この法律(政令)は、○○を目的とする。」などと表記されるが、入管法についての当該部分は、出入国管理令の時代は「この政令は」と、題名改正後は「出入国管理及び難民認定法は」との表記が用いられており、名実共に法律でなければ用いることができない「この法律は」という表記をしないよう配慮がなされている。

略称については、正式題名上「出入国管理」と「難民認定」が並列であること、また、難民に関する報道記事で「難民」の語を略する必然性がないことから報道等では「入管難民法」とする例が多いが、法令条文その他の公的文書において引用する場合は原則として「入管法」と表記される。

実際の出入国管理行政は、法務省出入国在留管理庁(旧入国管理局)、入国者収容所及び地方出入国在留管理局(旧地方入国管理局)が所掌し、法務大臣、出入国在留管理庁長官、入国審査官入国警備官などが遂行する。

前身の法令(ポツダム命令)として、出入国の管理に関する政令(昭和24年政令第299号。同年8月10日公布・即日施行)、不法入国者等退去強制手続令(昭和26年政令第33号。同年2月28日公布、一部は即日又は同年4月1日に施行されるも主要部分は結局廃止まで未施行)があったが、出入国管理令の施行に伴い廃止となった。
入管法の規定の概要

第1章 総則入管法の目的(日本に入国し、又は日本から出国するすべての人の出入国の公正な管理を図るとともに、
難民の認定手続を整備すること)、諸用語の定義、外国人の在留資格在留期間を定める。特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する分野別の方針の策定、特定技能雇用契約等の規律

第2章 入国及び上陸

第1節 外国人の入国有効な旅券を有さない者、上陸許可を受けないで入国をしようとする者は入国できない旨を定める。有効な旅券とは、日本国政府、日本国政府の承認した外国政府又は権限のある国際機関の発行した旅券又は難民旅行証明書その他当該旅券に代わる証明書に加え、台湾並びにヨルダン川西岸地区及びガザ地区[2]パレスチナ自治政府)の権限のある機関の発行した旅券等に相当する文書[3]である。

第2節 外国人の上陸外国人の上陸拒否事由を定め、該当する者を上陸拒否する。


第3章 上陸の手続

第1節 上陸のための審査日本に上陸しようとする外国人は旅券を所持した上で上陸を申請し、申請を受けた入国審査官は、旅券・査証の有効性等の上陸のための条件適合性を審査し、これが認められた場合に上陸を許可する。

第2節 口頭審理及び異議の申出入国審査官の審査において上陸のための条件適合性が認められなかった外国人に対する手続を定める。特別審理官による口頭審理の結果、上陸のための条件に適合すると認定された場合には、上陸が許可される。条件に適合しないと認定された場合には、異議の申出[4]の機会が付与される(特別審理官による認定に服した場合には日本からの退去が命じられる。)。異議を申し出た場合には、法務大臣[5](実務上は地方出入国在留管理局長)が裁決を行う。条件に適合する場合又は特別に上陸を許可すべき事由がある場合には上陸が許可される。

第3節 仮上陸等上陸審査のための一時的な上陸としての仮上陸に関する手続を定める。

第4節 上陸の特例寄港地上陸通過上陸乗員上陸緊急上陸遭難による上陸及び一時庇護のための上陸に関する手続を定める。


第4章 在留及び出国

第1節 在留、在留資格の変更及び取消し等在留中の活動の制約(資格外活動の禁止)並びに在留資格の変更、在留期間の更新、永住許可及び在留資格の取消しの各手続を定める。

第2節 在留の条件旅券携帯義務、退去強制事由、出国命令事由を定める。

第3節 出国出国の手続、再入国の許可について定める。


第5章 退去強制の手続

第1節 違反調査退去強制事由があると疑われる外国人(容疑者)に対する入国警備官による調査手続を定める。

第2節 収容退去強制事由があると疑うに足りる相当な理由がある場合の収容(身柄拘束)に関する手続を定める。入国警備官は主任審査官により発付された収容令書に基づき容疑者を収容することができる。収容から48時間以内に、容疑者の身柄は入国審査官に引き渡される。

第3節 審査、口頭審理及び異議の申出収容した容疑者が退去強制対象者(退去強制事由がある者のうち出国命令対象者を除く者)であるかどうかの認定に関する手続を定める。入国審査官の審査の結果、容疑者が退去強制対象者であると認定された場合には、容疑者に口頭審理の機会が付与される(容疑者がこの認定に服した場合には、主任審査官により退去強制令書が発付される。)。容疑者が口頭審理を請求した場合には、特別審理官によって口頭審理が行われる。その結果上記認定に誤りがないと判定された場合には、容疑者に異議の申出の機会が付与される(容疑者がこの判定に服した場合には、主任審査官により退去強制令書が発付される。)。容疑者が異議を申し出た場合には、法務大臣(実務上は、地方入国管理局長の場合が多い。)が書面審理を行い、異議の申出に理由があるかどうか、特別に在留を許可すべきかどうかについて裁決を行う。異議の申出に理由がなく、かつ、在留特別許可がされなかった場合には、主任審査官により退去強制令書が発付される。

第4節 退去強制令書の執行退去強制令書に基づき外国人を送還する手続を定める。


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