凸レンズ
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この項目では、透明の球面体について説明しています。その他の用法については「レンズ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
レンズレンズの断面形状の種類

レンズ(: lens、: 透鏡)とは、
屈折させて発散または集束させるための光学素子。本項で詳述する。

上記光学素子と同じ役割をする素子や技術、自然現象など。本稿でも説明する。

写真レンズのこと。複数のレンズを含む機械要素や電子回路などで構成される。

概要

屈折させて発散または集束させるための光学素子。通常は、両側面を球面と球面または球面と平面とした透明体である。「透鏡」とも呼ばれる。用途によっては、片面または両面を球面ではなくした非球面レンズも利用される。

実用上の多くのレンズは1つの軸(光軸)のまわりに回転対称な面でできていて、以下の説明では主にこの場合を扱う。回転対称でない例として乱視用めがねレンズ(トーリックレンズ)、棒状の半円柱形ルーペなどがある。入射した平行光束を収束させる働きを持つものを凸レンズ、発散させるものを凹レンズという。通常、レンズ中央部は凸レンズでは厚く、凹レンズでは薄い。

素材としてはガラスや、有機ガラスなどの透明なプラスチック類が主に使われる。特に光学機器のレンズには光学ガラスが使われ、特殊な性質が必要とされることも多く蛍石などの特殊材料がある。

顕微鏡として微細な世界とそこに潜む微細な生命を発見させたり、望遠鏡として地球外の世界を見せるなど、レンズは科学の発展(科学史)に大きく関与している。

その他、写真およびその延長である映画、今や写真の技術が不可欠である印刷、その延長である集積回路フォトマスクなど現代の文明に欠くことのできない物である。

写真撮影用のレンズなど、1セットのモジュールとなっているもの全体をレンズと言うことも多い。水晶体もレンズと呼ばれる。

懐中電灯などの照明器具の灯り(光束)を制御する目的でも多く利用される。

レンズの語源レンズマメ(ヒラマメ、ラテン語: lens)である。当初作成されたレンズは凸レンズであり、その形状がレンズマメに似ていたことからこの名前が付いた[1][2]

日本では、眼鏡、拡大鏡、顕微鏡、望遠鏡のように、元来は反射鏡の意だった「鏡」がレンズにも流用された。宝石の意味もある「玉」(鏡筒の前後端のレンズを前玉・後玉等)や、稀に「鏡玉」といった言い回しも使われるが、一般的ではない。

文脈によるが「鏡玉」は、宝物としての鏡と玉という意味のことも多い。
凸レンズ
基本的性質図1-1図1-2 物体が焦点距離より遠いときは実像ができる図1-3 物体が焦点距離より近いときは虚像ができる

光は、ガラスなど透明な物質に入るときに屈折し、出るときにも屈折する。回転対称なガラスで軸から離れるほど内側に屈折するように傾けた形状(ふちより中央が厚い形状)にすれば、光が集まるようにすることができる。これを凸レンズ(とつレンズ、: convex lens)という。

一枚のレンズについては、その回転対称軸を光軸と呼ぶ。以下ではレンズに入射する光束が光軸付近の十分細い領域を通る(近軸近似が成り立つ)とする。光軸に平行な光線は凸レンズを通過したのち一点に集まる。この点を焦点と呼ぶ。レンズに入る前の光線とレンズから出て焦点を通る光線とが交わる点から光軸上に下ろした垂線の足を主点と呼ぶ。主点から焦点までの距離を焦点距離と呼ぶ。また平行光をレンズの前後どちら側から入れるかに対応して二つの焦点が存在することになり、主点も二つ存在する。ただし、焦点距離は前後どちらも等しい。レンズの厚みが無視できる程度に薄いと仮定(薄レンズ近似)した場合、二つの主点は一致する。

凸レンズには主に下記のような性質がある(図1-1)。
光軸に平行な光線は凸レンズを通ったのち焦点を通る

焦点から出た光線は凸レンズを通ったのち光軸に平行な光線となる

レンズの節点[要曖昧さ回避]を通る光は角度を変えずに進む

実像と虚像

物側焦点より遠い物体上の点(物点)から出た光(図1-2)について考えると、
物から軸に平行にレンズに向かう光は、屈折されたあと像側焦点を通る光になる

物側焦点を通ってレンズへ向かう光は、屈折されたあと軸に平行な光になる

結果として物点から出てレンズへ向かう光はレンズの反対側の一点(像点)を通る。軸からの物点の高さと像点の高さとの比は一定となる。像面にスクリーンを置けば物体が逆さまに拡大・縮小された像が投影されることになる。このように物点からの光が像点で交わってできる像を実像と呼ぶ。

物側焦点より近い物体上の点から出た光(図1-3)について考えると、
物体から軸に平行にレンズに向かう光は、屈折されたあと像側焦点を通る光になる

節点を通る光は、レンズを通る前後で角度が変わらない(薄レンズ近似では主点と節点が一致するため、ただ直進する)

結果として、実際には物点から出てレンズへ向かった光をレンズの反対側から見ると、あたかも物点より遠くの一点から出たかのように進む。このように物点からの光が像点で交わらずにできる像を虚像と呼ぶ。虚像は、ルーペのようにレンズを覗き込むことで観察できる。虚像の場合にも軸からの物点の高さと像点の高さとの比は一定となる。実像の場合と違い、光が実際に1点に集まるわけではないので、スクリーンを置いても像を投影することはできない。レンズを覗いて虚像を観察できるのは、網膜上に実像を結像させるからである。
レンズの公式詳細は「レンズの公式」を参照

焦点距離 f のレンズ(f は凸レンズでは正、凹レンズでは負とする)について、主点を原点とした光軸方向の座標を s1 (通常は負)、像の光軸方向の座標を s2 とすると

1/s2 = 1/f + 1/s1

という関係(レンズの公式)が成り立つ[3]。より広く知られた形の式

1/a + 1/b = 1/f

は、s1, s2 の絶対値をそれぞれa, b とおいた(距離として表した)ものである。

物体が物側焦点より外側にある(つまり |s1。> f)ならば倒立実像がレンズに関し物体と反対側 (''s2 > 0) にでき、物側焦点より内側にある(|s1。< f)ならば正立虚像が物体と同じ側 (s2 < 0) にできる。像と物の大きさの比(横倍率) m は

m = s2/s1

で表される(m は実像では負、虚像で正である)[3]

上記レンズの公式の別の表現として、前側焦点と物との座標差を z 、後側焦点と像との座標差を z' とおくと以下のニュートン形式の式が成り立つ[3]

-zz' = f 2
m = -z' /f = f/z
副実像[4].mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。
主に: 上の参考文献に基づく記述をお願いします。 (2022年3月)

ルーペ

「ルーペ」はこの項目へ転送されています。伊藤かな恵の楽曲については「ルーペ (曲)」をご覧ください。
虫眼鏡(凸レンズの代表的利用例)ルーペの光路図

ルーペ(虫眼鏡、: Lupe)は、凸レンズでできる拡大された虚像を目視観察する道具である。ルーペの倍率は、ルーペ無しで距離 L のところから物体を見たときと、ルーペを通して見たときの虚像の見かけの大きさ(視角)の比であらわす。すなわち、ルーペ無し・有りのときの見込み角度をそれぞれ α、β とすると、倍率 M は M = tan ⁡ β / tan ⁡ α {\displaystyle M=\tan \beta /\tan \alpha } と定義される。


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