冷凍冷蔵車(れいとうれいぞうしゃ)は、生鮮食品など保冷を要する商品を、適切な一定の温度に保ちつつ輸送する目的で設計された、貨物自動車かつ特種用途自動車(8ナンバー車)である。
概要冷凍冷蔵装置を搭載したボルボ・FEG-3 Resources LLC社のトラクター及び冷凍冷蔵セミトレーラー
一般的な貨物を運ぶトラックまたはバンとは異なり、荷台部分には鉄道貨車の冷蔵車のように断熱材が使われており、単純な通風構造ではない。また、何らかの冷却装置が設置されている。
冷却の方式サーモキング社の冷蔵ユニット
冷却装置としては、直接的な冷却方法、たとえば氷や二酸化炭素(ドライアイスまたは液体)や液体窒素[1]を使うもの、および機械的なもの(具体的には冷凍機)に大別される。
貨物自動車(トラック)の冷凍機はディーゼルエンジンを動力源とするものが主流で、旅客自動車(バス車両)の冷房装置と同様に、冷凍機の動力源として自動車本体のエンジンを使用する機関直結式(単に「直結式」とも呼ばれる)と、小排気量の専用エンジンを別に搭載する独立機関式(サブエンジン式)が設定されており、車種や使用条件によって選択される。また多くの車では、エンジンを動かせない環境(フェリーによる輸送中など)でも荷台部分の温度を維持するための「スタンバイ装置」を搭載しており、外部電源を繋いで冷凍機を動かせるようになっている[2]。
また、燃料電池を使用した補助電源の研究も行われている [3] 。 トラックまたはバンの特装車の形態を取るもの、および、セミトレーラーの形態を取りトラクタートラックで牽引されるものに大別される。 また、冷凍・冷蔵コンテナをトレーラーやドーリー(台車)に搭載する形態も取られる。この場合、コンテナに内蔵した冷凍機さえ動いていれば、実際の荷物を逐一積み替えずにコンテナごと積み替えることが可能となる等、国際的な輸送や長距離輸送で利点が大きい。ただしコンテナの外形寸法はISO規格(日本国内であればJIS規格)の規定に沿う必要があり、特装車に比べ外形が長尺化・大型化する。 アメリカやヨーロッパでは、冷凍冷蔵車を含むトラックをそのまま貨車(長物車・車運車)に積載する「ピギーバック輸送」も実施されている。 最初の機械的方法による冷凍冷蔵車は、1925年頃にアメリカのアイスクリーム業界により導入された [4] 。 1940年頃からアメリカの物流業界において、貨物を低温に保ったまま輸送するコールドチェーンが導入された。フレデリック・マッキンリー・ジョーンズ が考案して出願したトラック用冷蔵装置の特許は、1940年7月12日に成立した [5] 。彼が創立した U.S. Thermo Control Company (現:Thermo King、サーモキング社)は、現在でも車載用の冷凍冷蔵装置で全世界において高いシェアを有している。 コールドチェーンの概念と冷凍冷蔵車が広く普及して以降、生鮮食品や医薬品(例えばワクチン)などの広域・遠距離流通と長期間保存が可能となった。 2010年時点では、世界中で約400万台の冷凍冷蔵車が運用中であると推計されている [6] 。
実装と運用の形態
歴史
主要製造メーカー
東プレ - 車載式空調機を開発する国内最大手メーカー。
菱重コールドチェーン - 車載式空調機大手の三菱重工業グループ企業。
トーハツ - 菱重コールドチェーンに対しOEM供給を行う。
デンソー - 車載式空調機を開発する国内メーカー。
東光冷熱エンジニアリング
ダイキン工業 - 大手空調機メーカー。主に海上コンテナ向け。
キャリア - アメリカ、レイセオン・テクノロジーズ傘下の車載式大手空調機メーカー。日本では東芝と提携して東芝キヤリアを展開。
サーモキング - アメリカ、トレイン・テクノロジーズ