冷たい密室と博士たち
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『S&Mシリーズ』[1](S&M series)は、講談社より発行されている森博嗣推理小説シリーズ。
概要

第1回メフィスト賞を受賞[2]したデビュー作『すべてがFになる』から始まる一連のシリーズ。シリーズ名は主人公である犀川創平と西之園萌絵のファーストネームのイニシャル、「S」と「M」に由来する。大まかな話の流れとしては、西之園萌絵が事件を持ち出し(あるいは巻き込まれ)、犀川創平がやむを得ず解決するという構成。

理系ミステリィと称されるように、ガジェットトリック工学などの理系分野を中心として構成されている。一方で、登場人物同士が抱く心理状態、思考形態の表現は時として抽象的、哲学的な形をとる。生命工学情報工学認知科学などといった分野にも触れられており、従来の推理小説とは一見異なった雰囲気を持っている。

当初は『封印再度』までの5連作を予定していたが、編集部の意向により当初は4作目に予定されていた『すべてがFになる』が1作目へと変更されたため、シリーズ全体を再構成し、後の5連作を新たに執筆したという経緯がある。シリーズとしては『有限と微小のパン』で完結するものの、他シリーズ(特にGシリーズ四季シリーズ)との繋がりも多く、内容が前後することが多い。
シリーズ作品.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。

すべてがFになる The Perfect Insider
当該項目を参照。
冷たい密室と博士たち Doctors in Isolated Room
同級生で同僚の喜多北斗に誘われ、彼の在籍する「極地環境研究センタ」を訪れた犀川と萌絵。極地研では、氷点下20度という低温の状態で様々な実験が行われていた。犀川たちが訪れたその夜、衆人環視かつ密室状態の冷たい実験室の中で、男女2人の院生が刺殺体となって発見される。殺害された2人と犯人はどのようにして実験室に入ったのか。
笑わない数学者 Mathematical Goodbye
天才数学者、天王寺翔蔵博士の住む館、「三ツ星館」。そこで開催されたパーティの中で、博士は庭にある巨大なオリオン像を消してみせた。翌朝、再びオリオン像が現れたとき、2つの死体が発見された。犀川助教授と西之園萌絵が、オリオン像消失の謎と殺人事件に挑む。
詩的私的ジャック Jack the Poetical Private
N大学構内で女子大生の連続殺人事件が起こった。現場は密室で、死体には謎の傷が遺されていた。容疑者として浮上したのは、N大学の学生であったロック歌手の結城稔。結城の曲の歌詞と殺人事件の類似性をめぐり、N大学助教授・犀川創平と国立N大学3年生・西之園萌絵は密室殺人に挑む。
封印再度 Who Inside
萌絵はパズルマニアの世津子から、岐阜県恵那市の旧家・香山家の家宝である「無我の匣(むがのはこ)」と「天地の瓢(てんちのこひょう)」の話を聞く。「無我の匣」の鍵は「天地の瓢」に入っているが、口が細くてどうしても取り出すことができないという。そして鍵を「天地の瓢」に入れたらしい香山風采は、50年前に密室で自殺。その現場には凶器がなかったというのだ。
幻惑の死と使途 Illusion Acts Like Magic
奇術師である有里匠幻が行った脱出マジック。衆人環視の中、爆破される箱からの脱出は成功したかに見えた。しかし、箱から出てきたのは、胸にナイフが突き刺さった匠幻の死体だった。匠幻の殺害方法が分からないまま迎えた葬儀の日、「どんな密室からも脱出してみせよう」という匠幻の言葉どおり、出棺直後の棺の中から遺体が消失した。※次作「夏のレプリカ」と同時期に起きた事件を扱っており、奇数章のみが書かれている。
夏のレプリカ Replaceable Summer
萌絵の友人である簑沢杜萌が、2年ぶりに実家の犬山に帰省した。実家には家族の姿が見えなかったがいつものことと気にせず、3階にいるはずの兄への挨拶も疲労から後回しにしてしまった。その翌朝、杜萌は奇妙な仮面を付けた男に捕らわれる。家族が家にいなかったのは、その男の仲間に誘拐されていたからだった。間もなく、長野県駒ヶ根の別荘に捕らわれていた家族と合流した杜萌だが、両親たちを見張っていたはずの犯人2人は死んでおり、杜萌と一緒にいた犯人の1人が逃走する。一家は解放され、警察が捜査に乗り出すが、事件の間、自宅の3階にいたはずの兄・素生が失踪、行方が分からなくなる。何かを隠している様子の家族、そして杜萌もまた……。※前作「幻惑の死と使途」と同時期に起きた事件を扱っており、偶数章のみが書かれている。
今はもうない Switch Back
岐阜県昼ヶ野高原山奥にある別荘で見つかった変死体。死んでいたのは招待客のうちの2人姉妹で、片方には殺された跡があるにもかかわらず死体は密室の中にあった。そのとき別荘に滞在していたのは主人橋爪家親子と使用人、招待客数人であり、語り手「笹木」と偶然客となった「西之園家のお嬢様」もいた。笹木と西之園は協力して事件の謎に挑み、推理を働かせるが決定的な解決は見つからない。一方で状況が進むにつれて笹木は西之園に魅かれていき、ついには結婚を賭けたゲームを申し出る。※笹木の手記という形をとっており、シリーズ他作品とは構成が違っている(「第一幕」「第二幕」という章立てなど)。
数奇にして模型 Numerical Models
模型交換会会場の公会堂でモデル女性の死体が発見された。死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、彼は同じ頃にM工業大で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあった。複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟が挑む。
有限と微小のパン The Perfect Outsider
日本最大のソフトウェアメーカー「ナノクラフト」。長崎県に本社を構え、その傍で大規模なテーマパークを経営していた。社長の塙理生哉は事業の中心となる非常に優秀なプログラマであり、また萌絵が幼い頃の許婚でもあった。研究室のゼミ旅行の先乗りで長崎を訪れた、萌絵と2人の友人。しかし、彼女らを待ち構えていたかのように続発する奇妙な事件。意味深なメッセージ。一方犀川はナノクラフト製のゲームに現れる不可思議な演出の話を聞き、予定を変更して即座に長崎に向かう。現実離れした出来事、質感の伴わない相手との対話。一連の出来事の背後に見え隠れするある存在。すべては、あの天才によるものなのか、それとも……。
主要登場人物
主人公
犀川 創平(さいかわ そうへい)
加瀬康之(アニメ)/渋谷茂(ゲーム)、演:綾野剛国立N大学工学部建築学科助教授(後に国立N大学大学院工学研究科建築学専攻助教授)。本シリーズにおける探偵役。1994年の夏(1作目『すべてがFになる』)の時点で32歳。国立K大学工学部卒業。同大学大学院工学研究科修了。萌絵の父でありN大の元総長、西之園恭介が恩師で愛弟子。萌絵と初めて出会ったのは萌絵が小学5年生のときであり、学生時代からよく西之園家に通っていた。萌絵の両親の飛行機事故を、彼女と一緒に目撃している。萌絵が学生としてN大に進学してきたため「萌絵ちゃん」から「西之園君」に呼び方を変えている。アルコール、キュウリ、あんこ、きな粉、缶コーヒーを嫌っている。また、コーヒーに関しては普通、ホットのブラックコーヒーしか飲まない。喜多と同じく鉄道(特に蒸気機関車)が好きだったが、全て喜多との付き合いだったと語る。左利きだが、箸だけは右で使う。物事に対する興味の度合いが両極端で、必要がなく、興味のないことには一切関わろうとしない。テレビは一切見ない。映画などは、喜多に見せられたもの以外はほとんど見ない。萌絵に引っ張りまわされて事件の捜査に巻き込まれるうちに、警察からその分析力・考察力を頼られるようになるが、本人が乗り気になることは滅多になく、真相に気がつけるだけの情報を得ていても、そのまま放置していることさえある。一方で、興味のある事柄に関してはその力を遺憾なく発揮し、学術研究者としては非常に優秀である。「建築自体にはあまり興味が無い」と嘯くが、研究分野は建築生産史および都市史であり、当該分野における「計算機によるシミュレーション研究」の第一人者として、評価の高い論文を過去に多数発表している。また、自分の年齢で獲得可能な学術賞は全て獲っている。これらのことから、しばしば「学会のホープ」と呼ばれ、時には「天才」とさえ呼ばれる。なお、教授への昇任や他大学への移籍の話が出てくることも少なくないが、「研究をやりづらくなる」などと言ってその都度断っている様子。助教授であるため講義も行うが、出席をとらない上に板書も試験さえもなく、犀川がひたすら喋り続けるだけという非常に独特な形式を採用している。履修登録をすればとりあえず「可」の評価が出るため、学生からの評判は別の意味で高く、他大学の学生にまでその講義形式が知られていることもある。学生の評価はその学生の質問内容によって決めている。したがって、犀川研究室の学生は犀川に常に試されている状態にある。会議や委員会の類が嫌い。論文、学会、講演会、海外出張などに日々追われているが、できればしたくない。朝にめっぽう弱く、会話にもならない。午前に仕事がある日は無理やり早起きして目覚める時間を作る程。したがって午前中は犀川の部屋に誰も近づかない。普段から研究室のドアは開けっ放し、サンダル履き、MAC、UNIXもログインしっ放しというズボラな性格である。好物はハンバーグのような子供の好きな食べ物のほとんど。車を買う際にも最初に薦められた一台に即座に決めてしまう(車の色も悪かったが「自分が座席に座ったら見えないから問題ない」という理由で気にしていない)など、生きるうえでの物事にあまり頓着しない。その一方で、物を数えるのが癖だったり、毎日腕時計の時刻あわせをしたりと、工学者らしく「定量」への執着が強いふしがある。


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