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冠動脈(かんどうみゃく、ラテン語: Arteriae coronariae、英語: coronary artery)は、大動脈基底部(大動脈弁直上)のバルサルバ洞に端を発し、心筋にエネルギーを供給する動脈のことである。肝動脈との区別をつけるために、一般的には冠状動脈(かんじょうどうみゃく)と言う。 冠動脈は、心臓の上に冠のように乗っている血管(動脈)で、心臓を取り囲むようにして走行している。 冠動脈は、右冠動脈 (Right coronary artery; RCA) と左冠動脈に分かれており、さらに左冠動脈は左冠動脈前下行枝 (Left anterior descending coronary artery; LAD) および左冠動脈回旋枝 (Left circumflex coronary artery; LCX) に分岐する。また、LADとLCXに分かれる前の冠動脈を左冠動脈主幹部 (Left main trunk; LMT or LM or MT) と呼ぶ。 これらの各枝の栄養領域についてはある程度の個人差がある。特に後下行枝 (PD) と後側壁枝 (PL) の分岐パターンから以下の3つのパターンに大別される。 また、これら以外にも細かい分枝のパターンや冠動脈の起始部の分枝パターン、さらには本数に至るまで多数のパターンが存在する。 全身に血液を送るポンプのような役割を果たす心臓は脳と並んで、人体の中でも酸素の需要が多い臓器の1つである。もし心臓に酸素を送る冠動脈で動脈硬化を起こしたなら、冠動脈の狭窄や閉塞が起こると、心筋へ十分な酸素が供給できなくなるため、虚血性心疾患を発症する。 冠動脈は、他の動脈と違い、心臓の収縮期にその血流は減少し、拡張期に血流が流れる、という性質を持つ。これは、 などの理由による。なお、後者の理由により、心臓弁膜症(大動脈弁閉鎖不全症)や大動脈の動脈硬化は、鬱血性心不全へと至りやすい。
概要
右冠動脈 (RCA) は洞房結節、房室結節、右心室、心臓の後壁および下壁に栄養分を供給している。
左冠動脈前下行枝 (LAD) は心室中隔、心臓の前壁、心尖部に栄養分を供給している。
左冠動脈回旋枝 (LCX) は心臓の左側壁、左後壁に栄養分を供給している。
左右均衡型(約10-20%):最も典型的な分岐パターンで、PDはRCAから、PLはLCXより分枝する。
右冠動脈優位型(約70-80%):LCXの発達がやや弱く、PDとPLが共にRCAより分枝する。
左冠動脈優位型(約5-10%):RCAの発達がやや弱く、PDとPLが共にLCXから分枝する。
血液の流れ方の特徴
心筋収縮により血管が圧迫され循環抵抗が増すこと。
大動脈からのバックラッシュで戻って来た血液が、閉じた大動脈弁に遮られ、冠動脈に流入してゆく。
関連項目
虚血性心疾患
狭心症
心筋梗塞
冠動脈大動脈バイパス移植術
冠動脈疾患
急性冠症候群
川崎病
大動脈解離
表
話
編
歴
循環器系の正常構造・生理
心臓
基本構造
左心
心房中隔 - 心室中隔 - 卵円窩 - - 乳頭筋 - 腱索
冠動脈系
大動脈基部(英語版) - 冠動脈 - 右冠動脈(英語版) - 左冠動脈前下行枝(英語版) - 左冠動脈回旋枝(英語版)
刺激伝導系
洞房結節 - 房室結節 - His束(英語版) - 脚(英語版) - プルキンエ繊維
顕微解剖
心内膜 | 心筋 | 介在板 | ギャップ結合 | 心膜
生理学
心雑音 | 心拍数 | 心拍出量 | 心係数 | ベインブリッジ反射 | スターリングの法則 | 血圧反射機能
生化学
ANP | BNP | エンドセリン | 昇圧薬 | 降圧薬 | アドレナリン作動薬
血管
上行大動脈 - 大動脈弓 - 胸大動脈 - 下行大動脈 - 腹部大動脈 - 総腸骨動脈
上甲状腺
上喉頭
胸鎖乳突筋枝
舌骨下枝
輪状甲状枝
腺枝
上行咽頭
後硬膜
咽頭枝
下鼓室
舌
舌骨上枝
舌背枝
舌深
舌下
顔面
頸枝
上行口蓋
扁桃
オトガイ下
腺枝