写本
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13世紀ヨーロッパの彩色写本。カンタベリー大聖堂における大司教トマス・ベケットを描いた最初期の作例。

写本(しゃほん、英語: manuscript)とは、手書きで複製された本や文書、またはその行為そのものを指して示す用語。原本(オリジナル)である正本(しょうほん、せいほん)と対応させて、それを書き写した書写本であることを強調する用語として使われることもある。謄本ともいう。
概要

写本は略語、短縮形としてMSS、またはmssを使用することができる[1][2][3][4]。洋の東西を問わず、広く木版印刷活版印刷術が普及する以前、本は筆写するものであった。中世ヨーロッパにおいて写本はキリスト教の修道院を中心に行われ、スクライブまたは写字生(英語版)と呼ばれた人たちによって組織的に作られた。その当時の写本の中にはしばしば壮麗な挿絵がつけられ(挿図参照)、美術品としても価値を見出されるものも存在する。

中国北宋代以降、日本では、仏典の木版印刷が用いられはじめたが、修行の一環としての写経は依然として行われ、それは今日においても引き継がれている。一般の本は写本により伝えられた。

写本では、筆写の過程でしばしば誤読、誤字脱字、付け加えなどが生じやすい。これらは原典を正確に伝承するという意味では瑕となるが、一方で写本がどのように伝わっていったかを系統立てて考察し、その背景にある文化的特性を検証する素材ともなる。
ヨーロッパの写本詳細は「en:Manuscript culture」を参照

Copiste - 本のコピー(写本)を作る職人

Rubrication(英語版) - 写本装飾家(ルプリカトーレ)が赤い文字や装飾などを行う。

Correttori - 校正家

Miniatori - ミニアチュール(挿絵)師

Alluminatori - 金装飾

Legatori - 製本業者

Pecia system(ペシア・システム) - ペシアとは分冊の意である。大学の学生たちが教授の書いた本の分冊を製本業者から順番に有料貸出しさせてもらい、一冊の完全な写本を作るシステムのことである。

古代ギリシャ
アレクサンドリア図書館
紀元前3世紀に創設された
アレクサンドリア図書館では組織的な文献収集、写本作成が行われていた。写本はスクライブがパピルスに書いたもので、蔵書数は70万巻ともいわれるが、争乱や略奪のため散逸してしまった。当時の書物の一部には、後世に写本されて残されたものもある。(例:『気体装置(Pneumatika)』。ヘロンの著書を16世紀〈1583年〉に筆写したもの、ローマ国立図書館蔵)
ユダヤ教・初期キリスト教
死海写本(死海文書とも)
20世紀になって死海のほとりの崖で発見された古代ユダヤ教の文献(旧約聖書など)。多くはヘブライ語で羊皮紙などに書かれた巻物である。
オクシリンコス・パピルス
エジプトの遺跡から発掘された古代の記録。プラトンや新約聖書外典関係の資料が含まれていた。
ナグ・ハマディ文書
エジプトで発見された。グノーシス主義の文献が主である。
新約聖書のギリシア語写本
新約聖書」も参照新約聖書の写本はパピルス・大文字写本・小文字写本に分類される。パピルスはその名のとおりパピルスに筆写されたもので、2世紀頃からのものが現存する。最も古い写本層に属し、本文の古い形を知る上で極めて重要であるが、大きなものでも25センチメートル×20センチメートル程度の断片である。チェスター・ビーティ・パピルスなどが知られる。大文字写本は、羊皮紙に大文字(ギリシア語)で写したもの。4世紀以降のもので、新約聖書の大部分を一冊の本にしたものも現存する。シナイ写本バチカン図書館所蔵のバチカン写本大英博物館所蔵のアレクサンドリア写本などで知られている。小文字写本は、羊皮紙に小文字(ギリシア語)で写したもの。小文字成立後のものであり、聖書学上の重要性はいささか劣る。現存するギリシア語写本の多くは小活字である。写本室の中の修道僧


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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