再軍備
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再軍備(さいぐんび)とは、軍備を一旦廃止した国家が再び軍備を整える状態を意味する用語。

敗戦国や植民地であっても国家が独立、維持または再興された場合に再軍備を行なうことがほとんどである。かつては世界大戦の敗戦国である日本ドイツにおいて再軍備が進められていた。
日本「日本の軍事」、「防衛省」、および「自衛隊」も参照

日本太平洋戦争敗戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)による占領下に置かれ、大日本帝国憲法の改正により日本国憲法が制定され、憲法上も軍備を放棄したとされている。しかし、朝鮮戦争によって当時の在日米軍部隊が朝鮮半島に出払い、日本における防衛兵力・治安維持兵力が存在しないことになったことから、GHQの指令により1950年に警察予備隊海上警備隊が創設され、1952年の保安隊警備隊への改組を経て、1954年にそれらが陸上自衛隊海上自衛隊に改組されるとともに航空自衛隊が新設され、現在の陸海空自衛隊となっている。そのため、事実上日本は再軍備を行っている。

自衛隊はその組織や装備などの上では事実上の軍隊ではあるが、日本国憲法第9条に「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。(第9条第2項)」との条文があるため、政府の見解では「日本を防衛するための『必要最小限度の実力』を行使することは認められており、自衛隊はそれを行使する組織」であるとして、自衛隊は第9条で保有が禁じられた戦力=軍隊ではないとしている。また、「軍隊ではない」ことを示すため、階級名などの用語を国内では通常の軍隊と変えている。詳細は「自衛隊用語」を参照

日本国内では憲法改正によって憲法上の制約をなくし、名実共に再軍備すべきという主張と反対する主張が50年以上にわたって議論されている[1]が、憲法改正までにはいたっていない。自由民主党は基本的に憲法改正による再軍備について肯定的であるが、かつての日本社会党(現・社会民主党)は1951年、党議によって再軍備反対を決議している。2023年現在も再軍備への賛否が憲法改正論議の大きなテーマの一つとなっている[要出典]。

2001年小泉内閣が成立すると、小泉純一郎内閣総理大臣就任の記者会見で「自衛隊が軍隊でないというのは不自然だ」「自衛隊、軍隊に対して、憲法違反であるとか、そうではないということを議論させておくという方は、自衛隊に対して失礼じゃないか」と述べ[2]、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}改憲による正式な再軍備のための議論に弾みを付けた[誰によって?]。自由民主党や、民主党内の旧民社党系議員らが発表[いつ?]した改憲案ではいずれも軍隊の保有が明記されている。

2003年有事法制である武力攻撃事態対処関連三法が成立。

2006年、自衛隊を管轄する防衛庁を防衛省に格上げする法案が自民、公明の与党と、民主・国民新党新党日本などによって推進され、参議院においては賛成210、反対15で12月15日成立し、翌年1月9日施行された。単なる名称変更ではなく、冷戦後PKOなどの戦争以外の軍事作戦(MOOTW)により平和を維持し、創造するための活動が広く行なわれるようになったという時代背景から「重要影響事態」への派遣や国際平和協力活動などを自衛隊の「雑務」から「従たる任務」に格上げした。
ドイツ

ドイツは第一次と第二次の両世界大戦において二度とも敗北したため、再軍備も二度にわたって行われている。
第一次世界大戦後

ドイツは第一次世界大戦の敗戦に伴い、ヴェルサイユ条約にて大幅な軍備制限を強いられたが、ヴァイマル共和政時代から各種の抜け道を利用し兵器の開発と近代戦術の研究、将来の再軍備に備えて兵卒や下士官に将校級の教育を行うなどしていた。特に1922年にソビエト連邦との間に締結されたラパッロ条約により、研究開発の成果の一部を赤軍に提供することと引き換えに航空機や戦車、化学兵器の開発とその運用に関する研究を本格的に行うことができた。このような下地があればこそ、1935年のアドルフ・ヒトラー政権によるドイツ再軍備宣言後にドイツ国防軍は短期間で質と量の水準を周辺諸国に追いつかせることができたのである。軍備制限の具体的な内容についてはヴェルサイユ条約#軍備条項を参照ヴェルサイユ条約の抜け道に関してはドイツ再軍備宣言#ヴェルサイユ条約の抜け道を参照
第二次世界大戦後

第二次世界大戦において再び敗北したドイツは国防軍を解体され、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連の四ヶ国に分割占領されたが、大戦終結後にソ連とアメリカの関係は急速に冷却化し、西側三ヶ国占領地域における通貨改革にソ連が反発し1948年にはベルリン封鎖が行われるなど東西の緊張が高まった(東西冷戦)。


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