再審査請求
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

行政不服審査法

日本の法令
通称・略称行審法、行服法
法令番号平成26年法律第68号
効力現行法
種類行政法
所管総務省
主な内容行政不服申立の一般法
関連法令行政事件訴訟法行政手続法行政機関の保有する情報の公開に関する法律
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行政不服審査法(ぎょうせいふふくしんさほう、平成26年6月13日法律第68号)は、事後における救済制度としての行政不服申立についての一般法(1条)として制定された日本法律である。行政法における行政救済法の一つに分類され、行審法と略される。
目次

1 概要

1.1 全面改正

1.2 行政事件訴訟との比較

1.3 行政手続法との比較

1.4 問題点


2 内容

2.1 不服申立ての概観

2.1.1 対象

2.1.2 種類等


2.2 審査請求

2.2.1 審理員及び審理関係人

2.2.2 審査請求の手続

2.2.3 審理

2.2.4 行政不服審査会等への諮問

2.2.5 裁決

2.2.5.1 却下・棄却

2.2.5.2 認容



2.3 再調査の請求

2.4 再審査請求

2.5 再々審査請求

2.6 行政不服審査会等

2.6.1 行政不服審査会

2.6.1.1 設置及び組織

2.6.1.2 審査会の調査審議の手続

2.6.1.3 雑則


2.6.2 地方公共団体に置かれる機関


2.7 補足

2.7.1 教示

2.7.2 情報の提供・公表



3 脚注

4 関連項目

5 外部リンク

概要

行政不服申立てとは、何人であれ行政機関に対し紛争の解決を求める法的な争訟手続である。つまり、「行政庁の公権力の行使」(処分)に対し、不服に思った者が「行政機関」に対して不服を申立てることを指す。不服申立てを行う者としてはまずは私人があるが、とは限らない。国の機関や地方公共団体の機関が他の行政機関に対して不服申立てを行うこともその処分が、「処分がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの」でなければ可能である[1](例:警察署長による道路使用の不許可処分に対して、不許可となった市町村長から審査請求をする場合等。この場合は申請者が市町村長であるとはいえ一般人と同じ立場であるからである。これに対し法令で補助金を市町村へ交付するとしている場合は補助金の交付を受けることは、市町村のいう固有の資格において行われるため、補助金の交付処分について行政不服審査法による不服申立てはできない。)。不服申立者は裁判所ではなく行政機関を相手として事後的救済を求める争訟を提起することになる。

なお、行政機関によるものでなく司法上の救済(行政訴訟)については行政事件訴訟法がその一般法として制定されている。行政不服審査法、行政事件訴訟法は、いずれも事後の救済制度であるが、事前の救済制度として行政手続法がある。

行政不服審査法の前身は、1890年に制定された訴願法(明治23年法律第105号)である。訴願法は、「租税及手数料ノ賦課ニ関スル事件、租税滞納処分ニ関スル事件、営業免許ノ拒否又ハ取消ニ関スル事件」等、列記主義の原則により不服申立てのできる場合を限定的に規定していたこともあり、この法律によって十分な救済が図られる内容とは言い難かった。

また、日本国憲法第76条2項後段は行政機関が終審を行うことを禁止しているが、反対解釈すれば前審を禁じてはおらず、裁判所法3条2項も行政機関が裁判所の前審として審判を行うことを認めている。このことから、行政不服審査法は不服申立てのできる場合を限定するのではなくできない場合を例外規定として設け、その他の処分・不作為についてすべて不服申立てができるとする一般概括主義の原則により構成されている。その他、訴願法と行政不服審査法を比較すると、当事者の手続的な権利の充実という面で大きな進展がみられる。
全面改正

1962年(昭和37年)制定の行政不服審査法(以下「旧法」という。)制定以来、長らく実質的な改正はなかったが、2014年(平成26年)に現行法を抜本的に改正した行政不服審査法(平成26年6月13日法律第68号)が公布され、2016年(平成28年)4月1日に施行された(平成27年11月26日政令第390号)[2]

これ以前、第169回国会(2008年)において、不服申立て手続の審査請求への原則的一本化、再審査請求の廃止、審理員による審査請求の手続、行政不服審査会等による諮問手続の設置、審査請求期間の3か月への延長などを内容とする全部改正法案が、内閣より提出されたが、2度の継続審査とされた後、第171回国会(2009年)において衆議院解散(7月21日)されたため審議未了により廃案となった。

その後、再審査請求は維持するが、原則、審査請求及び再審査請求を経なければ出訴できないという二重前置をやめ、再審査請求手続を経なくても取消訴訟を提起することができる等の変更が加わった[3]ものが2014年に成立した改正法である。

主な改正点

旧法と比較して変更された点は、主なものとして次のとおり。

(1)審査請求への原則一元化

旧法での基本的な不服申立類型は、審査請求、異議申立ての2種類であった。審査請求を経るか、異議申立てを経るかは原則、該当する処分に関して処分庁に対する上級行政庁があるかないかにより区別されていたものの、異議申立ては審査請求と比較して簡略な手続きであり、かつ処分庁自らが決定庁となり決定を下すような状況となることが大半となり、自ら下した処分を自ら過ちであると認めた上で処分庁が処分を取り消すかまたは変更するようなことが異議申立者にとっては容易に期待できない面があった。

このため、異議申立てについては、適正手続の保障の観点から問題が残った。

さらに上級行政庁が偶然存在するか否かにより、手続保障に差異が生じることや、本来異議申立てとなるべきものを不服申立者が単純に勘違いして審査請求としてしまったり、逆に審査請求となるべきものを誤って異議申立てとしてしまったりしたために、その補正の結果、申立て可能な期間を経過してしまい、結局不服申立てができなくなるのを招きやすい等という問題も残った。

これらの問題を克服し、適正手続の保障・促進の観点から、審査請求への一本化が図られた。

(2)再調査の請求

処分庁以外の行政庁に審査請求ができる場合において、処分庁が簡易な手続で迅速に見直しを図る手法として再調査の請求の制度が導入された。

ただし、この再調査の請求は、個別法等法律が特に定める場合に限ってできることとされ、かつ原則、再調査の請求がされた場合は、再調査請求について裁決があるまでは審査請求はできない。なお、旧法において審査請求ができる場合に、異議申立てができるときは、異議申し立てを経ないで審査請求をすることが原則できなかったが、改正によりこの制限は廃止され、再調査の請求ができる場合であっても直接審査請求ができるとなった。

(3)審理員制度

適正手続・公正性の担保の観点から、審査請求の審理手続を主宰する者として審理員制度が置かれた。旧法では、審査請求に対する審理を原処分に関与した職員が主宰することもあり得たが、改正法では原処分に関与した者等が審理の主宰者となることが禁じられ、審理員等?審査請求人?処分庁等という三角関係による審理構造が確保されることとなった。

(4)行政不服審査会、不服審査機関等への諮問制度

適正手続・公正性の担保の観点から、第三者機関として、国においては行政不服審査会等が総務省に設置されることとなり、地方公共団体においても相当する機関を設けることとされた。その上で審理員による審理の後、原則としてこれら機関への諮問が義務付けられることとなった。

(5)審査請求期間の延長

旧法では原則、不服申立ては処分のあったことを知った日の翌日から起算して「60日」以内にしなければならないとされていたが、改正法により「3か月」に延長された。

(6)標準審査期間制度

審査庁となるべき処分庁は、審査請求が事務所に到達してから裁決までの間に通常要すべき標準的な期間(標準審査期間)を定める旨の努力義務規定があらたに設けられた。さらに、その期間を定めときは、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁(後述参照)の事務所において、備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならないとされた。
行政事件訴訟との比較


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