内陸水運
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貨物輸送種別の平均外部コスト
(EU-28, 2016) [1]輸送方法ユーロセント/トンキロ
道路 (小型車)35.6
道路 (大型車)4.2
鉄道 (ディーゼル)1.8
鉄道 (電化)1.1
内陸水運1.9
中国長江を行くコンテナ船

河川舟運(かせんしゅううん)とは、運河において物資旅客運搬する輸送のことで、河川水運や内陸水運とも呼ばれる。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}

Les rivieres sont les chemins qui marchent et qui portent ou l'on veut aller.
川は、行きたいところに連れて行ってくれる道である。—ブレーズ・パスカル, パンセ, part, chapter.38
欧米の河川舟運ライン川での海上コンテナ輸送パリ市セーヌ川はしけ運送ミシシッピ川のリバーボート

欧米では広大な河川を利用した舟運業が鉄道自動車とともに内陸輸送手段として重要な役割を果たしている[2]。欧米諸国は平坦な内陸部が多く、大河は流速が緩やかで河幅も水深も適度にあり、各国の都市が河川でつながっていることから、古来より重要なライフラインとして機能してきた[2]
ライン川

ライン川は主要国際河川の一つであり、スイスバーゼルからドイツを通り、河口にあたるオランダロッテルダム港までが航行可能で河川舟運に利用されている[2]。2016年のライン全域の年間貨物輸送量は約3億3,000万トンであった[2]。ライン川での貨物輸送量はヨーロッパの内陸水運の貨物輸送量全体の3分の2以上を占める[2]。ライン川舟運は安全性や経済性も評価されており、コンテナ、重量貨物、化学製品の輸送のほか、旅客輸送などにも利用されている[2]

オランダ:ロッテルダム港はライン川河口に位置するヨーロッパ最大の港となっている[2]。オランダでは国際貨物輸送の約半分、国内貨物輸送の約4分の1が内陸水運である[2]

ルクセンブルク:ルクセンブルクではライン川の支流であるモーゼル川が主要水路となっており、モーゼル川での輸送量の国内輸送量に占める割合は2010年で約4 %である[2]

ドナウ川

ドナウ川は全長2,860 kmのEU域内最大の河川でドイツ南部からルーマニアの黒海まで支流を含め19か国を流れる国際河川である[2]。ドナウ川は西ヨーロッパで最長の河川でありながら、2015年の欧州の内陸水運での輸送量シェアの10 %以下にすぎない[2]
ミシシッピ川

ミシシッピ川アメリカ合衆国ミネソタ州イタスカ湖からメキシコ湾に注ぐ全長3,782 kmの北米を代表する河川である[2]。ミシシッピ川の流域州は10州で支流を含めた流域面積は米国本土の約4割にあたる[2]

2015年の内航水運(ただし、河川舟運のほか沿岸海運を含む)の総貨物輸送量は9億480万ショートトンで、そのうちミシシッピ川の輸送量は本流だけで約3億1,580万ショートトンを占め、全内航輸送量の約35 %となっている[2]
日本の河川舟運1957年の河川舟運(潮来市)

日本の河川舟運は、古代より行われ、近代以前の年貢米の輸送や商品流通に大きく貢献してきた。その一方で、河川舟運は物資のみならず、地域の文化慣習を伝播するという面や、都市河岸・津などと呼ばれる船着場集落の形成にも役割を果たしてきた。近代に入ると、殖産興業政策による産業の発展に伴い、運搬する物資が増加し、河川舟運は最盛期を迎えた。しかしながら、明治中期以降、鉄道の開通河川改修陸上交通の発達、の役割の変化などに影響を受け、河川舟運は徐々に衰退していった。河川舟運に関する研究蓄積は多いものの、近代以降の河川舟運の盛衰過程については、未だ明らかになっていないことが多い。

昭和中期ごろまで、米や木材といった荷物を運ぶためには、険しい山道を歩く陸上交通よりも、水運の方がはるかに速く容易であったことから、ほとんどの河川で、現在の道路機能の代わりを担う、人や貨物を運ぶ重要な物流の中心となっていた[3]。たとえば、琵琶湖を水源とし大阪湾に注ぐ淀川では、上流域で瀬田川、中流域で宇治川と名を変えて呼ばれていて、京都大坂を結ぶ交通の大動脈として機能した。淀川に合流する支流の木津川は、奈良の平城京東大寺など寺院建設のために、瀬田川流域の森林から伐採された木材が木津川を遡って奈良に運ばれたりもされた[3]

明治に入って、鉄道網が整備されるようになると、川の交通は次第に衰退していったが、木材だけは昭和中期ごろまで「いかだ流し」と呼ばれる運搬方法によって川で運ばれていた。しかし、電源開発や利水確保のために川にダムが建設されるようになると、こうした木材運搬も廃れていった[3]

今日における交通の主役は陸上交通にとって代わったため、河川舟運はほぼ見られなくなったが、一部では、かつてのような本来の運搬としての機能の形を変えて、観光用の川下りや遊覧の船便があるほか、東京の首都圏では荒川隅田川水上バスが運行されている[3]
近代日本の河川舟運
北海道


石狩川十勝川天塩川

東北地方


馬渕川北上川鳴瀬川阿武隈川岩木川米代川雄物川子吉川最上川

関東地方


久慈川那珂川利根川小櫃川養老川荒川(埼玉県・東京都)、相模川渡良瀬川江戸川

北陸地方


荒川(新潟県)、阿賀野川信濃川神通川庄川九頭竜川北川


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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