典型契約
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この項目では、近代法に基づく契約行為について説明しています。

日本の民法上の契約については「契約 (日本法)」をご覧ください。

アブラハム宗教での神との契約については「契約神学」をご覧ください。

ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。契約、諾成契約、要物契約
法律行為の三態様[1]

契約(けいやく、: pactum, : contrat, : contract)は、複数の者の合意によって当事者間に法律上の権利義務を発生させる制度[2]。合意のうち、法的な拘束力を持つことを期待して行われるもののことで、特に雇用・売買・所有 等々に関して行われるもの[3]目次

1 私法上の契約

1.1 契約の機能

1.2 契約自由の原則

1.2.1 意義

1.2.2 内容

1.2.3 修正


1.3 契約の種類

1.3.1 典型契約・非典型契約

1.3.2 双務契約・片務契約

1.3.3 有償契約・無償契約

1.3.4 諾成契約・要物契約

1.3.5 要式契約・不要式契約

1.3.6 一回的契約・継続的契約

1.3.7 有因契約・無因契約

1.3.8 主たる契約・従たる契約


1.4 契約の成立

1.4.1 申込みと承諾の合致

1.4.1.1 申込み

1.4.1.2 承諾


1.4.2 交叉申込と意思実現

1.4.3 契約締結上の過失


1.5 契約の効力

1.5.1 契約の有効性

1.5.2 契約の当事者間効力

1.5.2.1 契約の一般的効力

1.5.2.2 双務契約特有の効力


1.5.3 契約の対第三者効力


1.6 契約の終了

1.6.1 契約の終了原因

1.6.2 契約の解除

1.6.3 契約の余後効


1.7 大陸法における契約

1.8 英米法における契約

1.8.1 コンシダレイション(Consideration)法理

1.8.2 契約の成立要件

1.8.3 捺印証書と約因

1.8.4 英米法における契約の申込み

1.8.5 英米法における要式契約


1.9 国際契約


2 公法上の契約

2.1 行政契約の意義

2.2 地方自治法


3 脚注

4 参考文献

5 関連項目

私法上の契約

大陸法の国であるドイツ日本では、私法上の契約とは、相対立する意思表示の合致によって成立する法律行為をいう。一方、英米法の契約の概念については、大陸法における契約の概念と多少異なる特徴を有し、後述のように例えば英米契約法では約因(consideration)または捺印証書(deed)が契約の有効性の要件となっていることなどの特徴がある[4]
契約の機能

人間は集団社会を形成する生き物であり、歴史の中で人間関係においては合意はもっとも尊重されなければならないとする契約遵守の原則が確立されてきた[5]

例えば古くから商品取引は売買契約によって行われてきたが、近代社会では本来取引的でない活動も契約によって行われている[2]。契約の拘束力は前近代の社会から認められてきたが、それは身分的覊束関係と密接に結びついたものであった[5]。しかし、近代社会においては、人間は自由で平等な法的主体であり、その自由な意思に基づいてのみ権利の取得と義務の負担が認められるべきであると考えられるようになった[5]。例えば商品を生産する労働過程は中世までは親方と徒弟という身分関係であったが、近代以降は労働者が使用者に労働力を提供して対価として賃金が支払われる一種の取引関係になっている[2]。また、土地の利用にもかつては領主と領民という身分関係があり、領主は領民を保護する代わりに領民から年貢を取り立てていた[2]。しかし、近代社会では地主が農民に土地を貸し、農民が対価として賃料を支払う一種の取引関係になっている[2]。生活全般が契約によって行われているのが近代社会の特徴であり、それは中世に身分制度で規律されていた領域にも及んでいる[2]。これを表現する語として、イギリスの法制史家であるメーン(Maine)の「身分から契約へ」がある[6]

その社会的背景としては、中世まで自給自足的経済だったものが、近代に入って資本主義の成立によって経済的な自由主義が発達したことがある[7]資本主義経済の下での社会は、貨幣経済が高度に発達し、商品流通過程においては売買契約、資本生産過程においては雇用契約(労働契約)の二つの契約が中核をなし、このほか他人の所有する不動産を生産手段として利用するための賃貸借契約、資本調達のための金銭消費貸借契約などが重要な機能を果たしている[8][9]

また、精神的背景としては、権威主義的な発想から、自分の意思に従って自由に権利や義務を発生させることができるというルネサンス以降の合理主義(近代自然法学)への転換がある[7]。ただ、近代以後、自由な意思に基づいて締結されている以上は、人と人との合意はいかなる内容であっても絶対的なものであるとの契約至上主義がみられるようになったが、一方で契約当事者が対等な地位でない場合については不合理な内容の契約が締結されるといった点が問題化し、現代では著しく社会的妥当性・合理性を失する契約は公序良俗違反あるいは強行法規違反として拘束力が否定されたり、事情変更の原則などによって是正を受けるに至っている[10]
契約自由の原則詳細は「契約の自由」を参照
意義

契約自由の原則とは、私的生活関係は自由で独立した法的主体である個人によって形成されるべきであり、国家が干渉すべきではなく個人の意思を尊重させるべきであるという私的自治の原則から派生する原則をいう[11]。この原則は、「レッセ・フェール」の思想の法的な表れとして意味をもつとされる[12]

なお、契約法の規定は基本的には契約自由の原則が妥当することから、原則的に強行法規ではなく任意法規とされる[13]
内容

契約締結の自由
契約を締結するか否かを選択する自由であり、契約締結の自由は申込みの自由と承諾の自由に分けられる
[14]


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