共線
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初等幾何学における点の集合の共線性(きょうせんせい、: collinearity)は、それら点がすべて同一直線上にあるという性質を言うものである[注釈 1]。与えられた点の集合が共線性を持つとき、それらの点は共線(きょうせん、: collinear, colinear[4])であると言う。極めて一般に、様々な対象に対してそれらが「一列に」("in a line") あるいは「一行に」("in a row") 並べられたときに、共線という言葉を用いることができる。
直線上の点とは

任意の幾何学において、一列に並んだ点の集合は共線であると言われる。ユークリッド幾何学において共線であるという関係は、同一の「直線」線上に並ぶ一連の点として直観的に視覚化することができる。しかし多くの幾何学において(それはユークリッド幾何学でもそうであるけれども)直線は根元的な幾何学的対象の型(英語版)として与えられるものであって、このような視覚化は必ずしも適切であるとは限らない。幾何学の数理モデルは、点や直線あるいはその他の型の幾何学的対象が互いにどのような関係性を持つものであるかの解釈を与えるものであり、共線性などの概念はそのモデルの与える文脈の中で解釈されなければならない。例えば、球面幾何学において直線とは球面の大円のことと解釈される標準モデルで考えれば、共線である点の集合は同一の大円上に載っている。この場合、点はユークリッドの意味での「直線」上には載っていないし、一直線に並んでいるとは考えづらい。

一つの幾何における幾何学的な写像で、直線を直線に写すものは共線変換(英語版)(共線写像)と呼ばれ、共線変換は共線性を保つ。例えばベクトル空間線型写像(線型変換)は、幾何学的な写像と見て、直線を直線に写す。したがって線型写像は共線な点の集合を共線な点集合に写すから、共線変換となっている。射影幾何学においてこれら線型写像は射影変換 (homography) と呼ばれ、これも共線変換の一種となっている。
線型代数学
座標からの共線性判定

解析幾何学において、n-次元空間内の三つ以上の相異なる点からなる集合が共線であるための必要十分条件は、それらのベクトルの座標を並べた行列の階数が 1 以下となることである。例えば、三点 X ? (x1, x2, …, xn), Y ? (y1, y2, …, yn), Z ? (z1, z2, …, zn) が与えられたとき、行列 ( x 1 x 2 … x n y 1 y 2 … y n z 1 z 2 … z n ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}x_{1}&x_{2}&\dots &x_{n}\\y_{1}&y_{2}&\dots &y_{n}\\z_{1}&z_{2}&\dots &z_{n}\end{pmatrix}}} が階数 1 以下ならばこれら三点は共線である。あるいは同じことだが、与えられた点の集合の任意の三点 X, Y, Z の成す部分集合に対して行列 ( 1 x 1 x 2 … x n 1 y 1 y 2 … y n 1 z 1 z 2 … z n ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}1&x_{1}&x_{2}&\dots &x_{n}\\1&y_{1}&y_{2}&\dots &y_{n}\\1&z_{1}&z_{2}&\dots &z_{n}\end{pmatrix}}} が階数 2 以下のとき、これらの点は共線である。特に平面 (つまり n = 2) のとき、後者の行列は 3 × 3 正方行列となり、三点が共線である必要十分条件をその行列式が零となることと述べることができる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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