六脚類
生息年代: 400?0 Ma[1] Pre??OSDCPTJKPgN
様々な昆虫(上)とトビムシ(下)
六脚類(ろっきゃくるい、hexapod, 学名: Hexapoda)は、節足動物を大きく分けた分類群の1つ、分類学上は一般に六脚亜門とされる。3対6本の脚を胸部に持ち、昆虫およびそれと共通点の多い内顎類で構成される[2][3]。
内顎類(内顎綱)のトビムシ目・カマアシムシ目・コムシ目はかつて昆虫(昆虫綱)に含まれる経緯があった。後に昆虫と区別され、この六脚類の分類体系に至った[4]。これにより、六脚類は「古典的な昆虫類」に相当で、ときには「広義の昆虫類」扱いともされる。
2010年代現在、六脚類と他の節足動物の系統関係については、側系統の甲殻類から派生し、共に汎甲殻類(Pancrustacea)を構成する説が広く認められる[3]。この場合、汎甲殻類は亜門扱いされ、そのうち六脚類は六脚上綱もしくは六脚綱とされることもある[5][6]。
形態「昆虫の構造」も参照D: 頭部、X: 胸部、N: 腹部
外骨格に覆われた体は数多くの体節からなり、順に頭部・胸部・腹部という3つの合体節を構成する。原則として頭部は1対の触角と数対の顎、胸部は3対の脚をもつ。胸部と腹部の体節は背面が背板(tergite, 胸部の場合は notum[7])に、腹面が腹板(sternite)に、左右が側板(pleura, pleuron, pleurite)に覆われている。
頭部
様々な昆虫の口器。赤:上唇、緑:大顎、黄:小顎、青:下唇
ハチの複眼と単眼
トビムシの単眼
頭部が触角を欠くカマアシムシ
頭部(head)は先節と直後5節の体節の融合でできた合体節で[8]、基本として触角・大顎・小顎・下唇という4対の付属肢(関節肢)をもつ。昆虫の場合、頭部は基本として側眼(lateral eye)由来の1対の複眼(compound eye)を左右に、中眼(median eye)由来の3つの単眼(ocellus, 複: ocelli)を背面中央に備わる。完全変態をする昆虫の幼虫は、往々にして複眼由来の側単眼(stemma)を1対上もつ。内顎類の場合、トビムシは側単眼を最多8対もち[5]、コムシとカマアシムシは眼を欠く[4]。
頭部の各部位と体節の対応関係は次の通り[8][9]。
先節 (ocular somite)
前大脳(protocerebrum)・頭楯(clypeus)・上唇(labrum)・口・眼に対応。他の節足動物と同様、上唇を付属肢由来と考えられる場合、これが先節由来の付属肢となる[10][11]。
第1体節 (somite I)
中大脳(deutocerebrum)に対応。1対の単枝型の触角(antenna)をもつ。なお、カマアシムシの場合は触角を欠く[4]。
第2体節 (somite II)
後大脳(tritocerebrum)に対応。胚発生の段階のみ見られる付属肢のない間挿体節(intercalary segment)[12]。これは多足類の場合も同様である[13]。甲殻類の第2触角をもつ体節に当たる。
第3体節 (somite III)
1対の大顎(大腮、mandible)をもつ。多足類と同様、大顎髭(mandibular palp)はない。なお、昆虫におけるコバネガ以外の鱗翅類では成虫が大顎を欠く。
第4体節 (somite IV)
1対の小顎(小腮、maxilla)をもつ。昆虫の場合、小顎は基本として小顎髭(小顎肢、maxillary palp[14][15])をもつ。甲殻類と多足類の第1小顎に相同。
第5体節 (somite V)
1対の小顎は基部が癒合し、下唇(labium)になる。昆虫の場合、下唇は基本として下唇鬚(下唇肢、labial palp)[16]をもつ。甲殻類と多足類の第2小顎に相同。
胸部6本の脚は胸部の3節(X - Z)に、昆虫の翅は中胸(Y)と後胸(Y)にある。昆虫の脚。Coxa 基節・Trochanter 転節・Femur 腿節・Tibia 脛節・Tarsus ?節からなり、?節は更に複数の?小節に細分される。
胸部(thorax)は3節の胸節(第6-8体節、順に前胸 prothorax・中胸 mesothorax・後胸 metathorax)からなり、それに応じて計3対6本の脚をもつ。脚は順に前脚 (foreleg)・中脚 (midleg)・後脚 (hindleg) と呼ばれ、付け根から先端まで基節 (coxa)・転節 (trochanter)・腿節 (femur)・脛節 (tibia)・?節 (tarsus) という5節の肢節に分かれている。昆虫の場合、?節は更に数節の?小節 (tarsomere) に細分される。