六三四の剣
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六三四の剣
ジャンル
剣道漫画
漫画
作者村上もとか
出版社小学館
掲載誌週刊少年サンデー
レーベル少年サンデーコミックス
発表号1981年17号 - 1985年41号
巻数少年サンデーコミックス(全24巻)
少年サンデーコミックスワイド版(全11巻)
小学館文庫版(全10巻)
アニメ
原作村上もとか
監督角田利隆
シリーズ構成山本優
音楽坂下秀実
アニメーション制作エイケン
製作テレビ東京、エイケン
放送局テレビ東京他
放送期間1985年4月18日 - 1986年9月26日
話数全72話
テンプレート - ノート

『六三四の剣』(むさしのけん)は、村上もとかによる日本漫画作品、及びそれを原作としたテレビアニメコンピュータゲームなどのメディアミックス作品群。

漫画原作は『週刊少年サンデー』(小学館1981年17号から1985年41号にかけて連載された[1]。単行本は少年サンデーコミックス全24巻、ワイド版全11巻、小学館文庫版全10巻が刊行されている。1984年には第29回小学館漫画賞少年部門を受賞[1]。1985年にテレビアニメ化、1986年にファミコン用ゲーム化がされるなど各種の展開が図られている。

剣道を題材とした正統派のスポーツ少年漫画[1]岩手県を舞台に、剣道一家に育った主人公・夏木六三四が父の死を乗り越え、ライバル・東堂修羅らとの対決を通じて成長する姿を描いている[1]。物語は小学生時代と高校生時代に分かれており、高校編では六三四が武者修行の末にインターハイ優勝を目指すストーリーとなる[1]
作品背景

作者の村上は剣道経験者であった父親から当時の思い出話を聞いて育ったため、剣道に憧れを抱いていた[2]。ただし、父親は進んで子供たちに教えるような性分ではなく、さらに作者の学生時代には身近に剣道場や剣道部がなかったことため、競技を実践する機会には恵まれなかった[2]。成人し漫画家となってからは『がんばれ元気』に影響を受けて、同作のような青春ものを描きたいという希望もあった[2]

村上にとっては『エーイ!剣道』(『増刊少年サンデー』1978年11月号から1980年3月号まで連載)に次いで2作目の剣道漫画となり、『エーイ!剣道』が10代後半の男性を主人公としたのに対し、『六三四の剣』では主人公の幼少期から成長していく姿を描いた[2]。1980年代初頭のサンデー誌上では、小山や金井たつおも剣道漫画の連載を希望していたため、本作も企画が流れる可能性があったが、編集部との交渉の末にかろうじて連載枠を獲得した[2]

村上は『エーイ!剣道』の執筆の際、剣道経験者として三田紀房に協力を仰いでいたが、妻の知り合いという縁で三田の兄・栄一郎も紹介された[2][3]。村上は栄一郎宅のある盛岡市を訪れうちに同地を気に入ったといい、作品の舞台に取り入れることとなった[2][3]

本作は主人公・六三四とライバル・修羅の関係が軸となるが、六三四については陽気なキャラクターであるものの、彼の父の死以降は、いかに内面を描くのか苦慮した[2]。六三四は岩手県、修羅が奈良県の出身のため両者の接点を作りづらかったが、親子二代にわたる因縁を作ることでストーリーに絡めた[2]。また、村上と編集者の島地勝彦の対談によれば、本作は柴田錬三郎の小説『決闘者』に描かれる宮本武蔵の姿に着想を得ているという[3]

なお、主人公の六三四など登場人物のセリフは標準語ではなく岩手の方言となっている[2]。村上によれば地域ごとに方言にも違いがあるという理由から、アレンジを加えたものもある[2]
評価

高取英は本作について、「少年の成長を描き、ライバルとの闘争、技術と精神力の向上を通じた自己の成長、親と子、恋愛など、少年マンガの全ての要素が入り込んでいる」と評している[4]。高取によれば「主人公の少年が父の意志を継ぐ」という構造は少年マンガの古典的パターンとして定着しているが、本作では『柔道讃歌』と同様に主人公を鍛え、その成長を後押しする存在として母親にも焦点が当てられている[4]。さらに主人公とライバルの双方に恋愛の要素が絡められている点を含め、「おそらく『イガグリくん』から始まって『巨人の星』『柔道讃歌』と展開されてきた古典的少年マンガは、この『六三四の剣』で集大成されたのである」と評している[4]

夏目房之介によれば、本作の連載はラブコメディ全盛の中で古典的少年マンガが後退した時期にあたり、時代的な要請から恋愛要素も取り入れているが、形式的なものに過ぎないとしている[5]。夏目は本作を「ひたすら剣道に向かって描かれ、剣道ばっかりの話で集約した」作品と評している[5]

逢河信彦編著の『格闘技マンガ、アニメ、ゲーム、ノベル99の謎』によれば、『おれは鉄兵』以来、剣道漫画はヒットに恵まれず、「剣道漫画は傑作に恵まれない」という見方が大勢を占めていたが、本作品はオーソドックスな作風ながらそうした評価を覆して人気作品となった[6]。逢河は本作品について「剣道という、地味でさほど絵的に工夫の余地のないものを、村上はつとめて正確に描いた。現実の試合以上の迫力を出すことに成功したといっていい」と評価しているが、一方で現代剣道における技のみでは限界を感じ、作品中盤からは示現流二刀流といった古流剣術を出さざるを得なくなったとも指摘している[6]
あらすじ

剣道岩手県大会を制した夏木夫婦の元に男の子が生まれる。誕生日時が6月3日の午後4時であることから[7]、六三四と名付けられた。六三四は両親の影響から、3歳の時に剣道を始める。六三四が小学校1年生の時、父親の栄一郎は、出場した剣道大会にて優勝を手にしたものの、自身の先輩である東堂国彦との試合中に負った傷によって死亡。東堂への恨みを抱いた六三四だったが、その息子であり最大の好敵手となる東堂修羅と互いに切磋琢磨し、剣道を通して成長してゆく。
登場人物
夏木家
六三四
- 渕崎ゆり子、青春編は堀川亮、PS2版は緑川光主人公。剣道一家に生まれた「剣道のサラブレッド」として、幼い頃から竹刀を握る活発な少年である。幼少時から年齢のわりに身体能力が高くとてつもないわんぱく小僧で暴れん坊だったが、高校進学時はそれなりに礼儀もわきまえた青年に成長していた。小学生低学年の時は剣道をしないでスキーにハマっていた。後に北上少年少女剣道クラブ入門するものの轟以外は稽古相手になる者が居なかったため、大石に稽古をつけてもらっていたほか、各中学校や高校の剣道部に道場破りをしていた。その後、警察署の道場で鍛えてもらう。中学時代は全国制覇出来なかった。中2の時は東堂を倒したものの準々決勝で敗れ、3年次は準決勝で東堂に敗れ、東堂が全国制覇する。高校進学に当たっては、父と同じ開陽高校に入学し、下宿生活を送る事となる。轟の酒屋でバイトし、夏休みに八雲大と4強(日高・有働・東堂)の元で武者修行する。原作最終回では修羅にあてた手紙の中で将来は教師を目指すとある。
佳代
声 - 吉田理保子六三四の母。旧姓・朝倉。全日本女子選手権優勝を果たし、「東北の鬼ユリ」と評される剣道4段の達人でママさん剣士はおろか、若先生や一般男性でも太刀打ち出来ない。北上少年少女剣道クラブでコーチを務め、団体戦の出場者の特訓も行う。梶は練習はキツイが最高のコーチだと評している。当初は専業主婦だったが、夫が武者修行の為、警官を退職した際に小学校教諭になる。元々学生時代に学生運動へ参加しており、亡夫である栄一郎に面を食らわせた事がきっかけで付き合い、結婚している。六三四が高校時代に剣道を本格的に再開して全国大会に出場する。スタミナ不足と戦いながらもブランクを感じさせない活躍を見せ準決勝戦に進出し、風戸と対決。風戸をして「東北の鬼ユリは錆び付いていない、気を抜けば一瞬でやられる」とした気迫を見せ、「真剣であれば真っ二つに断ち切られていた」と語る面を喰らわせるも、惜敗した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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