公営住宅
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横浜ドリームハイツ
神奈川県横浜市戸塚区
横浜ドリームランドの跡地に建設された。横浜市が運営する市ドリームハイツと、神奈川県住宅供給公社が運営する県ドリームハイツが隣接する。この建物は市ドリームハイツ。高崎市営中居住宅
群馬県高崎市中居町)[1]愛知県営戸田北住宅
愛知県名古屋市中川区戸田明正市営住宅の看板
名古屋市営中あじま
(愛知県名古屋市北区

公営住宅(こうえいじゅうたく)は、公的機関が直接供給・管理している住宅[2]。なお、所有者が公的機関であるかを問わず、建設や維持管理に公的助成を受け、低家賃で貸与・供給されているものは社会住宅という[3]イギリスアメリカには政府の公的機関が直接的に住宅を供給する公営住宅制度がある[2]。一方、フランスドイツでは住宅の供給は経済活動とされ行政機関が直接行うものではないとされており、地方自治体による公営住宅は歴史的に存在せず、適正家賃住宅組織による社会住宅制度が存在する[2]
日本の公営住宅法的根拠については「公営住宅法」を参照

日本では、公営住宅法昭和26年法律193号)によって定められている。地方自治体の中には「都民住宅[4]」「市民住宅[5]」などの名で中堅所得者層を対象とした賃貸住宅を運営しているものもあるが、これらは公営住宅とは別のものである。
歴史

日本では、大正中期から昭和初期にかけて公営住宅に関する実験的な取り組みが行われるようになった[6]

1922年(大正11年)9月21日からは大阪府住宅改造博覧会が開催された。

1923年(大正12年)に発生した関東大震災を受け、たとえば現在の港区立芝小学校などにバラックが建てられ[7]、翌1924年(大正13年)には震災義捐金で財団法人同潤会が設立されると、仮設住宅に続き鉄筋コンクリート造アパート・同潤会アパートの建設が始まり、合計16カ所に完成した[8]。同潤会は1941年(昭和16年)の太平洋戦争勃発に伴い、主に軍需産業の労働者への住宅供給を行う住宅営団へと発展的に解消した[9]

1927年(昭和2年)には不良住宅地区改良法が施行され、住宅地区改良事業が進められ改良住宅が建設された。これは戦後の1960年(昭和35年)5月17日に制定された住宅地区改良法に引き継がれた。

1945年(昭和20年)に終戦を迎えた後、主要都市は空襲により住宅の絶対数が不足しており、主要な戦災都市に越冬のための簡易住宅30万戸を国庫補助により建設することが決定された[10]1949年(昭和24年)頃になると資材不足は緩和し、応急的な住宅政策から恒久的な住宅政策へと移った[11]1950年(昭和25年)には住宅金融公庫が発足した。

1951年(昭和26年)6月4日には公営住宅法が制定[12]、同年7月1日に施行された[12]。同法に基づき、公営住宅の整備が本格的に始まった[13]。深刻な住宅不足を解決すべく、戦後復興の一環として国民に住宅を大量供給する目的で開始された[13]。当初の公営住宅の入居者は低所得者層ではなく、家賃支払能力のある所得階層を対象としており[13]、公営住宅にはセーフティーネットとしての機能は持たされていなかった[13]

その後、1955年(昭和30年)に日本住宅公団(現:都市再生機構)が設立。高度経済成長によって増加したサラリーマン世帯を主とする勤労者階層に対する住宅供給は公団住宅が担うこととなり、公営住宅は世帯主が低所得者または身体障害者で夫婦を主体とする社会福祉の一環[12]として位置づけられるようになっていった。

平成初期の1990年代半ば以降は、住宅関連に対する政府による公的支援は大幅に削減された。住宅政策・都市計画を専門とする平山洋介によれば、これにより「住宅と住宅ローンの大半」が市場に委ねられることとなった[14]2005年(平成17年)には公営住宅の戸数が減少に転じた[14]

2003年に公営施設(都道府県市区町村営)の業務を民間に委託する「公設民営」改革の一環による、指定管理者制度が法律化されたことにより、主に都道府県営か、政令指定都市中核市特別区営の公営住宅を中心に、指定管理者による民間委託が実施されている事例も増えている[15]。 2024年には所得基準(税などを除いて1カ月の所得が月15万8000円以下)を5年以上超えた非低所得者らが本来定められている退去処分や警告も受けず、公営住宅に住み続けていた問題が発覚した[16][17][18]
名称

殆どの名称が「?住宅」または「?団地」という名称だが、東京都営住宅や広島市営住宅は「?アパート」[* 1]名古屋市営住宅は「?荘」という名称である。
問題点

また、阪神・淡路大震災東日本大震災以後の大規模震災発生後、築40年以上経過したものに関しては、建て替え、ないしは耐震補強工事を進めつつ、バリアフリー推進の流れから、エレベータースロープの設置が進められているが、エレベーターに関しては、建築基準法により基準として高さ31m以上の建物、並びに「サービス付き高齢者向け住宅」についても3階建て以上の建物はエレベーターの設置が必須[19]とされ、それ以下は原則的にその設置義務がないことなどから、エレベーター自体が設置されていない住宅も多いため、近年は従来からの住宅に外付けする形で、国土交通省を中心として提案を募集した4人程度が乗れる低コストの小型タイプのエレベーターを1階層につき2部屋(実際は中間階に設置するため、2階層・4部屋)を1つで共有する階段室型、または片廊下増設型[20]のどちらかで設置する計画が進んでいる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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