八重山方言
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八重山語
八重山方言
スマムニ/ヤイマムニ(八重山物言)
石垣市美崎町の美崎通りにある看板
話される国日本
地域八重山列島
話者数47,600 (2000年)[1]
言語系統日琉語族

琉球語派

南琉球語群

八重山語



表記体系平仮名
言語コード
ISO 639-3rys
Glottologyaey1239[2]
消滅危険度評価
Severely endangered (Moseley 2010)
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八重山語(やえやまご)または八重山方言(やえやまほうげん)、八重山諸方言(やえやましょほうげん)は、八重山列島石垣島竹富島小浜島黒島新城島波照間島西表島鳩間島で話されている言語方言)の総称である。琉球諸語(琉球語、琉球方言)の一つ。約44,650人の話者がいる。現地ではスマムニ[3]、ヤイマムニと呼ばれる。八重山諸島の与那国島の方言は八重山語に属さず、与那国語とされる。

八重山においても沖縄県の他の地域と同様にウチナーヤマトグチ化が著しく、2009年2月にユネスコにより消滅危機言語の「重大な危険」(severely endangered)と分類された[4][5][6]
区分

島ごとに次のように区分される。これらの間の方言差は著しく、お互いに通じにくい[7]。また、石垣島においては地区ごとにも若干の方言差がある。例えば石垣島大浜地区では中舌母音が衰微している[8]

石垣島方言

竹富島方言(テードゥンムニ[9]

黒島方言

小浜島方言

新城島方言

西表島方言(バシマムニ[10]

鳩間島方言

波照間方言(波照間島と、そこから18世紀に集団移住があった石垣島白保地区[11]

音韻
音韻体系

八重山語を代表して、石垣島中心部の石垣方言の音素を示す[12]

母音音素 /i, i, e, a, o, u/

半母音音素 /j, w/

子音音素 /h, k, g, t, d, c, s, z, r, n, p, b, m/

拍音素 /Q, N/

石垣島・竹富島・小浜島・新城島・西表島古見では/i、i、u、e、o、a/の6母音体系を持つ。波照間島・石垣島白保ではこれらに/e/の加わった7母音体系を持ち、鳩間島・黒島・西表島租納などでは/i/が/i/に統合して5母音体系となっている[13][14](以下、iと区別するために、iは赤字で示す)。このうち中舌母音/i/は、[si]または[zi]のように摩擦音を伴って発音される。/e/、/o/は母音が融合してできたもので、ほとんど長母音として出現する。ただし波照間島や石垣島白保では、[sino](角)、[jogosu?](休む)のように、短母音e、oが現れる[15]

八重山語では一般に連母音は融合しないが、特定の語、特定の方言によっては融合する。(例)[mai](米・石垣方言など)、[sau](竿・鳩間方言など)、[me?](前・波照間方言)、[so?](竿・石垣方言など)[16]

無声子音に挟まれた狭母音が無声化する現象は日琉諸語一般に共通するが、波照間島・小浜島・西表島などではこれら以外の条件でも母音の無声化が著しい。広母音の無声化や、無声子音とm、nに挟まれた母音の無声化現象が起こる。

八重山語では、北琉球諸語や与那国語にあるような有気音と無気喉頭化音の対立はない。また、声門破裂音?も、音声的には出現することはあっても弁別的特徴ではない。

黒島では唇歯音のf・vが存在する。鳩間島ではfはあるがvはない[17]。また西表島租納や竹富島には鼻母音が現れる[18]

石垣方言の拍体系[19] /i//i//e//a//o//u//ja//jo//ju//wa//wo/
/O//i/
[i]
[?i]/i/
[i]/e/
[e]/a/
[a]
[?a]/o/
[o]
[?o]/u/
[u]
[?u]/ja/
[ja]/jo/
[jo]/ju/
[ju]/wa/
[wa] 
/h//hi/
[ci]  /ha/
[ha]/ho/
[ho]/hu/
[?u]   /hwa/
[?a]/hwo/
[?o]
/k//ki/
[ki]/ki/
[ki]/ke/
[ke]/ka/
[ka]/ko/
[ko]/ku/
[ku]/kja/
[kja]/kjo/
[kjo]/kju/
[kju]/kwa/
[kwa] 
/g//gi/
[gi]/gi/
[gi]/ge/
[ge]/ga/
[ga]/go/
[go]/gu/
[gu]/gja/
[gja]    
/t//ti/
[ti] /te/
[te]/ta/
[ta]/to/
[to]/tu/
[tu]     
/d//di/
[di] /de/
[de]/da/
[da]/do/
[do]/du/
[du]     
/c//ci/
[t?i]/ci/
[tsi] /ca/
[tsa]/cu/
[tsu]/cja/
[t?a]/cjo/
[t?o]/cju/
[t?u]  
/s//si/
[?i]/si/
[si]/sa/
[sa]/so/
[so]/su/
[su]/sja/
[?a]/sjo/
[?o]/sju/
[?u]  
/z//zi/
[d?i]/zi/
[dzi] /za/
[dza]/zo/
[dzo]/zu/
[dzu]/zja/
[d?a]/zjo/
[d?o]/zju/
[d?u]  
/r//ri/
[?a]/ri/
[ri]/re/
[?e]/ra/
[?a]/ro/
[?o]/ru/
[?u]/rja/
[?ja]   
/n//ni/
[ni] /ne/
[ne]/na/
[na]/no/
[no]/nu/
[nu]/nja/
[?a]    
/p//pi/
[pi]/pi/
[pi]/pe/
[pe]/pa/
[pa]/pu/
[pu]/pja/
[pja]/pjo/
[pjo]   
/b//bi/
[bi]/bi/
[bi]/be/
[be]/ba/
[ba]/bo/
[bo]/bu/
[bu]/bja/
[bja] /bju/
[bju]  
/m//mi/
[mi]/mi/
[mi]/me/
[me]/ma/
[ma]/mo/
[mo]/mu/
[mu]/mja/
[mja]    
拍音素/N/ [n, ?, m, ?]/Q/ [p, t, k]

日本語との対応

母音の対応関係日本語アイウエオ
石垣島、小浜島、新城島、波照間島、(竹富島)/a//i//u//i//u/
西表島祖納、鳩間島、黒島/a//i//u//i//u/

八重山語の大部分では、日本語のeがiに変化した一方、日本語のiは中舌母音iに変化しており、エ段とイ段の区別を保っている。しかし、iは次第に衰退していく方向にあり、西表島租納や鳩間島、黒島ではiがiに統合している。竹富島でも、iはs、c、zの後にしか現れず、それ以外の拍ではiに統合している[20]

カ行では、日本語のキは、石垣方言ではkiだが、竹富島や波照間島などでは/si/または/si/が対応する。(例)[?inu?](昨日)[21]。日本語のクは、/hu/となる。(例)[?ut?iri](薬)[22]。また、語中のカ行子音は、[?agairu](赤色)[23]のように濁音化する傾向があり、隣の与那国語ではこれが規則的である。

タ行では、tがsに変化している例が多く認められる。(例)[pusu](人・鳩間方言)、[?i?](手・波照間方言)、[?i?](血・黒島方言、鳩間方言)、[sike?](月・波照間方言)[24]またタ行およびサ行では、日本語のウ段はイ段へ統合しており、チとツ、シとスの区別はなくなっている。

日本語の語頭のハ行子音は、八重山語全域でpとなる。日本語のハ行子音が古くはpだったとされ、それを残しているものとして有名である。ただし、ウ段のフは八重山語では/hu/([?u]あるいは[fu])となる。宮古方言ではフはfuであり、八重山語でも古くはfuだったと考えられている(pu→fu→?u)[25]。(例)[pana](花)、[pi?](火)、[?uni](舟)[26]


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