八甲田山
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この項目では、青森県にある火山群について説明しています。

同名の映画については「八甲田山 (映画)」をご覧ください。

同名のテレビドラマについては「八甲田山死の彷徨#テレビドラマ版」をご覧ください。

八甲田山
北西から望む北八甲田火山群
左に前嶽、中央手前が赤倉岳、奥に井戸岳、右に田茂萢岳
標高大岳: 1,584 m
所在地青森県青森市十和田市
位置.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯40度39分31秒 東経140度52分38秒 / 北緯40.65861度 東経140.87722度 / 40.65861; 140.87722座標: 北緯40度39分31秒 東経140度52分38秒 / 北緯40.65861度 東経140.87722度 / 40.65861; 140.87722 (大岳)
山系奥羽山脈
種類複成火山[1][2]
成層火山溶岩ドームの火山群)[3]
.mw-parser-output .locmap .od{position:absolute}.mw-parser-output .locmap .id{position:absolute;line-height:0}.mw-parser-output .locmap .l0{font-size:0;position:absolute}.mw-parser-output .locmap .pv{line-height:110%;position:absolute;text-align:center}.mw-parser-output .locmap .pl{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:right}.mw-parser-output .locmap .pr{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:left}.mw-parser-output .locmap .pv>div{display:inline;padding:1px}.mw-parser-output .locmap .pl>div{display:inline;padding:1px;float:right}.mw-parser-output .locmap .pr>div{display:inline;padding:1px;float:left}八甲田山 (青森県)


八甲田山 - 地理院地図

八甲田山 - Google マップ

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プロジェクト 山
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八甲田火山の地形図
上、北八甲田火山群(後カルデラ火山)[注釈 1]
下、南八甲田火山群(先カルデラ火山)
右上、八甲田カルデラ北方の青森港から見た八甲田山。中央が北八甲田火山群で右が南八甲田火山群

八甲田山(はっこうださん)は、青森市の南側にそびえる大岳(標高1,585m)を主峰とする18の山々からなる複数火山の総称[4]日本百名山の一つ[4]
概要

「八甲田山」と名がついた単独峰が存在するわけではなく複数の成層火山や溶岩円頂丘で構成される火山群である。青森県のほぼ中央に位置し、約20km南には十和田湖が位置する。東北地方の脊梁奥羽山脈の北端である。

主峰は大岳(八甲田大岳)の標高1,585m[4]。これは青森県の最高峰岩木山」標高1,625mに次ぐ高さである。

八甲田山周辺は広く十和田八幡平国立公園に指定されている[5]。また、八甲田山周辺は田代平や寒水沢上流の一部を除く広い範囲が国有林や保安林に指定されているほか、大岳周辺から蔦温泉周辺にかけて国指定の鳥獣保護区特別保護地区に指定されている[5]。八甲田山は2016年12月1日より気象庁指定の常時観測火山となっている[6]

周辺は世界でも有数の豪雪地帯である。明治35年に青森の歩兵第五連隊が雪中行軍の演習中に記録的な寒波に由来する吹雪に遭遇し、210名中199名が遭難死した事件(八甲田雪中行軍遭難事件)が発生、それを基に新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』が書かれ映画化もされている。なお、陸上自衛隊青森駐屯地に駐屯する第5普通科連隊も、(遭難死した青森歩兵5連隊の隊員慰霊も兼ねて)毎年厳冬期に八甲田山系での冬季雪中戦技演習を行なっている。
命名の由来

命名の由来について「新撰陸奥国志」によれば、八の(たくさんの)甲(たて)状の峰と山上に多くの田代(湿原)があるからという。

中道等は、『十和田村史』で菅江真澄の『とわだのうみ』や『いはてのやま』を引いて、1407年(応永14年)の『三国伝記』の「奴可(ぬか)の岳」から、十和田の古称の「糠檀(こうだ)の岳」が発祥したとする説を紹介し、菅江真澄の博識ぶりに感服している。『三国伝記』では、あるとき、女が難蔵に向かって言うことには「この言両(ことわけ)の嶺の西三里に、奴可(ぬか)の嶺という所に池があり、その池に八頭(やまた)の大蛇(おろち)がいる。私を妻として1月のうち上旬の15日は奴可の池に住んで、下旬の15日はこの池に住んでいるので、今はちょうど来る時期です。心してください」という記述がある。これが、南祖坊と八郎太郎が初めて登場するくだりである(三湖伝説)。この奴可が、八甲田山東部の郡の古名、糠部(ぬかのぶ)郡の由来になり、のちに音読され糠檀(こうだ)の岳に変わったと言うのである。これより先に、元禄のはじめに南部藩に逗留した京都の医師の松井道圓の作とされる『吾妻むかし物語』でも、この説は言及されており、菅江真澄は南部藩周遊中にこの本を読んだ可能性がある。

糠檀の文字を最初に記録しているのは1731年(享保16年)の『津軽一統志』の中の1536年(天文5年)の『津軽郡中名字』で「津軽と糠部の境、糠檀ノ嶽に湖水有、地神五代より始まる也。数ヶ年に至て大同二年斗賀の霊験堂の宗徒、南蔵坊と云法師、八竜を追出し十湾の沼に入る。今天文五年まで及八百余歳也。」である。以来、八甲田の呼び方はコウダとハツコウダ(ヤツコウダ)の2つに大別される。1645年(正保2年)の絵地図では八甲田山を津軽藩は「かうたの嶽」、南部藩は「高田嶽」としており、共に公式名はコウダだったことが分かる[7]
八甲田山系南西の阿闍羅山より見た八甲田山大岳(左)と硫黄岳(右)を西から溶岩ドームの雛岳を東北東から望む。雛岳に重なるように高田大岳が左に見えている。右奥で雲の掛かっているのが八甲田大岳。

八甲田山系は八甲田大岳を盟主として南北2群の火山よりなり、その中間に睡蓮沼を含む湿原地帯がある。

山系を構成する山々は国道103号国道394号の重複道路を境に、北部八甲田山系と南部八甲田山系に分かれて、後者の方が地層が古い。
北部八甲田山系
北部より前嶽・田茂萢岳 (1,324m) ・赤倉岳 (1,548m) ・井戸岳 (1,550m) ・大岳 (1,584m) ・小岳 (1,478m) ・高田大岳 (1,559m[8]) ・雛岳 (1,240m) ・硫黄岳(八甲田) (1,360m) ・石倉岳(1,202m)
南部八甲田山系
北部より逆川岳 (1,183m)・横岳(1,339m) ・猿倉岳 (1,354m) ・駒ヶ峯 (1,416m) ・櫛ヶ峯 (1,517m) ・乗鞍岳(八甲田)(1,450m) ・南部赤倉岳(1,290m)

全国的にはさほど高くはない1600mに満たない山地ではあるが、青森県を東西に二分し、それぞれの気候の特徴に大きな影響を与えている。夏季は太平洋から冷たく湿った北東からの季節風「やませ」が吹き込み、青森県の太平洋側は濃霧・冷害に見舞われる。対して八甲田山の西側は優良な稲作地帯で、弥生時代の水田跡が発見されている。冬季は日本海から湿った北西の季節風が吹き、津軽地方に雪をもたらす。一方、八甲田山の東側は晴天率が高く降雪も少ない。夏冬いずれも、八甲田山によるフェーン現象であると考えられている。

高田大岳は登山道がほぼ一直線に頂上までつながっており、八甲田山系の登山道の中で最も厳しいコースとして有名である。
地形と噴火史

八甲田山は、その南に位置する十和田湖と同じく、カルデラを有する火山群である。広い湿原のある田代平近辺の窪地がカルデラの北半分に相当し、南半分はカルデラ形成後に噴火した八甲田大岳などの火山群が盛り上がっている。櫛ケ峯(1,517m)のある南八甲田は古い先カルデラ火山に相当する。カルデラを形成した巨大噴火は、調査されているだけで過去2回(65万年前と40万年前)発生した。南八甲田は2回目のカルデラ噴火の前に火山活動を終えている。北八甲田はカルデラ南半分を埋める形で16万年前から活動を始め、繰り返し噴火しながら多数の(余り大きくない)成層火山を形成した。歴史時代の記録では溶岩を流出するような大きな噴火は無いが、山群の所々から火山ガスが噴気している。
観測体制

気象庁や防災科学技術研究所等の地震観測施設により地震の観測が行われている[9]


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