全米オープン選手権
U.S. Open
トーナメント情報
創設1895年
開催地 アメリカ合衆国
主催USGA
ツアーPGAツアー
DPワールドツアー
競技方法ストロークプレー
賞金総額US$20,000,000
開催月6月
最高記録
最少打数268 ローリー・マキロイ (2011年)
通算スコア?16 ローリー・マキロイ (2011年)
?16 ブルックス・ケプカ (2017年)
最新優勝者
ウィンダム・クラーク
全米オープン選手権(ぜんべいオープンせんしゅけん、英語: United States Open Championship, U.S. Open)は、ゴルフのメジャー選手権の一つで、アメリカのゴルフ競技団体全米ゴルフ協会主催で、毎年6月中旬に開催する地区を毎年変えて実施している。選手権は大会の順延がない限り父の日(6月第3日曜日)を最終日と基準として開催されている。日本では単に全米オープンと呼ばれる事が多い。優勝者にはフェデックスカップポイント750点が加算されるほか、OWGRポイント100点が加算される。
概説全米オープン優勝トロフィー(複製)
この選手権にはアメリカ国内の各地をはじめ日本やイギリスで予選会があり、最終予選を通過した選手が出場資格を得られることから“オープン”と呼ばれる。地区予選会に出場するアマチュア選手のハンディキャップは「1.4以下」と定められている。彼らが世界各地の賞金ランキング上位選手や、世界ランキング上位選手たちと互角に渡り合って戦う姿は、全米オープン最大の見どころのひとつと言えよう。プロゴルファーに匹敵する力量を持ちながら、あえてプロの道を選ばずにアマチュアゴルファーの道を貫くベテランのアマチュア選手たちを見ることもできる。
全米オープンの開催コースは、大会の5年以上前から定められ、それに合わせてコース設定を調整していく。セッティングの特徴は、非常に深いラフと狭いフェアウェイであり、近年では優勝スコアをイーブンパーと想定してコースを作っている。マスターズを含む他のトーナメントが派手なバーディーの取り合いによるエンターテイメント性を否定せず、ミスはその後で取り返すことを許すのに対し、全米オープンは選手にひたすらパーを積み重ねることを要求し、落としたスコアを取り戻すのは困難を極める。メジャーの中でも、とりわけ選手たちの「忍耐力」が試され、「最強のゴルファー」に栄誉を与えるトーナメントと言える。それを象徴するかのように2006年、2007年と優勝スコアは5オーバーという結果であった。余りに厳しいセッティングは、選手から「ナイスショットを打ってもラフやバンカーにボールが飛び込み、フェアではない」との愚痴をこぼさせるほどである。[注 1]
予選ラウンド終了時(2日目終了時)において、60位タイ以上、およびトップから10ストローク以内のプレイヤーのみが、3日目以降の決勝ラウンドに進むことができる。
なお、72ホール(4ラウンド)終了時にトップが2人以上いた場合は、2ホールの合計ストロークで競うプレーオフを行う。2ホール終了してなお同スコアの場合はサドンデスに突入する[1]。2017年までは翌日18ホールのプレーオフで実施していた。
優勝選手にはジャック・ニクラス・メダルと優勝トロフィーがUSGA会長から授与される。また、5年間のPGAツアーシード権が与えられるが、1970年までの優勝者はPGAツアー永久シードが与えられていた[2]。 全米オープンは年齢や男女を問わず[3]あらゆるプロ、もしくはUSGA男子ハンディキャップインデックスが 1.4 [3]未満のあらゆるアマチュアに出場申し込み資格がある。予選免除資格を満たしている者および予備予選を勝ち上がった者が本戦に出場できる。本戦には総勢156名が出場する。 本戦出場者のほぼ半数は予選免除資格者である。現在の予選免除資格は[4][5];
本選出場資格
過去 10 年間の全米オープン優勝者
前年の全米アマの優勝者及び2位入賞者、前年の全米ミッドアマ、全米ジュニアアマ
前年の全英アマ優勝者
前年のMark H. McCormack Medal 保持者(マーク・H・マコーマック・メダル、世界のアマチュアゴルファーランキングのトップ)
当該年を含む過去5年間のマスターズ・全米プロ・全英オープン優勝者
過去3年間のザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップ優勝者
その年の欧州ツアーBMW PGA選手権優勝者
前年夏季オリンピック(オリンピック実施翌年のみ)における男子個人ゴルフ競技金メダリスト
前年の全米シニアオープン優勝者
前年全米オープンにおける上位10位(タイを含む)までの者
前年シーズン最終のツアーチャンピオンシップ出場者
大会3週間前の時点におけるワールドゴルフランキング (Official World Golf Ranking, OWGR) 上位60位までの者
大会開催週における OWGR 上位60位までの者
USGA特別推薦者
アマチュア選手の予選免除枠は当該選手が本戦スタート前およびプレー中を通してアマチュアであることが条件となるが[6]、全米アマ優勝資格は2020年大会よりプロ転向後も出場が可能になる予定。
2011年以前は OWGR 招待枠は「大会3週間前の時点で上位50名」だったが、2011年から「大会当日において50位以内」での招待枠が追加された。これは明らかに元のカットオフ日から3週間の間にトップ50に入ってくる選手(2010年のジャスティン・ローズとリッキー・ファウラーはこの規定があったら本戦出場できた)を意識したものだ。
2011年までは PGA、欧州、日本、オーストラリア / アジアのツアーにおける賞金獲得上位者、および当該年の全米オープンまでの期間の PGA ツアー試合で2回以上優勝した者も招待されていた。だがこれらは OWGR の招待枠が60位までに拡大されたことを受けて廃止された。また、2012年より当該年の欧州ツアーであるBMW PGA選手権優勝者にも招待枠が設けられた。これはその大会が米国におけるプレーヤーズチャンピオンシップと同格であるとの判断による。
予選免除資格を満たさない選手は2段階の予備予選大会に出場しなければならない。近年ではおよそ9,000人がエントリー申込を行っている。1段階目はローカル予選 (Local Qualifying) と呼ばれ、米国内の100か所以上のゴルフ場で18ホールのストロークを競い、およそ550名が次の段階の予選に進出できる。このローカル予選は規定によりそれまでの実績等によって多くの選手が免除される。次いでセクショナル予選 (Sectional Qualifying) と呼ばれる1日で36ホールの最終予選があり、ローカル予選通過者に加えてローカル予選免除者により争われる。実施コースは米国内数か所と欧州および日本のそれぞれ1か所となっている。本戦に出場できる者の総数は予選免除資格者の数によって毎年異なり、また、セクショナル予選実施コースの難度によっても通過者の数は異なる。この通過者人数は予選エントリー申込終了後にUSGAにより公示される。各コースでの通過者の最終順位が同じ(タイ)選手が複数いる場合には、直ちにホールバイホールでのプレーオフが行われる。
これら予備予選において、最少スコア者およびセクショナル予選では最少スコアのアマチュアには銀のメダルが授与される。また、ローカル予選においてUSGAの定めた当該コースのコースレートに対して8以上多く打った場合、次年から参加申し込みができなくなる。
前述ワールドゴルフランキング60位以内の2回目のカットオフが行われ予選免除者数が確定したのち、棄権者等により空席が発生した場合には予備予選の補欠者が充当される。2012年、出場予定だったポール・ケーシーが大会開始数日前に出場辞退したためセクショナル予選出場者からの補欠繰り上げが行われ、中国出身のアンディ・ジャンが最年少の14歳で本戦出場した。 USGAは1966年以降これまでに 34 名の選手に対して 52 回の特別枠招待を行っている。この中で複数回の招待を受けた選手としては: アーノルド・パーマー(1978, 1980, 1981, 1983, 1994年)、セベ・バレステロス(1978、1994年)、ゲーリー・プレーヤー(1981, 1983年)、リー・トレビノ(1983, 1984年)、ヘール・アーウィン(1990, 2002, 2003年)、ジャック・ニクラウス(1991, 1993, 1995, 1996, 1997, 1998, 1999, 2000年)、トム・ワトソン(1993, 1996, 2000, 2010年)などが挙げられる。 ヘール・アーウィンは1990年の全米オープンにこの特別招待枠で出場して優勝した。2016年にはかつてのチャンピオン レティーフ・グーセン が招待された。2018年にはジム・フューリクとアーニー・エルス(いずれも優勝経験者)の二人が招待された。
USGAによる特別招待枠