入会権
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

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入会権(いりあいけん)とは、村落共同体等が、主として山林原野において土地総有などし、伐木・採草・キノコ狩りなどの共同利用を行う慣習的な物権。入会権の客体たる土地を入会地(いりあいち)といい,入会権の帰属主体としての村落共同体を入会団体(いりあいだんたい)ないし入会集団(いりあいしゅうだん)という。判例(最判昭和41年11月25日民集20巻9号1921頁等)は、入会団体の共同所有形態を権利能力なき社団と同じ総有であるとしている(入会団体のほとんどは、権利能力なき社団のうち、いわゆる「代表者の定めのない権利能力なき社団」である)。入会権は、土地に対するものだけでなく、入会団体の共同所有物や預貯金に対しても認められる。

(注:以下では、民法については条数のみ記載する。)
沿革・意義

歴史的には、明治に近代法が確立する以前から、村有地や藩有地である山林の薪炭用の間伐材や堆肥用の落葉等を村民が伐採・利用していた慣習に由来し、その利用及び管理に関する規律は各々の村落において成立していた。明治期にいたり、近代所有権概念の下、山林等の所有者が明確に区分され登録された(藩有地の多くは国有地として登録された)。一方、その上に存在していた入会の取り扱いに関し、民法上の物権「入会権」として認めた。なお、このとき国有地として登録された土地における入会権については、政府は戦前より一貫してその存在を否定していたが、判例はこれを認めるに至っている。戦中は戦時体制に組み込まれ木材や木炭及び薪の生産を担っていた。戦後になって、村落共同体が崩壊し、また、間伐材等の利用がほとんどなくなったという事情から、立法時に想定していた入会は、その意義を失ったかに見えるが(「入会権の解体」)、林業や牧畜のほか、駐車場経営など、積極的経済活動の目的で入会地を利用するケースが見られるようになり、また、道路開発・別荘地開発等における登記名義人と入会権者の権利調整、さらには山林の荒廃による環境問題といった新たな問題が発生するようになったため、入会権という概念の現代的意義が見直されつつある。但し、政府の見解、ことに農政の見解としては入会権は明確さを欠く前近代的な法制度であるとの意識があり、これを解消し所有権・地上権・賃借権その他の使用及び収益を目的とする近代的な権利に還元すべきことが一貫した政策であり、それを促進するために、入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律(入会権近代化法)が昭和41年(1966年)に制定されるなどしている。

なお、漁場に関する漁業権・入漁権・入浜権、水源・水路に関する水利権、泉源・引湯路に関する温泉権については、入会権と混同した主張がなされることが多い。漁業権、水利権は、それぞれ、漁業法、河川法が定める公法上の権利(特許)であり、入漁権は、漁業権を有する漁協の構成員としての権利である。温泉権は慣習上の物権的権利であるが、日本では物権法定主義を採用しているため、理論上は一種の債権であり、信義則の働きによって物権的な性質を示しているとされる。
旧慣使用権

入会権に類似する制度として、地方自治法第238条の6に規定する旧慣使用権(きゅうかんしようけん)がある。

これは、地方公共団体市区町村財産区など)の公有地において、市町村制施行以前から存在する旧来の慣行(旧慣)に基づいて利用する者がある場合に、当該公有地を旧慣使用に供される行政財産として、地方自治法に基づき当該利用者に許可される公法上の権利である。旧慣使用権の許可は個人に対するほか、「管理会」や「組合」などと称される権利能力なき社団に対しても許可されることがある。

ため池や水路などで、法定外公共物として公共の用に供される行政財産を使用する権利は、法定外公共物の占用許可であって、旧慣使用権とは異なる。

土地の登記名義が地方公共団体である場合であっても、地方公共団体の関与が登記名義の管理にとどまり、実質が住民との総有関係にある場合は、入会地であって、旧慣使用権による利用ではない。

旧慣使用権は、行政事件訴訟法及び行政不服審査法の適用を受ける公法上の権利であり、変更又は廃止しようとするときは、地方自治法の規定に基づいて、市町村の議会の議決を経なければならない。また、同条第2項において、旧慣使用権の認められる林野など(旧慣使用林野)をあらたに使用しようとする者があるときは、市町村長は、議会の議決を経て、これを許可することができる。このように、地方自治法に基づく手続きにより、旧慣使用権者の権利を排除することも可能である。

入会権とは歴史上の起源を同一にし、旧慣使用権者が入会団体ないしその構成員、旧慣使用林野が入会地に対応する類似の法制度である。

入会権近代化法においては、入会権とともに、その権利を消滅させること及びこれに伴い当該権利以外の権利を設定又は移転することをもって、近代化とし、それが立法目的となっている。
適用法規

入会権に関して民法において規定するのは以下の2箇条である。
263条

「共有の性質を有する入会権」とは、その土地(地盤)の所有権が、入会集団にある場合をいい、各地方の慣習の他、共有に関する規定が適用される。
294条
「共有の性質を有しない入会権」とは、その土地(地盤)の所有権(登記簿上の形式的所有権)が入会集団にない場合をいい、各地方の慣習の他、地役権に関する規定が準用される。

しかし、実際は、共有及び地役権の規定が適用又は準用される局面は稀であり、入会権者及びその利害関係者の間で長年に渡り積み重ねられた取り決め、規約、暗黙の合意等の慣習に委ねられているといえる。

入会集団は入会団体とも言い、広義の「権利能力なき社団」に含まれる。権利能力なき社団であるため、その所有物は構成員の総有となり、権利は共同で行使することとなる。広義の「権利能力なき社団」には、「代表者の定め」の有るものと無いものがあり、団体としての法的扱いに違いが有る。民事訴訟法では、代表者の定めの有る権利能力なき社団は、訴訟の当事者となることができると規定されており、代表者の定めの有る入会団体は、訴訟の当事者となることができる。入会団体の多くは、財産処分に関する代表者が存在しないため(いわゆる「代表者の定めのない権利能力無き社団」であるため)、団体としては訴訟の当事者になることはできず、共有物処分に関する規定の準用により固有必要的共同訴訟となる。

入会団体の構成員を入会権者と言い、入会権者の収益権を入会収益権という。判例によると、入会収益権が侵害された場合、入会権者は妨害排除請求の訴えを起こすことができる。入会地の実質的所有者は入会団体であるから、代表者の定めの無い入会団体の場合、民事訴訟法の規定を素直に解釈すれば、妨害排除請求には入会権者全員の同意が必要という結論に至る。

この問題の解決方法は2つの説がある。

一つは、民事訴訟法にある「代表者」の解釈を広げて、「訴訟物の処分に関する権限を持つ代表者」を示すと解釈する説である。各入会権者は、入会地の所有権を処分する権限は持たないが、自己の入会収益権について妨害排除請求をすることに関しては、各入会権者は、入会団体から妨害排除請求をする権限を「代表者」として与えられていると解釈するのである。

もう一つの説は、入会収益権の侵害を不法行為としての面から捉え、既に成された不法行為から生じた不法行為債権に基づく賠償請求の一環として、妨害排除請求を解釈するものである。

入会収益権は登記することができない。また、一般の権利能力なき社団の所有地の場合と同様に、入会団体の名によって登記することもできない。しかし、薪拾いや耕作等の入会活動が行われている場合は、信義則の働きによって、登記がなくても第三者に対抗できる。第三者が登記の不備を理由に権利を主張するためには、善意無過失である必要があり、土地を実際に見れば入会権が存在する可能性が予見できる場合は、第三者の善意又は無過失を否定できるのである(登記の欠陥の主張は、悪意者であっても理論上は認められ得るが、悪意者が登記の欠陥を主張することは、原則として信義に反すると判断されるため、信義則に照らして保護されるべき理由がない限り、悪意者は登記の欠陥を主張できる正当な権利者とは判断されない)。

入会活動を中止している場合の入会権を主張する方法としては、共有としての登記、明認方法の設置がある。共有としての登記は、入会権を直接に主張するものではないが、入会地が取引の対象となった場合に、登記簿に名前の記載があれば事実関係の調査が必要となるため、第三者の善意無過失を否定することができるのである。明認方法の設置とは、立て看板等を現地に設置することであり、これも同様に、第三者の善意無過失を否定するためのものである。


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