児童館
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こどもの城東京都渋谷区)。大型児童館のうち、C型児童館の例(2015年閉館)東京都児童会館(東京都渋谷区)。大型児童館のうち、A型児童館の例(2012年閉館)秋田県児童会館秋田県秋田市)大型児童館のうち、A型児童館の例(写真は、2019年のリニューアル前のもの)岩手県立児童館 いわて子どもの森岩手県二戸郡一戸町)。大型児童館のうち、B型児童館の例高砂児童館(東京都葛飾区)。地域密着型の小型児童館の例

児童館(じどうかん、英:Children's HallもしくはChildren's Center[注 1])とは、児童福祉法第40条に規程されている児童厚生施設の一つ。
概要

児童館は児童(児童福祉法上0歳?17歳の子ども)に健全な遊びを与え、その健康を増進し、または情操を豊かにすることを目的として設置される屋内型児童厚生施設[1][2]。屋外型児童厚生施設は「児童遊園」という。

児童館にはその種類によって、集会室、遊戯室、図書室、静養室のほか、育成室、相談室、創作活動室、パソコン室などが設けられており、専門の指導員(児童の遊びを指導する者、かつての「児童厚生員」に相当)によって季節や地域の実情などに合わせた健全な遊びの指導が行われている。

地域の実情に応じて、子ども会や母親クラブなどの地域組織活動の基地としてその育成指導を行うとともに、放課後児童クラブ放課後児童健全育成事業、いわゆる学童保育)を併設することもあり、地域の子育て環境づくりや放課後児童の居場所づくりを担っている。

自治体によっては、が設定する「放課後子ども総合プラン」[3]に則り、「体験の場」、「交流の場」、「遊びの場」の3つの児童館等の機能に加えて、「学びの場」の機能を併せて、「放課後子ども教室」(文部科学省所管)として児童館等を位置付けているケースもある(同プランにおいて、「放課後児童健全育成事業」(厚生労働省所管)については、「遊びの場」と「生活の場」の二つに位置付けられている)。
児童館の歴史

日本における児童館的な活動は、古くはセツルメントの児童クラブにその原型をみることができる。セツルメントは明治末期に始まり、大正昭和にかけて主として大都市に発達したが、その中でさまざまな状況にある子どもたちに遊びをとおして集団的、個別的に指導を行っていた。

1948年(昭和23年)に児童福祉法が施行され、児童館は法律に位置づけられるに伴って、地域における子どもの余暇活動の拠点として、不特定多数の地域の子どもたちに対して、健全な遊びを提供し、健全育成活動を行う場として社会的に認知されるようになっていった。1951年(昭和26年)には「児童厚生施設運営要領」が厚生省(現:厚生労働省)児童局によって編纂されて、児童館運営についての基本方針が提案された。

児童館の発展において画期的な要因となったのは、1963年度(昭和38年度)において市町村立の児童館について、その設備及び運営費に対し省令的な見地から国庫補助制度が創設されたことにある。国庫補助対象については、設置及び経営主体、機能、設備、職員配置などについて基準が示され、以後に設置される児童館の水準に影響をあたえた。

現在では、全国に約4,453(2019年(令和元年)現在)を数える施設数となり、内訳は、公営が2,553ヵ所、民営が1,900ヵ所で[4]、児童福祉施設としては保育所に次いで多い施設となっているが、2000年代以降、都道府県における大型児童館への見直しの動きや、地域の小学校の統合の影響や他施設への転換などにより、全国的に減少の傾向がみられる。
年表

1947年(昭和22年) - 児童福祉法の公布により、児童館が法的に位置づけられる。

1948年(昭和23年) - 厚生省令「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」が発せられる。

1951年(昭和26年) - 「児童厚生施設運営要領」が、厚生省児童局より発せられる。

1990年(平成2年) - 「児童福祉施設最低基準」が厚生事務次官通知として発せられる。

1992年(平成4年) - 社団法人全国児童館連合会(2000年財団法人児童健全育成推進財団、2014年一般財団法人児童健全育成推進財団にそれぞれ改組)により、「認定児童厚生員資格制度」が開始。

1998年(平成10年) - 児童厚生員を児童の遊びを指導する者に変更。

2011年(平成23年) - 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知「児童館ガイドラインについて」が発せられ、児童館ガイドラインが設定される。

2012年(平成24年) - 「児童福祉施設最低基準」が、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知として第9次改正が発せられ、「児童館の設置運営について」と改題される。

2018年(平成30年)10月1日 - 厚生労働省子ども家庭局長通知「児童館ガイドラインの改正について」が発せられ、従来の児童館ガイドラインが廃止され、全面改定。

役割

児童館は屋内型の福祉施設であるが、その活動は建物内にとどまらない。地域児童の健全な発達を支援するための屋内外の地域活動をはじめ遠隔地でのキャンプなど、必要な活動の一切を含んでいる。

児童館は、子どもたちに遊びを保障する活動を行っている。遊びは、子どもの人格の発達を促す上で欠かすことのできない要素であり、遊びのもつ教育効果は他で補うことができない。子どもたちは遊びを通して考え、決断し、行動し、責任をもつという自主性・社会性・創造性を身につける。

また、子どもの生活が安定する環境が整備されるためには大人の理解と協力が不可欠であり、親のグループやジュニアボランティアを育成するとともに、諸機関や団体との連携を図る中で、子どもにやさしい総合的な福祉の町づくりを目指している。

子育て家庭の子どもたちが安定した放課後を過ごせるように、登録制で毎日学校から直接来館する放課後児童クラブ事業や、育児不安に陥りがちな子育て中の母親を支援する午前中の幼児クラブ活動などは、まさに児童のデイサービス事業と言える。また、不登校いじめへの対応、虐待など深刻な児童問題の早期発見の場としても期待されるほか、家庭や学校、児童相談所と連携しつつ、子どもが自立できるよう支援する活動も増加している。

制度上は18歳未満の全ての子どもが利用できるが、実際には小学生を対象としているケースが多く、中高生の放課後の居場所づくりが課題となっている。厚生労働省の作業部会は2022年12月に出した提言で、職員が思春期特有の悩みやヤングケアラーが抱える問題等幅広い相談に乗ることや、SNSを通した相談支援、夜間の開館等、中高生が利用しやすい人員体制を整備するよう求めている[5][6]
職員

これら機能を発揮するために、児童館には、専門職員(児童の遊びを指導する者、かつての「児童厚生員」に相当)が2名以上配置されている。

ただし、児童の遊びを指導する者任用資格を有しているだけでは児童館の専門性が担保できないとも言われており、一般財団法人児童健全育成推進財団(通称・育成財団)では、認定児童厚生員資格制度[7]を設けており、より専門性を身に付けるよう、現職の児童館職員に対して、児童厚生二級指導員以上の資格取得を推奨(二級指導員については、概ね採用から3年以内[8]を目安としている)している。
児童館職員の処遇

公立の児童館の場合、令和2年度以降、会計年度任用職員として雇用し、自治体の正規職員を充当することは少ない。ただし、指定管理制度を行っている児童館については、公立であっても、指定管理者となっている法人や企業の正規職員・正規社員として雇用される場合もある。
認定児童厚生員資格制度

認定児童厚生員資格制度
英名 Children's Recreation Worker

実施国 日本
資格種類民間資格
分野医療・福祉
試験形式ランクにより、異なる
認定団体一般財団法人児童健全育成推進財団
後援各都道府県児童館等連絡協議会、他
認定開始年月日平成4年
等級・称号児童厚生二級指導員、児童厚生一級指導員、児童厚生一級特別指導員、児童健全育成指導士
公式サイト ⇒http://www.jidoukan.or.jp/qualification/
特記事項二級指導員および一級指導員については、現任者でない場合は課程認定校での資格取得も可能。
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