児童・青少年の性保護に関する法律
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児童・青少年の性保護に関する法律(じどう・せいしょうねんのせいほごにかんするほうりつ、大韓民国法律第11690号)は、児童買春児童ポルノの取締りなどを目的とした韓国法律。後に法改正により児青法に題名変更された[1]。韓国では『???(アチョンボプ=児・青法)』と呼ばれることから、通称は「児青法(じせいほう、アチョンボプ)」・「アチョン法(アチョンほう)」。

被害児童・青少年のための救済及び支援の手続きを整備して、児童・青少年犯罪者を体系的に管理することで、児童・青少年を性犯罪から保護するというもの[2]。この記事では主にアチョン法と記載する。
概要

韓国の青少年保護に関する主な法律は2つあり、ともに1997年に制定された。有害環境環境から青少年を保護し、青少年が正しく、健全な成長を目的とする「青少年保護法」と、児童ポルノ法の「児童・青少年の性保護に関する法律(児青法)」で、両法律とも女性家族部が主管している[3][4]

児青法は2012年に「青少年に見えるキャラクターの性描写があるマンガ・アニメ(準児童ポルノ)の頒布等を禁止」「単純所持も同時に禁止」「厳罰化」など、大幅に法改正された[1][2]
経緯

1997年、「青少年保護法」と「児童・青少年の性保護に関する法律(児青法)」制定[5]

2000年、「児青法」施行[4]

2007年、強姦と強制わいせつの発生件数が13,396件[1]

2008年、児童人口10万人当たりの性犯罪発生件数が、ドイツイギリスアメリカに次いで世界4位、アジアで1位[6]

2010年2001年から2010年までの殺人・強盗・強姦・放火などの凶悪犯罪が84.5%増加、強姦事件が1.8倍増加[7]

2011年、強姦と強制わいせつの発生件数が19.498件に大幅に増加[1]。児童らを狙った性犯罪が4年で倍増[6]。メディアの報道と社会の声を受けて全部で6法が法改正され、児青法は「青少年に見えるキャラクターの性描写があるマンガ・アニメ(準児童ポルノ)の頒布等を禁止」「単純所持も同時に禁止」「厳罰化」など重いものとなった[1][2]

2012年、児童ポルノの定義を「<明確に>児童と認識できる」に変更[4]

2013年、創作物や成人が制服を着たポルノについて、憲法裁判所での審査開始[4]

2014年、強制わいせつの発生件数が21,055件に増加[8]。最高裁で「創作物か実在の児童との同一であることが確認され、性犯罪を誘発する場合に限る」と児青法の児童の定義が限定[4]

2015年憲法裁判所で合憲意見5人、反対意見4人で創作物規制を合憲と判断[4][9]
内容
児童の定義

「青少年」とは、19才未満の者をいう。満19歳になる年の1月1日を迎えるものは除外する[10][注釈 1]
児童ポルノの定義

「児童・青少年の性を買う行為」は児童・青少年、児童・青少年の性を買う行為を斡旋した者または、児童・青少年を実質的に保護・監督する者などに金品やその他の財産上の利益、職務・便宜提供など代価を提供したり約束して次の各項目のいずれか一つに該当する行為を児童・青少年を対象に行ったり、児童・青少年をしてせしめることを言う[10]

A.性交行為

B.口腔・肛門などの身体の一部や道具を利用した類似性交行為

C.身体の全部または一部を接触・露出する行為で、一般人の性的羞恥心や嫌悪感を起こす行為

D.自慰行為

F.その他性的な行為

「児童・青少年利用淫乱物」は明確に児童・青少年または、児童・青少年と認識されうる人や表現物が登場し、第4項のいずれか一つに該当する行為をしたり、その他の性的行為をする内容を表現するフィルム・ビデオ・ゲームまたはコンピュータやその他の通信媒体を通した画像・映像などの形態になったものをいう[4]
特徴

韓国の他のポルノ規制法との大きな違いは、子供との性的接触の架空の行為を本物の性的虐待とまったく同じように扱うことにある。子供が主人公の作品を執筆している漫画家は、セックスに従事し、ビデオで本物の子供の性的行為を記録する人と、全く同じと見なされる[11]

また、単純所持は「身体や身体の近く又は自身の管理下にある場所に保管する場合」をいい、ダウンロードと同時にコンピュータの記憶装置に保存されるため、後で削除しても処罰の対象となる[12]
審議方法

女性家族部の下部にある青少年保護委員会が、全媒体物の指定権限を有している。実際には、有害物となる刊行物、放送、通信、映像、ゲームなどについて、各業界の審議機関が青少年有害媒体物の審議・指定、又は青少年観覧可能等級付けなどを行う[3]

2015年時点では、禁止行為に「自慰行為」「その他性的な行為」があり、罰則対象となる創作物には、漫画、アニメ、成人が学生の制服を着て演技をすることなども含まれる。「その他性的な行為」の定義があいまいなため、「手を繋いだりキスをすることも該当するのでは」などの議論がある[4][13]
罰則

実在する未成年者の強姦は、無期懲役または5年以上
[2]

実在する未成年者を強姦していなくても、児青法の定める児童ポルノを制作・輸入・輸出した場合は、無期懲役または5年以上の懲役に加えて、20年の身上登録と10年間の就業制限(子どもに関わる職業のほか、子どもが集まる場所へ近寄ることも禁止)が課せられる[2]

児童ポルノを配布した場合は、7年以下の懲役または5000万ウォン(約493万6099円)以下の罰金、20年の身上登録と10年間の就業制限が課せられる[2]

「就業制限」とは、病院や学校から児童青少年が訪れる可能性がある、あらゆる施設での就業が該当する[2][11]


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