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免疫抑制剤(めんえきよくせいざい、英: Immunosuppressive drugあるいはimmunosuppressantなど)は、免疫系の活動を抑制ないし阻害するために用いる薬剤。免疫反応の中心的な役割を果たす細胞の働きや増殖などを抑え、免疫作用を抑制する薬[1][2]。体内で起こっている免疫反応を抑える薬。免疫抑制薬とも。
臨床的には以下のような場合に用いられる。
移植した臓器や組織(骨髄、心臓、腎臓、肝臓など)に対する拒絶反応の抑制[1]
自己免疫疾患[1] やそれによると推定される疾患(関節リウマチ、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎など)の治療
自己免疫とは関係ない炎症性の疾患の治療(アレルギー性喘息の長期的抑制など)[3]
副作用や危険性のない免疫抑制剤は存在しない。大部分のものは治療対象以外にも非選択的に作用してしまうために免疫系が正常に機能しなくなり、治療対象以外の感染や悪性新生物の拡大をもうまく抑えることができなくなる。高血圧、異脂肪血症
、高血糖、消化性潰瘍、肝臓や腎臓の機能障害などの副作用もある。さらに免疫抑制剤は他の薬剤の代謝や作用にまで影響することがある。ドナーの固形臓器をレシピエントに移植すると、拒絶反応がおこる。拒絶反応には超急性拒絶、急性拒絶、慢性拒絶の3つに分かれる。これらは異なるメカニズムで起こると考えられ、そのマネジメントも大きく異なる。移植に関しては移植 (医療)に詳しい。免疫抑制剤は急性拒絶の予防に用いられる。
超急性拒絶
超急性拒絶はレシピエントの既存抗HLA抗体
移植片対宿主病(GVHD)とはドナー由来の免疫細胞が宿主を異物とみなす病態である。平たく言えば、造血幹細胞における拒絶反応である。一般的な移植後の拒絶とは宿主の免疫細胞が移植片を異物とみなすという点で異なる。具体的な症状、マネジメントも下記に示すように異なる。
急性GVHD
移植後100日以内に発症するGVHDである。骨髄破壊的な移植を行った場合は移植後2?3週間後に好発し、60日以内の発症の場合が多いが、骨髄非破壊的なミニ移植の場合は60日以降の発症も珍しくない。皮膚症状が初発となることが多いが、おもな障害臓器は皮膚、消化管、肝臓である。重症度は皮疹の広がり、下痢の量、ビリルビン値の上昇により、重症度は決定される。少なくとも一つの臓器障害が48時間以上持続し、他の原因疾患が否定されたとき急性GVHDと診断をすることができる。重要な鑑別として血栓性微小血管症