光磁気ディスク
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光磁気ディスク(ひかりじきディスク、magneto-optical disk 〈discとも表記される〉)とは、赤色レーザー光と磁場を用いて磁気記録および再生を行う電子記録媒体の1つである。1980年代から1990年代前半に磁気テープに代わる映像記録媒体として研究開発が行われ、アナログあるいはデジタル記録媒体として実用化された。

1985年に最初の光磁気ディスクメディアおよび対応製品として5.25インチドライブが発売され[1]、1988年にはNeXT社から光磁気ディスクドライブを搭載したワークステーション「The Cube」が発表された[2]。1991年には3.5インチドライブがIBMから発売された[3]

MO(エムオー)あるいはMOディスクと略した場合、一般には後述のISO規格準拠のMOディスク(3.5インチ、5.25インチ)のことを指すが、本項目では他規格の光磁気ディスクについても記述する。

規格は2000年代で消滅したとされ、ハードディスクドライブ (HDD) やフラッシュメモリーなどの大容量化によって、ほぼ代替されている。
概要

光磁気ディスクには磁性を持った記録層が形成されており、外部から電磁石による記録用の磁界を加えて媒体を磁化する点では磁気ディスクと似ているが、記録層が常温ではほとんど磁化されず、これを熱して磁化する点に特徴がある。記録の際に光の強度を変化させて磁界を一定とする光変調方式と、光の強度を一定として磁界を変化させる磁気変調方式がある。
記録方法

磁気変調方式(MFM方式)では、以下の手順でデータが記録される。
メディアの磁性層に高出力のレーザ光を照射して、磁性が失われる温度(
キュリー温度:ISO規格のMOでは摂氏150 - 180度)以上にまで瞬時に加熱する

レーザで照射された部分が、レーザ光から離れて磁性を記録保持できる温度まで冷え始めた所で、電磁石により記録層と垂直方向の磁界を与える

磁性体が十分に冷えて、磁性が完全に保持される

この繰り返しにより磁性体にN極とS極の磁性が記録されていく。読み出し時には書き込み時よりも出力の弱いレーザを照射し、N極S極の向きの違いによってレーザの偏光面が回転する現象(磁気光学カー効果)を検出しそれを0と1のデータとして読みとっている。

また光変調方式ではまず一定磁界・高出力レーザ光で記録層の磁力を一方向にそろえることで初期化(消去)し、続いて加える磁界を反転したうえで、記録したい部分を光で加熱し磁気を反転させて記録を行う。
メディアの論理フォーマット

光磁気ディスクメディアの論理フォーマットとしては、ハードディスク形式とスーパーフロッピー形式の2種類がある。
ハードディスク形式
MOをハードディスクのようにフォーマットした形式で、パーティション分割可能。PC/AT互換機においては「FDISK
形式」、FMRシリーズFM TOWNSにおいては「富士通形式」と呼ばれるものが用いられる。その他、PC-9800シリーズ、MacintoshUNIX等にも独自のフォーマットがある。なお、後述のスーパーフロッピー形式に比べメディアのマウント・アンマウント(取り出し)に制限を受けることがある。
スーパーフロッピー形式
MOを大容量のフロッピーディスクのようにフォーマットした形式で、主にWindowsで利用される。「MS-DOSフォーマット済み」として市販されているMOはこのスーパーフロッピー形式である。パーティション分割ができない。スーパーフロッピー形式をさらに分類すると、IBM形式とセミIBM形式の2種類に細分できる。ちなみに、MOにおけるIBM形式はフロッピーディスクにおけるIBM形式とは無関係である。
各種の光磁気ディスク
ISO規格のMOディスク3.5インチ光磁気ディスク オリンパス5.25インチ光磁気ディスク ソニー製外付け型3.5インチMOディスクドライブ
バッファロー製MO-PL640U2)3.5インチMOディスクドライブ(内蔵型)
特徴
ISO規格のMOディスクは着脱可能な記憶媒体リムーバブルメディア)である。3.5インチメディアと、より寸法の大きい5.25および8インチメディアが存在する。フロッピーディスク2枚分の厚さを持つプラスチックカートリッジに収められている。このため記録面は指紋や傷などから保護され、むき出しのメディアより指紋や傷がつきにくい。またドライブの利用に際しても特にデバイスドライバは不要で[注釈 1]、データの読み書きもフロッピーディスクと同様の感覚、つまりライティングソフトなしで行うことができる。下位互換性があるために旧来のメディア(例:128 MBメディア)を最新のドライブ(例:2.3 GB対応ドライブ)で利用することも可能である(この逆は容量の問題で不可)。ただし、初期規格のメディアを最新規格のドライブで書き込むことができない等の制限はある。3.5インチメディアにおいては、2000年以降Media IDと呼ばれる著作権保護機能が備わったメディア / ドライブの搭載が推進され[4]、順次発売された。DVD-RAMと違ってMS-DOSのデフォルトでデフラグが可能で頻繁な同期化、バックアップ用のメディアとして適している[注釈 2]
容量
一般的にパソコンで用いられる3.5インチタイプのメディアでは、128 MB (ISO/IEC 10090)・230 MB (ISO/IEC 13963)・540 MB (ISO/IEC 15041)・640 MB (ISO/IEC 15041)・1.3 GB (ISO/IEC 17346)・2.3 GB (ISO/IEC 22533)の容量がある。GBクラスの容量を持つものは「GIGAMO(ギガモ)」と呼ばれる[5]。なおGIGAMOにはオーバーライトメディアはない。5.25インチメディアは3.5インチメディアが普及する以前に発売され、円盤の大きさはコンパクトディスクとほぼ同じで通常はDVD-RAMカートリッジとほぼ同形状のカートリッジケースに収められているが使われる機器によりケースに収めていない場合もある。また5.25インチメディアにはWrite Once Read Manyタイプや医療専用メディアも存在する。パソコン及びワークステーションサーバで用いられ最大で9.1 GB(両面)の容量がある。
アクセス方法
シークができないクイックディスクに対し、MOはランダムアクセスが可能である。3.5インチの640 MBまでのMOは内周からアクセスを開始するが、GIGAMOでは外周からアクセスする。また、5.25インチメディアではディスク両面に記録する。
記録方式
光磁気変調方式を採用している。トラックはフロッピーディスクやHDD(ハードディスクドライブ)の同心円状とは違い、螺旋状になっている。また3.5インチMOはこれまでに幾多の技術を盛り込んで大容量化してきた。その技術のすべてを以下に挙げ、解説する。

128 MB:マークポジション記録、CAV、512バイト/セクタ、グルーブ記録

230 MB:ZCAV

640 MB:マークエッジ記録、2048バイト/セクタ

1.3 GB:MSR

2.3 GB:MSRとランド&グルーブ記録
MSRは磁気超解像 (Magnetically induced Super Resolution[6]) のことで、フロントマスクとリアマスクによってレーザのビームスポット(照射面積)を狭めることで記録密度、読み取り精度を向上することができる。また素材が摂氏150度になったときだけ記録層の磁気を再生層に転写する中間層を設け、読み取り精度を高めている。しかしこの読み取り方式の特性上、従来よりも読み取り用レーザの出力が約7倍に高まることになり、結果として書き換え回数を激減させてしまった。
データ転送方法
当初のMOディスクへの書き込みはディスクの1回転毎に以下の3工程を行っていたため、ヘッド - MO間の物理的なデータ転送速度が遅かった。

磁性層のデータ消去(フォーマット

磁性層へのデータ記録(書き込み)

磁性層に書かれたデータの検証(ベリファイ)
寸法の大きい5.25インチタイプでは複数のレーザーを照射し、複数の工程を同時に行い物理的なデータ転送速度を速くしたドライブもある。現在では以下のような方法で物理的な書き込み速度を向上させると共に、MOドライブに搭載されるキャッシュメモリの大容量化とキャッシュコントローラの改良によるデータ転送の改善も図られている。

「消去」と「記録」を1回転中の工程で行う技術(ダイレクトオーバーライト。対応するドライブとメディアを組み合わせて使用した場合のみ有効)

ディスクの回転速度向上(1996年末で最大3,600 rpm2005年末で最大6,750 rpm)

ディスクのデータ密度向上

耐久性
MOの耐久性は次のような要因による。

カートリッジに収められていることで、傷や埃によるダメージが少ない


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