光ディスク(ひかりディスク、英: Optical disc)とは、樹脂等で作られた厚さ数ミリ程度の円盤の表面に、微細な凹凸を形成する等の方法により、情報を記録するための記録媒体(ディスクメディア)である[1]。光学ディスクとも呼ばれる[2]。また光ディスクの情報を読み書きするための装置は光学ドライブと呼ばれる。
@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}光を使って読み書きするので、埃や指紋の付着によるデータの読み出しに対する悪影響が磁気ディスクよりは少なく、[要出典]磁気によるデータ損失の影響もない。こうした特性からリムーバブルメディアとしての利用に優れており、オーディオ・ビジュアル分野の機器で使用するための音楽や映像(動画)作品あるいはパーソナルコンピュータやゲーム機用のソフトウェア供給媒体(ディスクメディア)として幅広く利用されている。
しかし2000年代末期からブロードバンドインターネットを利用した配信(ダウンロード・ストリーミング)などが台頭、さらに物理的にディスクドライブが内蔵困難なスマートフォン・タブレット端末・軽量ノートパソコンが普及したことにより、利用は減少傾向にある。
歴史実用化に至らなかった光カード(レーザーカード)
最初に市場に登場した光ディスクは、1960年代から研究が進められ1980年に発売されたレーザーディスクである。レーザーディスクにはビデオ信号をアナログデータのまま記録されていて、デジタルデータを記録する後発の光ディスクとは性質が異なる。
現在では円盤状のメディアのみが存在するが、1980年代後半から1990年代前半にはキャッシュカードと同程度の幅85.6mm、高さ54.0mm、厚さ0.8mmの Write Once Read Many 方式の光学カードが存在し実用化検討が行われていた[3]が実用化には至らなかった。
新世代の光ディスクが市場に登場する際は、ライセンス収入などをめぐって大手メーカー同士で激しい規格争いが生じる場合がある。第3世代(Blu-ray Disc 対 HD DVD)がその典型例である(両メディアに対応する再生機種もあった[注 1])。 光ディスクはディスクメディアとして、取り扱いの便利さ、大量生産の容易さ、製造コストの安さなど優れており、幅広い分野において従来の媒体を置き換える形で普及してきた。レコード→CD、カセットテープ→MD、ゲーム機のROMカセット→CD-ROM、VHS→DVD・Blu-ray Discなどがその例である。 しかし光ディスクの難しい特性により、1990年代から2000年代にかけて記録メディアを席巻した光ディスクは退潮傾向にある。 光ディスクには、保護層・記録層・反射層などそれぞれ役割の異なる複数の層がある。半導体レーザーの光をディスクに照射すると、レーザー光は保護層を貫通し、記録・反射層に到達する。記録層には、ピットと呼ばれる微細な構造(例えば、微細なくぼみ)が形成されており、記録・反射層において反射する光は、ピットの影響を受けて変化する。光ディスクドライブのピックアップには、反射光を計測するための光センサーが備え付けられており、反射光の強度によって、情報(「0」または「1」)を読み取る仕組みである。 光ディスクには、生産工場であらかじめ情報が書き込まれているもの(いわゆるプレス版、市販の音楽CDやDVD-VideoやBD-Videoなど)と、ユーザーが任意に情報を記録できるもの(記録型メディア)の大きく分けて2種類が存在する。また、プレス版ディスクと記録型ディスクでは記録層(情報を記録する面)に用いられる材質および記録方式に違いがある。(詳しくは#記録の可否による分類を参照)材料として保護層や基盤にポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、エポキシ樹脂、環状オレフィン樹脂 光ディスクの寿命は製造時の品質にも左右されるが適切な取り扱いおよび保存行為をしていれば最長で100年、多少雑に取り扱っても劣化を進める要素(直射日光(紫外線)、高い温度、強い湿気など)に積極的に晒さなければ10?30年は保存しておくことが可能とされている。
普及状況
光ディスクは大容量化が難しい。記録密度の限界が半導体レーザーの波長で決まるからである。ブルーレイディスクやHD DVDの世代で既に可視光線の中でも最も短い波長である青紫光の半導体レーザーを使用している。光ディスクの原理をそのままにさらに記録密度を高めるにはそれより短い波長光、すなわち紫外線を使うことになるが、現在の光ディスクの材質に使用しているポリカーボネートなどでは紫外線を吸収し表面劣化を引き起こすため扱えない。記録面の多層化によりある程度の大容量化は実現でき、ブルーレイディスクでは最大で1枚200GB?400GB程度まで引き上げることができるが、2019年現在、一般に入手できるのは片面4層の128GBまでである。こうしたことから、大規模なサーバや汎用機用バックアップ装置では最大で数TBの容量を持つ磁気テープ(LTOなど)を置き換えるには至っていない。
光ディスクは書き込みが容易ではない。書き込みあるいは書き換え可能な光ディスクであっても一部の規格を除いてフロッピーディスクやハードディスク、MO、USBメモリなどと同様の扱いでは書き込むことはできず消去もできない。パソコンでCD-RやCD-RWなどのブランクメディアに情報を書き込むためには書き込みに対応した光学ドライブのほか、ライティングソフトウェアが別途必要になる。一度だけ記録可能なメディア(CD-RやDVD-Rなど)を使用した場合は書き込んだ内容を消去することはできず、書き換えを視野に入れる場合はCD-RWなどの書き換え可能なメディアを使用する必要がある。書換え可能なメディアを用意しかつパケットライト方式で記録することによってハードディスクなどと同様の扱いができるようになるが多くのデメリット(パケットライト#デメリット)があり、パソコンの補助記憶装置やビデオレコーダーでは磁気ディスクであるハードディスクが主に用いられている。
光ディスクを含むディスク型記録媒体は機械的にディスクを回転させるので読み込みにおいて信頼性が低く時間がかかる。また光ディスクの主要な規格(12cmまたは8cmのディスク、あるいはMD)は機器小型化の足枷になる。消費電力を抑え、衝撃に強く小型化が要求されるポータブル音楽プレーヤーやデジタルカメラ、携帯ゲーム機等には内蔵型あるいはカード型のフラッシュメモリの方が相性がよく、こうした分野の一部(ポータブル音楽プレイヤーなど)では光ディスクからフラッシュメモリに主役が交代している。
構造
レーザーの流れ(CD・DVD一体型機)
これは簡易的な図であり、実際はさらに多くの装置が介在する。
光ディスクの表面を原子間力顕微鏡によって観測した画像。均等に並んだ溝にそって、不規則な凹凸が形成されているのが確認できる。
寿命