この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)
出典検索?: "先天性"
先天性(せんてんせい、英: Congenital)とは、通常は生物の特定の性質が「生まれたときに備わっていること」「生まれつきにそうであること」という意味で用いられる。「先天的」という形容詞の形で普通使用する。「先天」と云う言葉は、『易経』に現れる言葉である。対語は「後天性」であり、この言葉は「生まれた後で備わったこと」の意味になる。また哲学上の用語としては、ア・プリオリ(a priori)の訳語として使われる。ア・プリオリはラテン語で「の前に」という意味で、「先天的」の他に「先験的」という訳語がある。プラトーンのイデア説 (原像と事物) 人間や動物などで、特徴や性質が先天的というのは、生まれたときにすでにその形質や性質が個体に備わっていることを意味する。生物は受精以降、遺伝子発現の影響を受け、胎児(または幼生)の段階で母体などの環境(遅滞遺伝
概説
先天性に対するのは後天性で、これは、誕生の後に、成長や経験、学習を通じて、個体の特徴や行動の様式、世界の把握や経験と知識が決まる、あるいは影響を受けることを意味する。巣で卵を抱く白カナリア
人間が持っているほとんどすべての知識などは、後天的に経験などを通じて学習したものであるが、知識であって先天的なものもある。
動物の場合は、経験による学習を通じなくとも、様々な実際的な知識を生まれながらに身に付けている。これらは「本能」、あるいは本能行動と呼ばれることがある。例えば鳥が営巣するとき、あるいはビーバーがダムを造るとき、巣の作り方やダムの作り方を鳥を大まかに知っている。これが先天的な部分である。
しかし営巣や求愛行動は模倣や試行錯誤によって影響を受ける。例えばアオアズマヤドリの営巣は若い個体よりも高齢の個体の方が洗練されている。したがって性質が先天、あるいは後天のどちらかで「決定」されるとはかぎらず、先天的な性質、後天的な性質と二分できるわけではない。特に生物の行動を扱う分野、発達心理学、動物行動学などでは特定の特徴がどのように遺伝と環境の影響を受けるか(遺伝と環境がどのように相互作用するか)に注目し、先天か後天かという二分法は用いられなくなっている。人間の知識の場合、素朴心理学(心の理論)の他、素朴生物学、素朴物理学、素朴分類学といった生まれつきの知識があると提案されているが、それが実際にどの程度先天的なのかは議論がある。
代表的な先天的に決定される形質は鳥類や哺乳類における雌雄、人間の生物学的性などである。また多くの動物の血液型なども先天的な性質である。 すべての生物は、ウイルスを例外として、二重螺旋の染色体または DNA 上にある遺伝子の配置パターンによって、生物としての基本設計が決まっている。人間が二本の脚を持ち、一対の手(または腕)と直立型の体機制を持つことは遺伝子決定的である。他方、鳥類には基本的に翼があることや、魚類の四肢は手足としては発達・進化しておらず、鰭を持ち、鰓呼吸するなども同様である。 生物学における種の概念が、遺伝子のパターンと、それによる形質のありよう、体構造や更に生殖の可能性から決まっている。犬からヒツジの子供は産まれないし、馬や牛から人間の子供は産まれない。生物界における種の安定と多様性の秩序は先天的に決まっている。 動物の雌雄も遺伝子によって決定されるものが多い。魚類などには栄養状態や雌雄の性比などの環境条件で、雄と雌が自然的に性転換するものがいるが、哺乳類・鳥類などの雌雄は遺伝子で決定されている。また血液型とか色神なども遺伝子で決まっており、男女の内性器、外性器の発達なども遺伝子決定的であるが、性成熟の時期は環境(主に栄養状態)の影響を受ける。身長や体格なども遺伝の影響を強く受けることが分かっているが、環境の影響も同様に大きい。ミツバチの幼虫が働きバチになるか女王蜂になるかはエサによって決まる。つまり後天的に決定される。しかし「エサによってどのように育つかが決まる」という性質は先天的に決定されている。 人間の場合の人格の基礎をなす精神の気質的部分も、遺伝の影響を受けていると考えられる。また犯罪者を多数輩出した家系や、逆に、音楽家として著名なバッハ一族のように、音楽の才能において卓越した人物を輩出した家系の研究からは、ある種の人格の要素や音楽・数学の才能などは、遺伝子にある程度の決定性要因があることが想定されている[要出典]。これらは先天的な要因の存在を意味する。 「先天的」とは「生まれる前」のことを意味するが、生物は受精のあと、「生まれるまで」に、胚、胎児として個体発生の期間を持つ。その間に卵子や母胎、環境の影響と、遺伝子発現の影響を受ける。 多くの海生生物(水生生物)の受精卵は、物質の交換・物理的環境など外界と密接に関係しているため、外部環境によって発生に影響が出ることが知られている。通常、大きな環境変化は発生そのものを停止させる(すなわち致死性である)が、死に至らないまでも、催奇性物質による奇形、環境ホルモンによる性の未分化もしくは逆転などの異常発生が報告されている。異常とまではいかなくとも、体の大きさなどは発生時の環境に依存することがある。 有羊膜類は、発生過程における外界の変化から胚を守るために羊膜を発達させたグループであると考えられているが、それでも発生における外的環境と無縁ではない。一部の爬虫類における温度依存性決定は、胚が成長する過程の温度によってその個体の性が決定される。これらの動物(ワニ・カメなど)では、染色体に性染色体自体が発見されないことが多く、性は環境に依存する。温度依存性決定のシステム自体は遺伝的であり、性そのものは非遺伝的(環境的)に決定される。 母胎内で胚を育てる胎生の動物は、母体そのものを外的環境とするため、胚は生息域の物理的・化学的環境から比較的隔離されている。胎盤を持つ軟骨魚類・爬虫類・哺乳類などではさらに必要とする物質交換(酸素/二酸化炭素・栄養物/老廃物)以外の物質の交換が胎盤の関門によって妨げられる傾向があるため、さらに防御の度合いが高い。しかし、換言すれば外的環境を全て母体に委ねるため、母体の健康状態、関門をくぐり抜けてしまう化学物質の影響を受けてしまうことがある。 もっともよく調べられている動物であるヒトの例では、母体がダイエットや飢餓などで栄養不良に陥っている場合に血流不足などから胎児の発達が影響を受ける。
生物の形質の先天性
遺伝子の影響
発生過程の影響