先使用権
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

日本の特許制度における実施権(じっしけん)は、業として特許発明を実施することができる権利である(特許法77条1項、特許法78条1項)。以下、特許法については、条名のみ記載する。
概要

特許法では、特許権者が業として特許発明の実施をする権利を専有すると規定している(68条)。したがって、原則特許権者以外の者が特許発明を実施することは、その特許権を侵害することとなる。しかし、発明の実施による技術普及の意味は大きいことから、特許法は、特許権者自らが実施しなくとも、他者に実施の権原を与える実施権の制度を設けている[1]

実施権には大別して専用実施権および通常実施権の2種類がある。いずれも業として特許発明を実施することができる権利であるが、専用実施権権は、独占排他的に実施できる物権的な権利であるのに対し、通常実施権者は独占排他性のない債権的な権利である(77条2項、78条2項)逐条20版(p280)。このことから、専用実施権と通常実施権は、以下の差異が生じる。

専用実施権の場合は同一範囲の専用実施権を複数の者に設定することはできない逐条20版(p278)が、通常実施権の場合は同時に同条件の通常実施権を複数の者に許諾できる逐条20版(p280)。


専用実施権を設定した場合、特許権者自身であっても専用実施権者に許諾した範囲では発明を実施できないが[2]、通常実施権の場合は通常実施権者に許諾した範囲であっても特許権者自身が発明を実施できる逐条20版(p280)。

専用実施権者には権利侵害の際の差止請求権、損害賠償請求権があるが、通常実施権者の場合は、差止請求権も損害賠償請求権も否定する立場が多数説である(後述する独占的通常実施権の場合を除く)高橋5版(p195)。

専用実施権と通常実施権は、主に特許権者からの設定・許諾で発生する。このような特許権者からの設定・許諾で発生する実施権を許諾による実施権高橋5版(p187)という。これは日常的な意味でのライセンス契約に相当する高橋5版(p187)。許諾による実施権者は、契約等で特許権者と実施権者が契約等で設定行為を行う。設定行為とは特許権者と専用実施権が契約等で決めるもので、実施権者が特許発明を実施できる場所、期間、内容等の範囲を自由に決めることができる(77条2項、78条)逐条20版 (p279,281)高橋5版(p188,192)が、数量制限は課すことは重畳的な制限を課すことになるのでできない 高橋5版(p189) 。実施権の設定・許諾は、対価がなくてもすることができる。

通常実施権は、その発生原因により、許諾による通常実施権、法定通常実施権、裁定実施権の3種類に分類される。法定通常実施権は特許権者や専用実施権者の意志とは関係なく、公益上の必要性や当事者間の衡平の為に法律の規定によって発生する高橋5版(p198)。裁定通常実施権は裁定という行政処分により強制的に設定される通常実施権のことで高橋5版(p187)、これらは有償か無償かなど、許諾による通常実施権とは多くの点で異なる高橋5版(p198)。また、特許出願の段階で設定・許諾する仮の専用実施権・通常実施権として、仮専用実施権・仮通常実施権がある。
専用実施権

専用実施権とは、設定行為で定めた範囲で、特許発明を独占的に実施できる権利である(77条)。ここで、専用実施権が共有に係る場合、特許発明の実施には、他の共有者の同意が必要である(94条6項で準用する73条2項)。

専用実施権は物権、すなわち、特許発明の実施を直接的に支配して使用、収益、処分できる排他的な権利であり高橋5版(p3)、誰にでも主張できる絶対的な権利である高橋5版(p3)。そのため、専用実施権を侵害した者に対して差止請求権、損害賠償請求権の行使をすることができるのは当然である逐条20版(p279)。

このことから、専用実施権が設定されている場合、特許権者自身も同じ条件で特許発明を実施することができない。したがって特許権者が特許発明を実施したい場合には専用実施権者から通常実施権を許諾してもらう必要がある高橋5版(p188)。また特許権者は自ら発明を実視できないのだから、通常実施権を設定する権利も失うものと解される高橋5版(p189)。

なお、専用実施権は設定されていても、特許権者は差止請求権、損害賠償請求権を失わない[3]。また、特許権者は、専用実施権者の許諾がなくても特許権を譲渡できるが、譲渡前に専用実施権者が設定されていた場合は、譲渡後の新特許権者に対してその者の専用実施権は当然に認められる高橋5版(p189)。さらに、特許権者が特許権の放棄(97条1項)、訂正審判請求による特許発明の変更(127条)をする場合は、専用実施権者の許諾が必要となる。
権利の性質

専用実施権は用益物権であり逐条20版(p278)、これを土地の権利に例えれば、地上権に相当する逐条20版(p278)。物権類似の概念である地上権において、土地の所有者ですら地上権者の土地の利用を妨げられないのと同様高橋5版(p188)、物権類似の概念である専用実施権でもある地域・内容・期間に対して専用実施権を設定した場合は、特許権者自身ですら同じ条件で特許発明を実施できない高橋5版(p188)。

また、専用実施権の場合はその排他性から、場所、期間、内容が同一の条件を異なる二者に設定することはできない高橋5版(p190,192)。なお、東京都に限定されている専用実施権に従って販売されたものを第三者が購入して東京都以外で販売しても、消尽論の観点から、特許権侵害にはならない 高橋5版(p189) 。
発生

専用実施権は、特許権者による設定のみにより発生する(77条1項)。特許権者による専用実施権の設定方法は、特許権者との契約がほとんどであるが、単独行為である遺言、職務発明の使用者の規定高橋5版(p188)によっても設定することができる。なお、特許権が複数人で共有されている場合は、専用実施権の設定には共有者全員の同意が必要である(73条)。

専用実施権の設定は、特許原簿への登録が効力発生要件である(27条1項2号、98条1項2号)高橋5版(p188)。すなわち、特許原簿への登録をしなければ、第三者に対抗することができない高橋5版(p193)。登録の際には、専用実施権の設定範囲を申請書に明記する必要がある高橋5版(p188)。設定範囲が記載されていない場合は、無制限の専用実施権を認めたことになる高橋5版(p188)。
移転

専用実施権の移転は、実施の事業とともにする場合、特許権者の承諾を得た場合、相続その他の一般承継の場合に限られる(77条3項)。また、専用実施権が共有に係る場合、持分の譲渡には他の共有者の同意が必要である(77条5項で準用する73条)。このように、自由譲渡が認められないのは、専用実施権が特許権者との信頼関係に基づくことが多く、しかも実施内容が特許権者にも大きな意味を持つからである逐条20版(p279)。また、事業とともにする場合には特許権者の承諾がなくとも移転できるとしたのは、そうしないと事業移転により当該発明に関する設備が稼働しなくなる事を懸念したためである逐条20版(p279)。

なお、専用実施権による通常実施権が許諾されていたとしても、専用実施権を移転する際に通常実施権者の許諾を得る必要はない高橋5版(p193)。特許権の移転の時と同様、通常実施権者は移転後の専用実施権者に対して自身の通常実施権を主張できるためである高橋5版(p193)。
通常実施権の設定

専用実施権者は、自己の専用実施権について通常実施権を許諾できる(77条4項)。この場合、特許権者の許諾が必要である高橋5版(p189)。このように、専用実施権者についての通常実施権の許諾に特許権者の承諾が必要だとされたのは、専用実施権が特許権者との信頼関係に基づくことが多く、しかも実施内容が特許権者にも大きな意味を持つからである逐条20版(p279)。また、専用実施権が共有に係る場合、さらに他の共有者の同意が必要である(77条5項で準用する73条)。
質権設定

専用実施権者は、自己の専用実施権に質権を設定できるが、その際には特許権者の許諾が必要である(77条4項)。また、専用実施権が共有に係る場合、質権の設定にはさらに他の共有者の同意が必要である(77条5項で準用する73条)。専用実施権の質権の対抗要件は特許原簿への登録である(27条3項、98条3項)。質権者は別途契約しない限り発明を実施できない(95条)。なお、質権とした場合のその実行については、民事執行法193条が適用される逐条20版(p311)。この場合、実施権の対価や発明の実施に対して受け取る金銭その他のものにも質権の実行を行うことができる。なお、「発明の実施に対して受け取る金銭」には、実施料のみならず損害賠償請求権等の債権を含む(96条)逐条20版(p312)。
消滅

専用実施権は以下の事由で消滅する。

特許権の消滅(この場合には当然に専用実施権も消滅する
高橋5版(p190))。


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