偽りの花園_(テレビドラマ)
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『偽りの花園』(いつわりのはなぞの)は、東海テレビ制作のフジテレビ系列で、2006年4月3日から6月30日まで放送された昼ドラ。放送時間は、月曜 - 金曜の13:30 - 14:00(JST)。全65話。
概要

本物の姉妹同然に育った乳姉妹に自らの人生を奪われ、代わりに相手の人生を生きる運命を負わされた一人の女性の、自らの人生を取り戻すまでの数奇な半生を描く大河ロマン。東海テレビお得意のドロドロ愛憎劇である。

同じ
中島丈博脚本作品である『真珠夫人』、『牡丹と薔薇』に続き、草履カツレツという珍料理が劇中で登場している。DVDボックスセットも販売された。

遠山景織子にとって、相手役ではない連続テレビドラマ単独初主演となった作品でもある。

あらすじ
第1部(昭和5年)

房総半島鴨川の網元である矢作家には18歳になる二人の乳姉妹が暮らしていた。控えめな性格の美禰子は捨て子であり、矢作夫妻がずっと養育していた。気性が激しく、貴婦人に憧れる美琶子は矢作杉枝が芸者をしていた頃の友人、丹が早瀬川伯爵との間に生んだ娘であった。美禰子は女学校卒業前に、海軍大学生の剛と見合いをし結婚が決まる。それが面白くない美琶子は若い画家を誘惑し、駆け落ちをしようとしたところを斎造に見つかり、東京の家に戻されるが、継父の権造とそりがあわず家出。鴨川の海岸で入水自殺しようとするが、剛に助けられて一目ぼれ。美琶子は剛がたじろぐ勢いで求愛、二人はやがて肉体関係を持つ。美禰子と剛の結婚式の前日、美琶子と剛は嵐の海に船を出し心中する。数日後、剛の遺体が打ち上げられたが、美琶子の遺体は見つからなかった。娘を失った空虚を埋め合わせるように、美琶子の母・丹は美禰子を養女に迎え、東京に呼び寄せる。
第2部(昭和6年 - 昭和10年)

美禰子は橋川顕彦と名乗る青年と出会い、二人は恋に落ち関係を結ぶが、顕彦は特高警察に逮捕され巻き込みたくない一心から面会に来た美禰子を冷たく突き放して別れる。その頃、早瀬川伯爵は共産主義運動に傾倒していた顕彦を除籍し、家督は美琶子に継がせると宣言。伯爵は丹の店にいる美禰子を自分の娘だと勘違いしていた。美琶子が心中して行方不明だと言い出せない丹は、美禰子を美琶子の身代わりとして早瀬川伯爵家へ上がらせた。ある日、顕彦が早瀬川家に乗り込むと美禰子の姿が…。実の妹を愛していたのだと苦悩する顕彦。美禰子は「異母姉」栄子の元を妊娠した栄子は、顕彦と美禰子の関係を知って弱みにつけこみ、自分の出産した男児を美禰子の産んだ子として育てさせる。やがて美禰子の素性を調べた運転手・中田から、美禰子が偽者だと聞いた茜は美禰子を許し、顕彦に真実を告げるよう諭す。しかし顕彦は美禰子が自分の妹だと信じたまま既に満州へ去っていた。さらに中田は美禰子を脅迫し肉体関係を迫り、美禰子は車で海へと転落して自殺を図るが失敗。救出された美禰子は早瀬川家を追われるが、顕彦の子を妊娠したことに気づく。
第3部(昭和17年 - 昭和20年)

7年後、美禰子は糸川家に戻り、店を手伝っていた。満州からの団体客の中に顕彦の姿が。その頃、ユリエと名乗る派手な女性が早瀬川家に。彼女は顕彦の妻だというが、記憶喪失で満州でのことしか覚えていないと早瀬川家の人に語るが…。ユリエは吉原で、娼館・ミモザ館の営業を始める。顕彦の様子から、女性の影を感じたユリエは栄子に相談。栄子はユリエに美禰子の存在を告げ二人の間には娘がいる事を明かす。ユリエは栄子に入籍について問われると「いいえ…あたし自身、戸籍自体どこにあるのかも…」と不安に陥る。ユリエは今浜の場所を突き止め外で遊んでいたひかるに近づくが、怯えたひかるが逃げ出し店にいた美禰子に「あの絵と同じ顔の女の人がいた!!お母さんの隣の顔と!!」驚いた美禰子が店の外に出ると、ユリエは物陰から嫉妬の眼差しを向ける。ホテルで顕彦と逢った美禰子は、事情を話し顕彦と抱き合うがユリエが部屋へ押しかけ、顕彦は美禰子を逃がす。顕彦はついにユリエに別れを告げるが、ユリエはショックで泣き崩れる。

今浜では店の外壁に何者かがピンで刺し付けた洋服に赤い毛糸を巻き付けた五寸釘が打ち付けられる嫌がらせが。しばらくして、店にやってきたユリエを見た美禰子と丹は「美琶ちゃん…?」と驚く。「誰と間違えてるのよ!!あたしは顕彦の妻のユリエよ!!」と包丁を突きつけ丹に誓約書を読ませ、捨てゼリフを吐きユリエは立ち去る。丹は顕彦に異母兄妹である事を明かす。ミモザ館でヤケ酒をあおるユリエは自暴自棄になり、自分を娼婦と間違えて声をかけた客に抱かれるが突然頭痛に襲われる。顕彦はユリエに美禰子と美琶子の写真を見せると、急に過去の幻影がよみがえり写真を破るユリエ。自分が顕彦の異母姉妹だと信じられないユリエ。ある夜、若い男がユリエを抱かせろと店の男と言い争っているのを見て「ダンスくらいなら踊ってあげるわよ」と一緒に踊る。男の名前は隼一。後にユリエの恋人となる。

ついに美禰子はミモザ館に行きユリエと対峙。美禰子がユリエのドレスの左袖を破き、ユリエの腋を確かめようとする。ぶつかった際、頭を打ったユリエが記憶を取り戻し、美禰子はホクロを確認。ユリエは泣き崩れる。翌日、顕彦と美琶子は早瀬川家の皆にユリエが行方不明になっていた美琶子である事を告白。母・茜は、知らぬ間に兄妹の対面をしていた事に驚き、栄子は激怒。美禰子は美琶子から失踪時の事情を聞く。美琶子は自分が羽生と心中しようとして、舟がひっくり返って海に投げ出された事までは覚えているが、気がついたら病院のベッドにおり、白浜の旅館で厄介になっていたが、出入りするヤクザに騙されて満州に売られ、娼館を転々としハルピンでダンサーを始めた時に、顕彦と知り合った事を告げる。

美禰子と顕彦は結婚が決まる。宴の数時間前ミモザ館から美琶子の使者が「本当のお父さまを見つけたんです!」と告げられる。半信半疑の美禰子がミモザ館を訪れると美琶子が「結婚のお祝いにあんたの本当のご両親を探してあげようと、新聞に広告を出したら名乗り出た人がいたの」部屋に通された美禰子が対面すると男に迫られ騙された事に気付くが、なすすべもなく乱暴されてしまう。美禰子はこの事を誰にも話すことなく披露宴に臨んだ。宴の席で、ひかるは従兄の進一と初対面。戦局が一段と厳しくなり、美琶子は隠れて営業していたが憲兵に見つかり、女たちを従軍慰安婦として徴用しようと連れて行こうとする憲兵とやりあうが、殴られる美琶子を隼一が庇い射殺、隼一の子を妊娠していた美琶子は流産する。

昭和19年。B-29などの爆撃機が来襲するようになり戦局は悪化。美琶子の娼館は、娼婦や従業員も徴用され開店休業状態に。今浜に進一がひかるを訪ね2人で美琶子のところに遊びに行くと、ひかるが美琶子に誘拐される。3日後、美禰子はショックで食事も喉を通らないほど落ち込んでいた。進一は家礼・磯崎の制止を振り切り、ひかるがミモザ館に監禁されている事を知る。進一からひかるの居場所を聞いた美禰子は吉原へ行き、美琶子と対決。そこへ遣手がひかるを連れて来る。すきを突き美琶子はひかるを羽交い絞めにし「この子を殺して、あたしも死ぬの!」と凄む。顕彦の子供を産んだと美禰子への嫉妬を爆発させる美琶子はひかるの首を絞める。美禰子は美琶子を「美琶ちゃん…死んで…。あんたなんか、死んで!死んでよ!!」と刺殺。ミモザ館は焼夷弾で全焼。焼け跡から美琶子の遺体が発見され寺に収容されるが、爆撃のため美禰子の犯行が露見する事はなかった。罪の意識に耐えられず、美禰子は顕彦に離婚を告げるが、その時権蔵から召集令状が来た事を告げられ顕彦は出征。その半年後、終戦。顕彦は夫婦関係を続行するつもりで帰って来たが、美禰子は頑なに受け入れない。
第4部(昭和24年 - 昭和31年)

美禰子は顕彦と離婚。今浜の女将として日々を送っていたが、娘・ひかるとはあの事件から親子関係がギクシャクしていた。ある日ひかるは、友人に連れられてやって来た喫茶店・モナムールで、父方の従兄・進一と再会。進一は実家である早瀬川家が進駐軍に接収されてしまい、父・寛治郎の実家・曽我家で暮らしていたが、居心地が悪く顕彦のアパートに移り住んでいた。ひかるは、進一に連れられて来たアパートで顕彦と再会を果たす。

顕彦は知人から頼まれ演出家として劇団に在籍していた。顕彦はモナムールのオーナー兼、劇団の女優・とき子と婚約中。しかし、ひかるから昭和19年に起きた美禰子と美琶子に起きた真実を告白される。後に顕彦はとき子との婚約を解消。とき子は今浜を訪ね糸川家の人々を引退舞台に誘う。演目は「ボルジア家の没落」だが舞台を見た美禰子は、美琶子殺害時にそっくりな内容に唖然。とき子は終演後客席に向かい、舞台を見てぐさりとした人は出頭せよと…。家に帰った一同。耐えられなくなった美禰子はついに事件の真相を糸川の家族に告白する。しばらくして美禰子は継父・権蔵に連れられて警察に自首。昭和31年、美禰子は出所。「もう何も心配する事は無いんだよ」と顕彦から言われ二人は抱擁。満開の桜の下を手を繋いで歩いて行く。
登場人物
主人公
矢作美禰子/糸川美禰子/早瀬川美禰子(演:
遠山景織子
主人公。矢作家近くの神社に捨てられていた娘。矢作夫妻の養女。矢作家で美琶子と共に育つ。清楚な雰囲気で気立が良く、控えめな性格だが、意地になると頑固を貫く一面も持ち合わせている。度重なる美琶子からの「捨子」呼ばわりや身勝手さに対し密かに憤りを募らせるが、気位の高い美琶子と共に生活するため大体のわがままは許容して来た。自分の婚約者・羽生と心中し、行方不明になった美琶子の代わりに糸川家の養女となり、上京。早瀬川伯爵家の嫡男とは知らずに顕彦と出会い恋に落ち、美琶子の身代わりに早瀬川家に入ることで運命が狂い始める。顕彦と偽の異母兄妹として再会するが、栄子の極秘出産・偽装への協力を強いられて連れて来られた軽井沢の別荘で再び男女関係になり、自分が他人であるとは打ち明けられず、互いに苦悩する。糸川家に戻り顕彦の娘・ひかるを出産。後に内地に帰って来た顕彦と結婚するが、顕彦をめぐって美琶子に騙され嫌がらせに遭う。さらに娘・ひかるを「ミモザ館」に誘拐・監禁した挙句、目前でひかると無理心中を図った美琶子を刺して殺害。一度は顕彦と離婚するが、事件の真相を知った顕彦と和解。後に警察に出頭、服役する。出所後、顕彦が迎えに来て復縁する。
主人公の乳姉妹
糸川美琶子/ユリエ/早瀬川美琶子(演:
上原さくら
早瀬川伯爵と丹の娘(早瀬川伯爵の庶子(三女)で、早瀬川伯爵以外早瀬川家の人間たちには疎まれて快く思われていない)、生まれて間もなく実母・丹により矢作家へ里子に出される。美禰子の乳姉妹で同い年。矢作夫妻の正式な養女ではないため糸川姓。美禰子とは対照的に女学生時代から妖艶で華美な美貌を持つ。天真爛漫な性格で大胆かつ口八丁、社交的で盛り上げ上手、商売にも長けている。貴婦人になることを夢見る一方、心中に憧れ、恋愛のためならどのようなことにも身を投じる危うさがあり、また一度怒り狂うと手をつけられず、ワガママで身勝手な気性の激しい腹黒いトラブルメーカーの悪女。精神的に不安定で異性に依存する傾向にある。派手な装いやパーティーを好み、後に酒を飲み長い煙管で喫煙するようになる。姉妹分の美禰子とは仲が良かったが、ことあるごとに捨子であることを揶揄、または見下す発言をし、それを理由とし美禰子には理不尽なことにも耐えるようを言いくるめる。美禰子の寛容さに甘えており、彼女が密かに募らせている鬱憤に気付いていない。大切にしてくれるが自分を「預かりもの」とする矢作家にも、自分と折り合いの悪い継父・権造と家庭を持つ実母・丹がいる実家にも居場所がないと感じており、捨子だが矢作夫妻から実の娘として扱われ、見合い相手の羽生と順調に愛を育む美禰子に対し密かに嫉妬を燃やす。浜辺で入水を図った時に助けられて以降、美禰子の婚約者である羽生に横恋慕し、羽生の祖父の世話を通し美禰子の目を盗んで接近、羽生の父に美禰子の出自を暴露し、結婚を反対されるように仕向ける。思惑通り羽入と美禰子が一時的に破談になった時を見計らって羽生に求愛し、肉体関係に至る。後に2人が復縁した後も密会を重ねる。美禰子の祝言直前の夜、美禰子の婚約者・羽生と心中し行方不明になる。9年後、満州に渡った顕彦の内妻・ユリエとして美禰子たちの前に現れる。記憶喪失で過去のことを知らないが、行方不明になっていた美琶子であった。顕彦への想いから中々自分が美琶子であることを認めようとせず、偽の両親と戸籍を工面しユリエとしての存続を図るが、結局記憶が戻る。「ミモザ館」に乗り込んだ美禰子により美琶子の特徴である脇の下のほくろと娼婦・朱美に譲った羽生の祖父から贈られたルビーの指輪を確認され、美琶子本人であることが証明された。


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