偶蹄目
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偶蹄目/鯨偶蹄目
左上から時計回りにキリンアメリカバイソンヒトコブラクダイノシシシャチアカシカ
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
亜綱:獣亜綱 Theria
下綱:真獣下綱 Eutheria
階級なし:有胎盤類 Placentalia
上目:ローラシア獣上目 Laurasiatheria
階級なし:有蹄類 Ungulata
:偶蹄目/鯨偶蹄目 Artiodactyla/Cetartiodactyla

学名
Artiodactyla Owen, 1848[1]
Cetartiodactyla Montgelard et al., 1997[2]
和名
偶蹄目[3]
鯨偶蹄目[4]
下位分類群


核脚亜目 Tylopoda

Artiofabula

猪豚亜目 Suina

Cetruminantia

反芻亜目 Ruminantia

マメジカ下目 Tragulina

真反芻下目 Pecora


鯨河馬形類 Whippomorpha

カバ下目 Ancodonta

鯨類 (Cetacea)




偶蹄目(ぐうていもく、Artiodactyla)は、哺乳綱。日本ではウシ目とも呼ばれる[5]

近年の分子系統解析から鯨目を内包するという解析結果が得られ、旧来の本目と鯨目を組み合わせてその分類群に対し鯨偶蹄目Cetartiodactylaを用いる説と、鯨類を含んだ本目に対しても引き続きArtiodactylaを用いる説がある[6]

鯨類(クジラ類)を除く旧来の偶蹄目は側系統群であることが判明しているが、この側系統群に対しては引き続き慣例的に「偶蹄類」と呼ぶ場合が多い。本稿では主に、鯨偶蹄目から鯨類を除いた陸生の偶蹄類(側系統群)について記す。
進化史

偶蹄目(鯨偶蹄目)と最も近縁な分類群は奇蹄目であり[7]、合わせて有蹄類に分類される[8]中新世以降次第に衰退していった奇蹄目に対し、偶蹄目は次第に勢力を伸ばしていった。現在では、カバイノシシラクダキリンヤギシカなどの仲間を含む大きなグループに発展し、有蹄動物全体の約90%を占めている。また、後述されるようにクジラ類をも内包することが明らかになり、非常に多様性に富んだ発展を遂げて、繁栄しているグループであることになる。
特徴

このグループは、奇蹄目と共に、四肢の先端に(ひづめ)をもつことを特徴とする。偶蹄目と呼ばれるように、偶蹄目の特徴は、2つに割れた蹄である。これは第3指と第4指(中指と薬指)が変化したもので、主蹄(しゅてい)と呼ばれる。また、かかとにあたる部分に、副蹄(ふくてい)とよばれる小さな蹄がついているものもあり、岩場などでずり落ちないようになっている。第3指が体重を支える重心軸となる奇蹄目と異なり、偶蹄目は第3指と第4指の二本が重心軸であるため、このような蹄の構造となる[9]。第5指、第2指はさまざまな程度に縮退し、第1指は初期のグループを除き消失している[9]。また全ての偶蹄目は後肢かかと関節にある距骨の上下端に滑車状の構造を持つ(これを両滑車とも呼ぶ)[9]

初期の原始的な科や猪豚亜目では、真獣類の基本形(歯列:3・1・4・3=44)がほぼ保たれているが、進化段階が高いグループでは上顎切歯が縮退・喪失し、硬い角質パットを発達させ、下顎切歯と上顎の角質パットにより草を噛みちぎる[9]

犬歯はイノシシ類で発達する[10]他は、多くの種で縮退または消失しているが、反芻類でもジャコウジカキバノロのようにオスが発達した犬歯を持つものがある。

頬骨については、前臼歯が臼歯化しないという特徴がある[9]。原始的なグループでは頬歯が歯冠の低いブノドント(丘状歯、例えばイノシシ類)であるが、進化段階が上がるにつれて、歯冠が低いブノセレノドント(bunoselenodonta、例えばアントラコテリウム類)、歯冠の低いセレノドント(月状歯・単歯型、例えばシカ科)、歯冠の高いセレノドント(月状歯・長歯型、例えばウシ科)と多様化している[9][11]

偶蹄類には頭部に様々な形のを持つものが多い。日本語ではウシの角、シカの角、キリンの角は全て同じ「角」であるが、ヨーロッパ語圏では区別される。ウシの角は「Horn(ホーン=洞角)」、シカの角は「Antler(アントラー=枝角)」、キリンの角は「Ossicorn(オッシコーン)」と呼ばれる[12]。それぞれ構造が異なり、ホーンは骨の芯に角質の鞘が被り、生え替わらない(プロングホーンを除く)。シカ科のアントラーは骨質が露出した枝分かれした角で、毎年生え替わるが、成長中は皮が被っている。オッシコーンは皮を被った頭骨の突起とも言えるものであり、生え替わることはない[12]
反芻

猪豚亜目以外の偶蹄類の動物は反芻(反芻亜目)、または不完全な反芻をする(核脚亜目鯨河馬形類[13][14]。仕組みはまず植物を第一室に送り、共生細菌に発酵させ、また口内へ送り、よく噛みまた第一室へ送り、第二室で再度発酵させる[13][14]。その後に第三室で食塊に圧をかけ、水分を抜き取る[13][14]。最後に第四室で培養した微生物を消化し栄養にする[13][14]。微生物にセルロースを分解させ、栄養を作り、それを使って微生物を培養させ、微生物を食べるという仕組みだ[13][14]

真の反芻獣は胃を4室持っており、口腔に近いほうの1,2,3室は前胃と呼ばれ、残りの4室は後胃と呼ばれる[13]。前胃は全て食道が変化してできたものである[13]。第一室は一般的にルーメンと呼ばれており、ここで固い食物繊維を微生物にほとんど消化してもらう[13]。内壁は緑褐色で重層扁平上皮で守られている[13]。つぎの第二室の内壁はハチの巣のような正六角形の網目状のかべがある[13]。そのため第二室は蜂巣胃と呼んでいる[13]。第三室は大きな内壁を持ち、重弁胃とも呼ばれる。第四室は単胃を持つ動物と変わらない[13]
分類

近年の分子生物学的手法の導入により、鯨類とかつての偶蹄類との系統関係が明らかになった。それによれば、鯨類はカバ類と姉妹群であり、両者は、先に反芻類と分かれた1グループ(鯨河馬形類)から、さらに2つに分岐したものである[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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