健康保険組合
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この項目では、組合管掌の被用者医療保険について説明しています。

被用者医療保険制度の総論については「健康保険」をご覧ください。

国民健康保険(地域保険)における組合保険については「国民健康保険組合」をご覧ください。

健康保険組合(けんこうほけんくみあい、Society-Managed Health Insurance[1])は、健康保険法に基づき国が行う被用者医療保険事業を代行する公法人である。略称:健保(けんぽ)。

監督官庁は厚生労働省の地方支部局である地方厚生(支)局。上部組織として健康保険組合連合会がある。連合会に加盟する健保組合の数は、2018年(平成30年)4月現在、1,389組合にのぼる[2]

日本の国民医療費(制度区別、2020年度)[3]公費負担医療給付3兆1222億円(007.3%)
後期高齢者医療給付15兆2868億円(035.3%)
医療保険等給付
19兆3653億円
(45.1%)被用者保険
10兆2934億円
(24.0%)協会けんぽ5兆7040億円(013.3%)
健康保険組合3兆5259億円(008.2%)
船員保険184億円(000.0%)
共済組合1兆0450億円(002.4%)
国民健康保険8兆7628億円(020.4%)
その他労災など3091億円(000.7%)
患者等負担5兆1922億円(012.2%)
総額42兆9665億円(100.0%)

目的

健康保険法に基づく保険者 (平成25年)[4]保険者加入者数組合数
加入者計本人家族
全国健康保険協会
(日雇特例被保険者以外)34877千人19631千人15246千人N/A
全国健康保険協会
(日雇特例被保険者)18千人12千人6千人N/A
健康保険組合29504千人15533千人13951千人1443組合
健康保険法については、以下では条数のみ記す。

健康保険の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合とする」と定められ(第4条)、これに基づき、健康保険組合は、その組合員たる適用事業所の事業主、その適用事業所に使用される被保険者、及び任意継続被保険者で構成される(第8条)。特定健康保険組合の場合は、さらに特例退職被保険者が含まれる。

健康保険組合で行っている被用者保険制度を、組合管掌健康保険(通称:組合健保)という。主に大手企業やそのグループ企業[5]の社員が加入している。生活習慣病など疾病予防の活動を積極的に行い、従業員等の健康増進とともに医療費や保険料を抑えることができるという、スケール・メリットを生かした活動が期待されている。
単一型健康保険組合
健保組合を企業が単独で設立する形式。被保険者要件は常時700人以上。
総合型健康保険組合
同業種の複数の企業が共同で設立する形式。被保険者要件は常時3000人以上。上部組織として総合健康保険組合協議会がある(根拠法令なき任意団体)。
地域型健康保険組合
同一都道府県内に展開する健保組合が合併した場合の形式(附則第3条の2)。2006年(平成18年)の法改正により新たに設けられた。小規模・財政窮迫組合の再編・統合を目的とし、安定した保険運営の困難な組合の受け皿として設立される。同一都道府県に複数設立されることもあり得る。

健保組合が分割によって設立される場合は、そのいずれも人数要件を満たさなければならない。

これに対し、現在、全国健康保険協会で行っている被用者保険制度は、全国健康保険協会管掌健康保険(通称:協会けんぽ)といい、2008年(平成20年)9月30日までは国(社会保険庁)が政府管掌健康保険(通称:政管健保)として運営していた。
設立

組合健保の組合数増減内訳[6]設立解散合併消滅増減
平成21年度6237▲24
平成22年度51010▲15
平成23年度4712▲15
平成24年度3114▲12
平成25年度101210▲12
平成26年度6511▲10
平成27年度345▲4
平成28年度774▲6

適用事業所の事業主が健康保険組合を設立しようとするときは、適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得て規約を作り、厚生労働大臣認可[7]を受けなければならない(第12条1項)。共同設立の場合は全事業主の同意を得たうえで2分の1以上の同意を各事業所について得なければならない(第12条2項)。また、厚生労働大臣は、1又は2以上の強制適用事業所について常時政令で定める数以上の被保険者を使用する事業主に対し健康保険組合の設立を命ずることができる(第14条1項。なお「常時政令で定める数」の当該政令は未制定)。事業主がこの命令に従わなかった場合は、その手続の遅延した期間、その負担すべき保険料額の2倍位相当額以下の過料に処する。健康保険組合は、設立の認可を受けたときに成立する(第15条)。健康保険組合が事業所を増加・減少させるときも同様の手続きが必要である(第25条)。

健康保険組合が設立された適用事業所の事業主及びその事業所に使用される被保険者は、たとえ設立に同意しなかった被保険者であっても当該健康保険組合の組合員になる(第17条1項)。事業所に使用されなくなったときでも、任意継続被保険者であるときは、なお当該健康保険組合の組合員となる(第17条2項)。なお、日雇特例被保険者は、健康保険組合のある事業所に使用される場合であっても、組合員となることはできない。

健康保険組合の設立には厚生労働省が定める設立認可基準に適合し、将来にわたって安定した事業運営が見込まれることが必要であり、その審査は厳格である。基準を満たさずに申請して国が認可しなかった場合、上場企業においては市場における当該企業の株価の暴落といった副作用を招く恐れがあるため、実際には設立申請前に入念な事前チェックが行われ、最終的に認可基準に適合すると認められる者のみが認可申請に進む手法が慣例となっている。このため、セレモニーたる申請が却下された事例は一度もない。

健康保険組合が組織されている事業所に日雇特例被保険者が就労する場合、その組合は日雇拠出金を厚生労働大臣に納付しなければならない。その額は1年度の日雇特例被保険者に係る支出総額から収入総額を除いたものを、同年度のその組合ごとの就労日数で按分して算出する。つまり日雇特例被保険者に係る費用は使用実績に応じた負担となるのである。納期限は毎年9月30日と3月31日である。
組織

健康保険組合には、役員として理事長1名、及び理事、監事が置かれ(第21条、第22条)、理事会が健康保険組合の執行機関となる(第7条の9)。

議決機関として組合会が置かれ(第20条)、理事長は、毎年度1回通常組合会を招集しなければならない。また理事長は組合会議員の定数の3分の1以上の者が付議事項及びその理由を記した書面により組合会の招集を請求されたときは、その請求のあった時から20日以内に組合会を招集しなければならない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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