健太やります!
[Wikipedia|▼Menu]

『健太やります!』(けんたやります)は、満田拓也によるバレーボールを題材とした日本漫画作品。『週刊少年サンデー増刊号』(小学館)にて1988年11月から1989年5月にかけて、『週刊少年サンデー』(同)にて1989年30号から1994年24号にかけて連載された。単行本はサンデーコミックスで全26巻・ワイド版全14巻・文庫版全14巻。
概要

バレーボールに情熱を注ぎ込む少年井口健太と天才的なアタッカー前田隆彦の2人が弱小坂見台高校男子バレー部を引っ張り、県大会を戦っていくストーリーである。話は大きく三部に分かれる。いずれも最後に県内最強チーム、私立誠陵高校バレー部の面々が立ちはだかり、二度破れ、苦杯を嘗めているが、成長した健太達は三度目の試合で見事な好ゲームを見せた。

また主人公の井口健太はレシーブ能力こそ計り知れない才能を秘めているが、他に至っては能力、体格ともに平凡で、天才的な才能を秘めた他のスポーツ漫画の主役達とは一線を画している。また、キャプテンになりたての頃は常に不安にさいなまれ、またセッターとしてのプレッシャーから神経質になり新入りの宇都宮を罵倒してしまうこともあったが、様々な困難を乗越える中でタフな精神力を身に付けていく。その天才キャラの立場はサブヒーローの前田隆彦が担っており、彼が攻撃の要とするならば、健太はあくまでサポート役、守備の要としてチームを引っ張る役目で、前田を引き立てる裏方の活躍をしている点でも異色の存在である。

全選手がオールラウンドプレイヤーである強豪誠陵を始め、様々な技巧・作戦を使う相手に、また怪我や体調不良など常に苦戦と逆境を強いられるが「諦めない闘志」と「根性」で乗越えるという王道が基本的な流れをなす(ただ江藤の指導によって次第に技巧的・論理的な試合運びも見られるようになる)。

主人公の健太を始め、誠陵の辰巳、浦賀工業の渋谷、足柄商業の金田一、善行の小坂など、下級生のキャプテンが多く、下級生だけしか部員がいない高校も少なくない。
主な登場人物とチーム
私立坂見台学園高校
井口 健太(いぐち けんた):背番号7
8月30日生まれ A型 164cm(ただし、最終話で前田に迫る身長まで急激に伸びている)/52kg ライト(レシーバー)本作の主人公。決して体格、才能に恵まれたわけではないが、ひたむきで誰にも負けない根性を持ち、粘り強いプレーでチームを支える。また、レシーバーとしては優れた技能を持ち、強烈なスパイクを鋭い読みと体を張ってボールに食らいついていくレシーブ能力は彼の最大の武器でもあり、相手チームを翻弄し、試合の流れを一気に引き寄せてしまう。第二部以降、キャプテンの座を稲場から受け継いだ後は、気の弱い側面は薄れ、図太い面を見せるなど精神的にも強靱になり、前田も彼には全幅の信頼を寄せていた。それでも足柄校の金田一にセッターとしての弱点を指摘されたり、旧友でオールラウンドプレーヤーである渋谷にレシーブしかできない一芸バレーであることを批判されたときはかなりの自信喪失に陥り、キャプテン就任後に罵倒してしまった宇都宮のバレーへの思いを知ったとき、右腕骨折した前田を抜いた試合を江藤コーチに相談するとき、右腕をかばうために実力を発揮できず落込む前田を奮起させる場面などには感情を露わにして泣くこともある。だが最後の誠陵戦では劣勢にあっても、落ち着いて試合を楽しむ心の余裕を持つまでになっている。両親、弟の4人家族で団地に住んでいる。
前田 隆彦(まえだ たかひこ):背番号5
8月6日生まれ B型 185cm/78kg レフトもう一人の主人公で色黒の長身。驚異的な体力と運動神経を誇り、チーム一のバレーセンスの持ち主にして坂見台不動のエース。アタッカー、ブロッカーと前衛の要として活躍する。特にスパイクの威力は圧倒的で、好調時には誠陵の選手も一歩も動けないほどのスピードと破壊力を誇る。ただし、微細ながらもスパイク時の動作に癖があり、藤実に見抜かれたときはスパイクのコースが完全に読まれている。右腕を骨折した後は無意識に怪我を恐れバレーを始めて初のスランプに悩まされるが、仲間の支えもあって誠陵戦で復活を遂げ、精神的にも大きく成長した。誠陵バレー部で活躍する双子の兄がおり、両親も関係を案じるほど犬猿の仲。彼も誠陵バレー部にスカウトされるが、仲間を見下し、蹴落とすバレーではなく、仲間との絆を大切にしたいとの思いから断っている。実家は蕎麦屋でバレー部の打ち上げ会場として利用されている。先述のスパイク時の癖は、結局は自身の実力によってねじ伏せており(その対戦時以降に癖を矯正するような描写は見られないが、それを突こうとする対戦相手も現れていない)バレー選手としての弱点は皆無に等しいが、バス移動の際嘔吐する程の重度の乗り物酔い体質であることが自身としての弱点といえる。
稲場克己(いなば かつみ):背番号4
主として第一部に登場するバレー部の先輩(登場時は最上級生)でキャプテン。やや老け顔で虚ろ眼をしている。天才的なセンスを持ったセッターであり正確無比なトスを挙げる。セッターが基本ポジションであるが、県大会2回戦の鎌倉北戦では相手が健太を徹底的に狙い打ちにして疲れさせる戦法をとったため、健太を急遽セッターにして、自身はバックアタックを決めるなど、アタッカーとしてのスキルも高い。その実力はかの誠陵からもスカウトを受けたほどである。中学時代に負った左ひざの古傷に不安を抱えている。入部直後の健太に別メニューとして正確なコントロールを持ったサーブの練習を強制させ、健太にレシーブやサーブでも立派にチームに貢献できることを知らしめた。このエピソードは後に後輩の立花が自信を失くし退部しかけたときにも、立花を勇気づけ部を続けることに資した。引退後もチームのよき指南役である(誠陵との新人戦を前に不安になる健太に不安になる暇もないほど練習せよと助言したり、コーチを付けることを助言したり、勝ち目がないと大会用の練習を渋る江藤に頭を下げてでも説得するように進言するなど)が、現在は部外者であるというスタンスは崩さず、後輩の自発的な成長に期待をかけている。実家は広大な敷地を持つ屋敷で「坊ちゃん」と呼ばれている。顔がそっくりな弟が最終話に登場。
近森 千穂(ちかもり ちほ)
1月5日生まれ O型 158cm/体重は秘密 スリーサイズは極秘バレー部のマネージャーで本作品のヒロイン的存在。健太、前田とは同学年。元々はミーハーなバレーボールファンだったが、健太のひたむきな姿を見てマネージャーになった。活発で言いたいことは遠慮なく口出しするはっきりとした性格で、調子のいい前田や河野のツッコミ役。一方で面倒見が良く優しい一面も兼ね備え、バレー部を支える欠かせない存在である。登場時は両分け、お下げの髪型だったが第二部からは髪を短く切った。
河野行宏(こうの ゆきひろ):背番号1
6月17日生まれ O型 173cm/61kg レフト健太、前田より1学年先輩のバレー部員で副キャプテン。出っ歯がトレードマーク。明るいお調子者だが前向きな気持ちとガッツは人一倍強くチームのムードメーカー的存在。当初は先輩後輩関係を重視し、後輩の健太がキャプテンをやることに反対していたが、健太の誰にも負けないやる気に根負けし以後は健太のよき理解者になる。夏の合宿時に健太が感情的に宇都宮を罵倒したためチームが分裂しかけたときも、いち早く状況を打開するために健太に謝るよう諭すなど面倒見もよい。登場時は平凡な実力だったがチームとともに着実に成長し、前田不在時にはエースとして奮闘。トスも上手く世良の加入前は井口がレシーブをする時にセッターを務めることもあった。最後までレギュラーとして活躍した。
原直樹(はら なおき):背番号2
11月21日生まれ AB型 172cm/59kg ライト先輩3人組の一人。八重歯がトレードマーク。バレー部唯一のサウスポー。第三部終盤では緒方にレギュラーの座を奪われたり怪我をしたりと不遇な面もあったが、誠陵戦ではその根性を前田に見せることで前田復活のキーマンとなった。性格はやや神経質で、雷が苦手。
佐々木修一(ささき しゅういち):背番号3
2月14日生まれ A型 174cm/65kg センター先輩3人組の一人。眼鏡をかけてプレーをする。切れ味鋭いドライブサーブを得意とし、サービスエースが多い。外見通りの理論派で、チーム方針をめぐって井口と対立したこともある。地味な存在だが3人組の中では一番の安定感を誇り、江藤曰く「井口の次にレシーブ力がある」との事。また江藤の理論的・技巧的なバレーを健太に次いでいち早く実践に移すなど、チームが勝つために最も確率の高い戦術を選ぶ柔軟さを持つ。
宇都宮 誠(うつのみや まこと):背番号6
4月13日生まれ O型 199cm/95kg センター前田の幼馴染で彼の事を「タカちゃん」と呼ぶ(前田は嫌がっているが)。図体は大きいが気の優しい小心者。さぼり癖もあったが、決して自分を見捨てなかった井口の心遣いに感銘し、彼に付いていくことになった。前田は宇都宮の精神的弱さを指摘していたが、一度決めたことは最後までやり遂げる芯の強さがあり、キャプテンになりたてでイライラしていた井口に罵声を浴びせられた際には逆にそれを反省材料とし、影で努力し決して諦めなかった(この一件で深く反省した井口のキャプテンシーも成長を始めた)。チーム屈指の長身を生かしてブロッカーとして活躍する。作中では鈍重扱いされることも少なくないが、ジャンプ力をはじめとする基礎身体能力は悪くはなく、初の試合で顔面ブロックを決めた際にはそのブロック自体の「高さ」で相手を驚愕させた。
緒方 明(おがた あきら):背番号11
12月20日生まれ B型 180cm/72kg レフト健太の1学年後輩。広島生まれで話す言葉も広島弁。転校が多くパンチパーマ(実は天然パーマ)の強面だったため友達が少なかった。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:28 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef