偉大なる、しゅららぼん
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偉大なる、しゅららぼん
The Great Shu Ra Ra Boom
[1]
著者万城目学
発行日2011年4月26日
発行元集英社
ジャンルファンタジー小説
日本
言語日本語
形態上製本
ページ数548
公式サイト ⇒公式サイト
コードISBN 978-4-08-771399-2

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『偉大なる、しゅららぼん』(いだいなる しゅららぼん、英題:The Great Shu Ra Ra Boom[1]) は、日本作家万城目学の小説。『小説すばる』2010年5月号から2011年4月号まで連載され、同年4月に刊行された。パワースポットである滋賀県琵琶湖を舞台に、「湖の民」としての力を持った一族同士の対決の末、未曾有の災害に立ち向かう物語。作者はこの作品で「上手くなると、どうしても乱暴な側面がどんどん消えていってしまい、それが何となくよくない」と考え、デビュー時の作風に立ち返り、「文章にしても構成にしてもちょっと荒っぽく、そんなにきちきち決めずにやってみよう」という思いで書かれた作品となっている[2]

ジャンプ改』にて関口太郎作画により漫画化され、2014年に実写映画化された[3]

2013年12月に英訳電子書籍The Great Shu Ra Ra Boom (翻訳:内村ウェンディ)が集英社のレーベル「Shueisha English Edition」より刊行された。[4]
あらすじ

滋賀県湖西地方に住んでいた日出涼介は、「湖の民」としての力を与えられた者として修行をするため、湖東地方にある城下町石走にある石走高校に入学、日出本家で過ごすことになった。日出本家の跡継ぎで変わり者の淡十郎と同じ赤い制服を着させられ、本丸御殿から源治郎の舟で学校に通い、白馬を乗り回す清子に振り回される。さらに同じクラスの棗広海には入学初日に突然殴りつけられる。日出家と棗家は琵琶湖のご神水によって特殊な「力」をもつ一族、1000年にもわたり、琵琶湖を舞台にいがみあっていた因縁の関係だったのだ。

涼介は師匠となった藤宮濤子と不念堂で修行をはじめる。しかし淡十郎は入堂を拒否していた。ゴールデンウィーク最終日、濤子は涼介と淡十郎を連れて、源治郎が操縦するクルーザーで竹生島へ行く。二人はここで力を授かるためのご神水を飲む。

淡十郎は校長の娘で同じクラスの速瀬に恋をする。わざわざ美術部にまで入って近づこうとするが、彼女が好きだったのはよりにもよって棗広海だった。恋破れた淡十郎は怒りのあまり、棗広海を、そして棗家を石走から追い出すことを決める。

そんな中、速瀬義治校長は日出家と棗家に石走から出ていくよう要求、日出淡九郎、棗永海、潮音が時を止められ動けなくなってしまう。猶予期間は3日。濤子たち日出一族はマキノの別荘に集まり、涼介と清子・淡十郎姉弟が城に残される。

棗広海からショックを受けている母の記憶を消してほしいと頼まれた涼介は濤子に相談、ひきこもりの清子が馬に乗って棗家へ向かう。そこへ速瀬校長が現れ、棗の母にまで術をかけようとした途端、涼介の耳に轟音が鳴り響き池から水柱が高く上がる。轟音に倒れた涼介たちを前になぜか淡十郎だけが平然としていた。実は淡十郎は力を得るご神水を飲んでおらず、力を持っていないことを告白。

石走を去る期限の前日、棗広海は実家を出て城に泊まる。翌朝、淡十郎は登校、清子は涼介と棗広海を琵琶湖畔に呼び出し、お互いの力を同時にぶつけあう「しゅららぼん」をやらせる。すさまじい轟音にのたうちまわる3人の前に水柱が上がり、湖面が2つに割れ、竹生島までの道ができる。涼介と棗広海は清子の馬で湖底を駆け、竹生島のそばで「ご神水」をくんで戻る。

淡十郎が速瀬校長と娘を連れて帰宅する。清子は隙をついて校長の心に入り眠らせることに成功するが、校長に「力」がないことが判明。隠れていた源治郎を探し出した清子は術で止められてしまう。源治郎は竹生島で淡十郎からもらったご神水を飲んだあと、過去の記憶と強力な力がよみがえっていた。そして記憶を奪った師匠と先代淡八郎を恨み、校長を操って日出家と棗家を追い出そうとしたのだ。淡十郎は涼介が持ち帰ったご神水を飲み、雷鳴響く中、源治郎を説得しようとする。突然真っ暗な空から巨大なものが降下し源治郎を連れ去ってしまう。淡十郎は、ご神水を飲んだあと「あれの声」が聞こえるようになり「去るべし」と答えたからだと言う。家族を元に戻す方法をなくし泣き崩れる淡十郎に、棗広海は棗家に伝わる秘術を使って全てを元に戻すと決める。しかしそれは棗家がこの世から消える術でもあった。

すさまじい轟音がおさまると、涼介と淡十郎は入学式の日に戻っていた。クラス名簿に棗広海の名はなく、棗家の道場も存在しなくなっていた。清子は他人の頭の中身が勝手に聞こえる現象がなくなる。源治郎は清子によって力以外の記憶を修復され、秋田にいたころの懐かしい思い出を話すようになった。竹生島の儀式で淡十郎はご神水を飲まずに捨てる。涼介と淡十郎のクラスに転校生がやってくるところで物語は幕を閉じる。
主な登場人物
日出家(ひのでけ)

石走城に現在も住居を構えている一族。近江商人の活躍時期に乗じて、本家当主の淡九郎がトップに立つ日出グループは莫大な富と権力を意のままに、石走を支配している。一族に子供が生まれると、生後3日目に湖の民としての能力があるかどうか調べられる。能力があると判明した場合、10歳の誕生日に琵琶湖のご神水をいただくことで相手の心に入り込み、その精神を自由自在に操れる「力」を与えられる。しかし「力」を持つ者に対しては「力」を使う事ができない。この「力」を発動させると、棗家の「力」を持つ人間には「しゅららら」という大音量の吐き気がする音が聞こえてしまう。
日出涼介(ひので りょうすけ)
本作の主人公兼語り部。湖西地方に住んでいたが、「湖の民」としての力を与えられた者として高校入学と同時に石走城の日出本家に下宿し、不念堂と呼ばれる場所で修行をすることとなる。生まれながらにして「涼介」という名前や修行が決まっていたため、石走高校へはおじにあたる淡九郎が裏で手を回して(推薦と言っているが、裏口に近い形で)入学した。しかし、「力」を与えられたということが信じられず、そのストレスから小学生時代からホラを吹くことが癖になっていた。そのため、男子生徒からは人気があったが、女子生徒の人気はなかったという。修行をしながらも「力」を根こそぎ失うことを望んでいる。清子からは「浩介の弟」と呼ばれている。
日出淡十郎(ひので たんじゅうろう)
日出本家の跡継ぎ。生まれながらにして殿様のような性格(ナチュラルボーンな殿様)。赤い色を好み、校則にない赤い制服を着て登校する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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