倉金章介
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1953年

倉金 章介(くらかね しょうすけ、本名:倉金 虎雄〈くらかね とらお〉、1914年2月13日 - 1973年8月25日)は、日本漫画家出版美術家連盟会員[1]。『あんみつ姫』の作者として知られる[2]

倉金 とらを、倉金 良行(くらかね よしゆき)の筆名で活動していたこともある[3][4]
経歴

1914年(大正3年)2月13日、山梨県甲府市[5]で料理屋[6]の四男として生まれる[1]

甲府市立甲府商業学校(現在の甲府市立甲府商業高等学校)に在学中から、『少年倶楽部』や『少女倶楽部』などの雑誌に作品を投稿[5][7]

卒業後、料理屋の仕事を継ぐのがどうしても嫌だった倉金は、家族に告げずに、雑誌に掲載された作品や写真、履歴書を同封した弟子志望の手紙を尊敬する田河水泡に送る。上京するように書かれた返事をもらい[6][8]、母たち[注 1]の許しを得た[6]倉金は、1932年昭和7年)[注 2]に姉に連れられて上京。田河に素質を認められて内弟子となる[9]

1934年(昭和9年)に独立[13][注 3]1935年(昭和10年)、倉金良行の名で『少女倶楽部』10月号にて『どりちゃんバンザイ』の連載でデビューする[4][14][注 4]

1941年(昭和16年)10月に応召[16]。自ら志願し、従軍記者として仏印のサイゴン(現在のホーチミン市)へ出発。日本陸軍の占領下に置かれたシンガポール[17]で、現地民宣撫のための新聞編集の仕事を行う[18]

1946年(昭和21年)5月に復員[16]。その後、絵本の挿絵から仕事を再開する[4]1948年(昭和23年)に結婚[19]1949年(昭和24年)2月[1]に長男が誕生[20]。同じ年、光文社の月刊雑誌『少女』5月号から『あんみつ姫』の連載を開始[19]。大ヒットし、一躍人気作家となる[21]。また、9月号からは、筆名を章介と改める[22]

1953年(昭和28年)凡人社(現在のマガジンハウス)の月刊雑誌『平凡』で『てんてん娘』の連載を開始。同じ年に第二回小学館児童文化賞(絵画奨励賞)を受賞[23][注 5]。『あんみつ姫』や『てんてん娘』の連載後も一貫して「少女時代ギャグ」漫画を発表し続けた[24]

1973年(昭和48年)8月25日、心臓発作[25]により死去。59歳没。
人物

5、6歳の頃は、外で遊ぶのが嫌いで、家の中にばかりいた
[6]

小学校では、一年生の時に学芸会で自由画を描かされたり、授業中にはノートに絵ばかり描いていた[6]

漫画の投稿をしていた学生時代、よく勉強したため、たちまち近眼になってしまった[6]

学生の頃に野球が大好きになり、野球部の遠征には弁当を持って必ず応援に出かけていた。ただし、野球は見るだけであり、体操も苦手だった。逆上がりがどうしてもできず、放課後も猛練習をした[6]

田河水泡の内弟子時代には、家の掃除、雑巾がけ、買物、食器洗いなどの家事を受け持っていたが、田河の妻である高見澤潤子よりもそれらが上手かった[9]。独立後もたびたび田河夫妻の家へ行き、戦後も交際を続けていた[26]

同時期に田河に入門した杉浦茂は、顔を合わせるたびに「杉浦さん、やりましょう、やりましょう!」と言ってくる倉金の熱意に押されっぱなしだったと語っている[27]。また、二年後に同門になった長谷川町子とは、いつも漫画についての議論や批評をし合い、「ぼくたち(杉浦も含む)で新しい漫画を創りましょう」、「楽しい漫画を描きましょうね」と言っていたという[28]

杉浦によると、酒を全く呑まなかった[29]。仲が良かった漫画家の石田英助によると、酒が飲めず甘党であり、旅行で宿のごはんを食べていても名物料理を食べさせる店に行きたがる「胃がいい人」で、実家が料理屋であったことから料理に詳しかった[4]

戦前の独身時代、華やかな雰囲気が好きで、仕事の余暇には映画歌舞伎新派新国劇から宝塚まで毎日かけまわっていた[20]。なかでも宝塚少女歌劇が大好きで、日比谷宝塚劇場の東京公演の際には、一人で同じ出し物を二度も見に行くような宝塚ファンだった[25][29]。豪華な衣装を次々に取り替え出てくるさまは、後に描かれる『あんみつ姫』にも影響を与えた[30]

甲府商業の同級生で漫画家志望の小沢よね吉が上京してきた際、住む部屋を探し、出版社に小沢を紹介した。また、1941年の8月、小沢が事故死した際には、事故の後始末から火葬場の手配、家族や友人への連絡を倉金が全て一人で行った[29]

クリスチャンである長谷川町子の姉(毬子)と大恋愛をしたが、倉金が仏教徒であったため失恋し、その後外地に従軍記者として出ていったという話が、杉浦茂から弟子の斉藤あきらに伝えられている[31]

子供好きな性格だった[32]


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