修養団
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修養団SYDビル (東京・千駄ヶ谷

公益財団法人修養団(こうえきざいだんほうじん しゅうようだん、略称SYD)は、日本の公益財団法人。以前は文部科学省所管であったが、公益法人認定法の制定に伴い現在は内閣府の認定を受けている。
概要

修養団は、1906年(明治39年)2月11日に蓮沼門三が作った社会教育団体である[1]。蓮沼が東京府師範学校(現・東京学芸大学)時代に始めた「美化運動」がその起源である[2]。「総親和」「総努力」をスローガンに「白色倫理運動」を展開[3]大正デモクラシーに逆行する「日本精神」の普及を行った[1]。昭和初期には当時の国家主義者から期待された団体である[1]

皇国史観に基づく歴史年表を発行するなど、1937年(昭和12年)8月24日の閣議決定で推進された国民精神総動員運動[4]を、民間の側から推進した[1]。修養団は蓮沼の『道のひかり』を信条とし、日本主義による倫理の確立を目指している[1]。機関紙『向上』を発行している[1][5]。今日でも、子ども自然体験キャンプ、海外の恵まれない子たちとの交流活動のほかに、家庭教育や社会人教育などの事業を展開している。1923年(大正12年)に財団法人[1]2011年(平成23年)4月1日に公益財団法人としての認定を受けた。

初代団長に田尻稲次郎[6]、2代目団長に平沼騏一郎、初代後援会長に渋沢栄一などの著名人の名前が見られる[7]。また、その後の会長には大槻文平、副会長には小山五郎三田勝茂日向方斉などの名が見られる[7]

修養団の考えは、太平洋戦争前から住友金属日立製作所などの大手企業が修養団の教えを広めた[8]。また政府からも産業界からも大きな期待がかけられた団体だった[9]
歴史
起源

修養団の起源は、蓮沼が青山師範学校(現・東京学芸大学)時代に始めた「美化運動」である[10]。この「美化運動」を母体として次に作られたのが「風紀革正会」である[11]。同好会的な学生の運動だった[12]「風紀革正会」が更に大きくなって社会教育運動のための団体に変わったのが修養団で、1906年(明治39年)2月11日に旗揚げされた[11]。この時、蓮沼が起草したのが次の三大主義である[11]

第一、瞑想する。瞑想することにより以下のことができるのである。したがって、毎夜寝る前に床をのべたところで、座って瞑想するのである。

イ まず胆力の養成。

ロ 忿怒を鎮圧する。いかなるときにも怒るということを抑える。

ハ 情欲の鎮静。

ニ 学問の工夫。

第二、偉人崇拝の精神を涵養する。

第三、流汗。汗を流し、努力して理想の寄宿舎を建設する。

それには、

イ 清潔心を養う。

ロ 同情心を養う。

ハ 個人制裁を重くする。

ニ 全校生徒の談話会を開く。

ホ 『修養団』というガリ版の小雑誌を刊行する。

ヘ 寄宿舎の設備を完全なものにする。さらにこのヘを徹底させるためには修養室を作ること。自習室をきれいにする。談話室、応接室、食堂をきれいにする。花壇も作って草花を植える。食堂をさらに改良して自炊制度を確立する。図書館を拡張する。それらの点について、具体的に研究する。

また、修養団の団員になるためには次の2つの誓願をしなければならなかった[1]

一、同胞愛 人よ醒めよ、醒めて愛に帰れ、愛なき人生は暗黒なり、共に祈りつゝ総ての人と親しめ、我が住む郷に一人の争ふものなき迄に。

一、流汗鍛練 人よ起て、起ちて汗に帰れ、汗なき社会は堕落なり、共に祈りつゝ総ての人と働け、我が住む里に一人の怠る者なき迄に。

その他、入団時には、「帝国風紀革正の同志たることを誓約す」という一文に署名することが求められた[13]。大正時代の入団案内には、次のような一文が見られる。

本団ノ目的ハ流汗鍛練、同胞相愛ノ主張ト実現トニ因リ皇国ノ進運二貢献スルニアリ。

これは規約の第1条である[14]

修養団旗揚げ時、蓮沼は次のような設立趣意書を読み上げている[15]

同盟団結の力をもって、個人修養の推進力たらしめ、和協一致、まず、東京師範に総親和、総努力の理想郷を設立せん。来たれ友よ!醒めよ同志よ!

本日、天晴れて気澄みて、神武天皇大業成就のめでたき日、誓願を仰いで集う数百の同志が、邦家の前途を思い、殉国の覚悟を胸に秘めて、いま修養団の創立を見ることのでき得ましたことは、共にともに慶賀にたえないことであります。(中略)すなわち全体修養という意味で『修養団』と名付けたのである。要するに、世のため人のために、金あるものは金を出せ、国民が各自に持ち合わせの物を出し合って協力することにこそ、国家の発展も、社会の進歩も世界人類の幸福もあるのだ。

どうか諸君!今後は、お互いに切磋琢磨しあって、この運動の大成に協力しようではないか


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