修羅がゆく
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『修羅がゆく』(しゅらがゆく)は、『漫画ゴラク』(日本文芸社)に掲載された川辺優原作・山口正人作画の漫画作品。

1995年から2000年に掛けて、同作を原作として東映ビデオ配給、KnacK(現:ICHI)製作で映画化された。

映像作品は毎回、他府県のヤクザを巻き込んで2人の主役が戦うというのが定番テイストになっている。
あらすじ

関西を拠点にして、西日本最大の勢力を誇る広域暴力団「光和会」。その最高幹部の1人を務める岸田巌率いる岸田組には、非常に有望な組員が2人いた。1人は国立大学卒業という異色の経歴を持ち、インテリで今までのヤクザには見られないやり方で組を近代化し頭角をあらわした若頭の伊能政治、そしてもう1人は持ち前の男気と度胸と決断力で自らの道を切り開いてきた若頭補佐の本郷流一であった。この2人は水と油の如く考え方が違っていたものの、お互いの長所を認め合う義兄弟の関係であった。そんな中、ある日岸田が病気で倒れ、余命いくばくもない状況に陥った。当然、岸田組の後継者問題が注目され、その知的な戦略に定評のある若頭の伊能が岸田組の後継者として本命視されていた。しかし、当の岸田本人は後継者に本郷を指名し伊能に告げる。このことに激怒した伊能は自らが岸田組組長となるべく、病の床にふせっていた岸田を殺害し、その罪を本郷に着せる。これにより本郷組は壊滅し、本郷は光和会から破門され、そして光和会から命を狙われるようになる。かくして本郷の長きに渡る壮絶な戦いの日々が幕を開けたのであった。
主要人物
本郷組

なお、この項で述べている「本郷組」とは「岸田殺害事件」後に本郷が作り上げた組織のことを指す。
本郷 流一
本郷組組長。本作の主人公。元岸田組若頭補佐。かつては不良少年で荒れた日々を過ごしていたが、岸田の目にとまり、岸田組にスカウトされる。若いころは、九州の極道の親玉的存在である久須本のもとに預けられ、そこでヤクザとしてのイロハを叩き込まれる。本人曰く、岸田は生みの親、久須本は育ての親とのこと。伊能の策略により親殺しの濡れ衣を着せられ「懸賞首」となり、伊能が跡目を継いだ岸田組をはじめとする光和会や、カネに目の眩んだカタギにまで命を狙われるようになるが、壮絶な逃亡劇の果てに証人を見つけ、岸田殺害の嫌疑を晴らす。この岸田殺害事件による逃走劇の最中、「自らが理想とする組織を作りたい」という理念を抱き、光和会復帰の誘いを蹴り、その理念を果たすべく長きに渡る戦いの日々へ身を投じるようになる。「最後の極道」「狂い狼」とまで呼ばれる凶暴性を持つ反面、昔ながらの仁義を重んじ、筋目を通す男気と度胸と器の大きさから数々の人物を魅了し、時には敵側の人間や
カタギの人間ですら、「仲間に入れて欲しい」と懇願する者もいた。伊能にすら「お前が俺の弟のままでいてくれたら、俺たちは天下を取れると思っていた」と告白させるほど極道としての実力は高い。最終的に伊能との一騎討ちで刺し違えて岸田の敵討ちの本懐を遂げ、その報告に赴いた岸田の墓前で死亡した。
徳丸 源二
本郷組系徳丸組組長。本郷組の設立時の地位は若頭補佐。小溝が服役したのちは若頭となる。本郷組の生え抜きであり、岸田殺害事件から本郷につき従って共に死線をくぐりぬけた。豪放磊落な性格であり、朗らかさはカタギの人間も魅了されるほどだが、やはり裏社会の人間らしく時には冷酷な一面を見せる。その体型に見合った力自慢であり、怪力を生かして修羅場をくぐりぬけることもあった。伊能との最終決戦において、本郷を逃がすため道路の真ん中に仁王立ちし、銃火器の一斉掃射を浴びるという壮絶な最期をとげる。そのあまりの壮絶さは、徳丸を射殺した光和会の組員ですら「敵ながら天晴れ」と涙を流して賞賛した。
小溝 辰也
本郷組系小溝組組長。地位は若頭。徳丸と同じく、本郷組の生え抜きであり岸田殺害事件から本郷につき従って共に死線をくぐりぬけた。岸田殺害事件終了後は徳丸たちと共に本郷組のため尽力をしていたものの、ある事件により本郷を守るべく刑務所に服役。このことを、本郷は「俺の手足でもある小溝を切らなければならない」と吐露した。その後北海道の刑務所に服役したため再登場するのは物語の大詰め、本郷と伊能の一騎討ちの直前である。再登場時には窮地に陥っていた本郷を助け、彼と共に伊能を追って山に入るも隠れていた伊能の銃弾から本郷を庇い、その後の安否は不明。
工藤 卓也
本郷組系工藤組組長。地位は舎弟頭・会計担当。元は女衒であり売春の斡旋などを手がけていた。岸田殺害事件により追われる身になった本郷をかくまったのが本郷との出会い。利益のためなら売春婦の外国人女性たちを道具同然に扱う岸田組系幸田一家のやり方を毛嫌いし、本郷が幸田一家の親筋の光和会に追われていることを知り、利害の一致から本郷に協力する。チンピラではあるが、外国人売春婦たちの事を思いやるなど仁義がある一面も持ち合わせており、同じような理念を持つ本郷にほれこみ、のちに本郷の舎弟となる。本郷組の近代化を担う役職に命じられた際は「俺は今までやってきたのは昔ながらのヤクザ稼業だから、それ以外には俺に思いつくものはない」と語った。そのため本郷組の財政面での近代化は竜崎に託されることになる。それが原因で他の幹部とのすれ違いが生じ、一度本郷と対立するも無事和解した。本郷組と光和会との戦争では徳丸と共に大阪に乗り込む本郷に本郷組の指揮を任される。
京本 錠二
本郷組系京本組組長。地位は舎弟頭。元岸田組組員で、所属時は本郷や伊能と兄弟のちぎりを結んでいた。野獣といわれるほどの荒々しさを持っており、伊能や本郷をしてもその荒々しさに恐怖を抱いた瞬間がある。岸田組長殺害の件では本郷が犯人と思いこんでいたため、そこを伊能に利用され、一時期本郷組と対立し、互いの勢力をそぎ落とす死闘を演じたものの、最終的には伊能の策略に気づき本郷組に参画、本郷と共に伊能と戦うことを誓うが、伊能のだまし討ちにあい射殺された。本郷と対立していた時は荒々しい一面ばかりが目立ったが、本郷との共闘以降は、冷静で頭が切れる一面も見られるようになる。
一色 達哉
本郷組系一色組組長。元々は本郷と対立していた伊豆・堂島組の鉄砲玉。本郷組の襲撃に失敗して徳丸に捕えられ、本郷の前に引きずり出されたが、隠し持っていた銃器で自殺しようとしたところ、本郷たちに阻止され失敗、本郷の手により病院にかつぎこまれ一命を取り留めた。病院で自分一人だけで夜通し看病に付く本郷の器の大きさに惚れ、本郷組入りを直訴。病院から退院したあとは、かつて所属していた堂島組の捨て駒にされ、組織の幹部に拳銃で撃たれ重傷を負い再び入院したが、その後危機を脱し、正式に本郷組の組員となる。他の本郷組幹部と対照的に物静かで口数が少なく大人しい人物である。しかし本郷を守るという信念に関しては他の幹部に引けはとらず、一色組の立ち上げの際は「俺は組長というガラでないが、本郷組長を守るという意志だけは誰にも負けない」と一色組に新たに所属する自らの部下たちに宣言していた。のちに敵対組織との闘いで命を落とす。
竜崎 敏成
本郷組の表の顔「飛翔グループ」の社長。元は日本の最高学府の帝都大学生で、型にはまった人生を嫌っていたゆえに本郷に憧れ、仲間入りを果たすべく本郷に猛アタックしたものの、「カタギを裏社会に染めてはいけない」という本郷の信念ゆえに、本郷に幾度もその要求を突っぱねられる。本郷への思いは強く、本郷をかばって銃弾の蜂の巣にされたり、そのような手負いの身体で病院を脱走し、本郷と対立していた組織に潜入して、その組織のトップを暗殺したほど。その男気に本郷もついに折れ仲間入りを認めた。本郷組はそのとき、「組の近代化」という課題を背負っており、その近代化を担当していた工藤がその役職に適任ではなかったため、帝都大学を首席で卒業して「大学設立以来きっての天才」と週刊誌にも取り上げられるほどの知性を持った竜崎を新たにその役職に任命。これにより若くして本郷組の表の顔である飛翔グループの社長に任命され、本郷組の金庫番として財政を支えるようになった。また、表向きはカタギの立場を活かして敵の調査なども請け負う。
三津木正彦
本郷組総本部長。まだチンピラだった本郷と兄弟盃を交わした兄貴分。立場より義理人情を重んじる昔気質の侠客。本郷が岸田組に入る際に「兄貴も一緒に」と岸田に頼み了解を得ていたが、直前に姿を消す。その後本郷組が拡大した時期に本郷が水戸の組織の組葬に招かれた際に再会。しかし再会は三津木が関与した襲撃の手打会場だった。自分を手打のカタに差し出した組長を襲撃すべく会場に潜入した三津木がまさに引鉄を引こうとした直前に「このケンカ、本郷組は三津木の兄貴に加担する」と会場に本郷が現われ三津木と再会するとともにその場を収める。本郷は「もう別れ別れはゴメン」と三津木に本郷組入りを懇願し、三津木は本郷組本家入りを果たす。その後は本郷組幹部として、冷静な分析と判断で本郷の良き相談相手となる。本郷組と光和会の戦争では本郷から組の指揮を任された工藤を補佐する。
光和会

関西を拠点とした西日本最大の暴力団組織であり、日本でも最大級の規模を誇る。しかし伊能が台頭するまでは近代化が進んでおらず旧態依然とした組織運営をしており、それを中堂検事に突かれ、脱税の罪で検察の強制捜査を許し、一時危機に陥った。伊能が組織の中核を担うようになってからはそのような弱点も組織の近代化と共に克服し、以前にも増して強固な組織となった。
伊能 政治
岸田組若頭→岸田組組長→光和会本部長→光和会会長。


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