信託会社(しんたくがいしゃ)とは、信託業法により内閣総理大臣の免許または登録を受けた者をいう。信託会社でなければ信託の引受けを営業として行うことができない。ただし、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(兼営法)により、銀行その他の金融機関は内閣総理大臣の認可を受けて信託業を営むことができ、信託銀行等は兼営法による認可を受けて信託業を営んでいる。 信託業を営む会社は信託業法施行以前から存在した。1906年に設立された東京信託株式会社をはじめとして信託会社の設立が相次ぎ、1921年末にはその数は488社に達していたが、信託法・信託業法・兼営法の施行後に整理された[1][2]。残った信託会社も1948年に銀行業務の兼営が可能になった[3]のを受けて銀行法上の普通銀行に転換した。1954年に大蔵省は、普通銀行から信託業務を分離し、普通銀行から長期資金供給負担を軽減させる政策を進めた。これにより、信託業務を併営する普通銀行は大和銀行以外になくなり、7社の信託銀行が設立された。 現在、免許・登録を受けている信託会社は、その後に設立されたか、または海外から進出してきたものである。 信託会社には、「運用型」と「管理型」の2種類があり、管理型信託会社は以下のいずれかの信託引き受けしかできないなど制限が設けられている。 最新の一覧は金融庁「運用型信託会社免許・管理型信託会社登録一覧 2004年12月に公布、施行された信託業法(2004年法律154号)は、「信託業の担い手の拡大」を目的の1つとしていた。「金融機関以外の参入を可能にする」ため、業務内容に応じて、2つの信託会社の区分を設けた。これが、免許制の運用型信託会社と、登録制の管理型信託会社である。信託業法の施行後、免許を受けた運用型信託会社は、次のとおりである。 免許年月会社名備考 同じく、信託業法の施行後、登録を受けた管理型信託会社は、次のとおりである。 財務局登録番号登録年月会社名備考
沿革
免許・登録を受けている信託会社
委託者の指図により信託財産の管理又は処分が行われる信託
信託財産につき保存行為又は財産の性質を変えない範囲内の利用行為若しくは改良行為のみが行われる信託
運用型信託会社
2005年5月ジャパン・デジタル・コンテンツ[4]社名を「ジャパン・デジタル・コンテンツ信託」に変更して営業を開始。2009年9月免許取消、社名を「JDC信託」に変更
2005年9月朝日信託[5]
2005年9月日立キャピタル信託[6]2021年7月に社名を「三菱HCキャピタル信託」に変更
2005年10月ディービー・ファイナンス・ジャパン[7]社名を「DB信託」に変更して営業を開始。2014年2月に社名を「ドイチェ信託」に変更。2020年10月にサングループが買収、社名を「Sanne Group Japan信託」に変更
2007年2月トランスバリュー信託[8]管理型信託会社が免許を受けたもの。2015年5月に社名を「楽天信託」に変更
2008年1月ロンバー・オディエ・ダリエ・ヘンチ・ジャパン[9]社名を「ロンバー・オディエ・ダリエ・ヘンチ信託」に変更して営業を開始。2012年7月に社名を「ロンバー・オディエ信託」に変更
2008年4月イートラスト信託[10]イーバンク銀行の信託子会社。2009年9月に廃業
2009年10月スターツ信託
2012年4月ベルニナ信託2015年1月に社名を「FPG信託」に変更
2018年5月レオパレス信託2019年9月に社名を「未来サポート信託」に変更。2021年10月に社名を「エイブル信託」に変更
2019年3月ジェイバリュー信託
2021年3月FXクリアリング信託管理型信託会社が免許を受けたもの。2021年4月に社名を「SBIクリアリング信託」に変更
2021年10月LGTウエルスマネジメント信託
2022年1月JIA信託
管理型信託会社
関東12005年5月SMLC信託[11]2007年10月に社名を「SMFL信託」に変更
関東22005年12月トランスバリュー信託[12](上記)
関東32006年11月日本エスクロー信託[13]2012年10月に社名を「山田エスクロー信託」に変更
関東4
関東52009年8月UAP信託2011年2月に廃業
関東62011事務年度虎ノ門サポート信託2015年10月に廃業、社名を「虎ノ門法曹ビル」に変更
関東72012事務年度富嶽信託2014年3月に廃業
関東82013年7月ほがらか信託
関東9
関東102014年8月大東みらい信託
関東112014年8月エスクロー・エージェント・ジャパン信託
関東122018年5月FXクリアリング信託(上記)
関東13
関東142015年9月プルデンシャル信託
関東152017年6月積水ハウス信託
関東162017年9月ハートワン信託
関東172017年11月しあわせパートナーズ信託2019年7月に社名を「マネックスSP信託」に変更
関東182018年6月留学安心信託
関東192020年9月コタエル信託
関東202020年12月パソナ知財信託
近畿12006年6月桐生信託[14]社名を「きりう不動産信託」に変更して営業を開始
近畿22006年6月アロー信託[15]社名を「ファースト信託」に変更
近畿32006年12月共同信託[16]
近畿4
近畿52007年3月日本流動化信託[17]2012年6月「サーバントラスト信託」に商号変更、2022年10月「日税信託」に商号変更
東海12006年10月ライツ信託[18]2010年6月業務停止命令(1回目)。そのまま廃業
東海22016年6月飛騨ITアセット信託2017年3月に社名を「すみれ地域信託」に変更
東海32021年6月貝沼信託不動産
福岡12022年3月三好スマイル信託
脚注[脚注の使い方]^ 上林敬宗「貸付信託の盛衰と今後の信託銀行