この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
院外処方箋を受け付ける保険薬局(門前薬局)の例(アイン薬局)
入口に「処方せん受付 保険薬局」と掲示されている院外処方箋を受け付ける保険薬局を併設したドラッグストアの例(スギ薬局)
保険薬局(ほけんやっきょく)とは、日本において健康保険法をはじめとする医療保険各法の規定により、療養の給付[注 1]等を行う薬局として厚生労働大臣の指定を受けたものをいう[注 2]。 公的医療保険(健康保険、船員保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度等)に基づく病院や診療所(クリニック)から発行された処方箋(院外処方箋)の受付(処方箋医薬品)と調剤を行う(保険調剤)ことができる[注 3]。保険薬局でない薬局では、いわゆる大衆薬の販売や、保険調剤でない調剤を行うことはできるが、保険調剤を行うことはできない。保険薬局で保険調剤を行うためには、厚生労働大臣(薬局の所在地を管轄する地方厚生局長に権限委任。以下同じ)の指定を受けたうえで、調剤に従事する薬剤師全員が厚生労働大臣の登録を受けた薬剤師(保険薬剤師)でなければならない(第64条)[注 4]。保険薬局は、その薬局の見やすい箇所に、保険薬局である旨を標示しなければならない(保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令 保険薬局の指定は、その開設者が指定の申請を行うことにより行う。厚生労働大臣は、この申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、この指定をしないことができる(第65条)。なお指定の期間は指定の日から6年間であるが(第68条1項)、保険薬剤師である薬剤師の開設する保険薬局であって、その指定を受けた日からおおむね引き続き当該開設者である保険薬剤師のみが調剤に従事しているもの又はその指定を受けた日からおおむね引き続き当該開設者である保険薬剤師及びその者と同一の世帯に属する配偶者、直系血族若しくは兄弟姉妹である保険薬剤師のみが調剤に従事しているものについては、指定の効力を失う日前6月から同日前3までの間に、別段の申出がないときは、指定更新の申請があったものとみなされる(個人開業者の指定申請手続きの簡素化。第68条2項、保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令第9条)。 薬局が薬剤師の開設したものであり、かつ、当該開設者である薬剤師のみが調剤に従事している場合において、当該薬剤師について保険薬剤師の登録があったときは、当該薬局について、厚生労働大臣の指定があったものとみなされる。ただし、当該薬局が、上記1~6に該当する場合であって厚生労働大臣の指定があったものとみなすことが不適当と認められるときは、この限りでない(第69条)。 健康保険組合直営薬局は、当該健康保険組合の被保険者・被扶養者のみに対して調剤する場合は保険薬局の指定を受ける必要はなく[注 5]、薬剤師の全員が保険薬剤師である必要はないが、指定を受けると当該組合員以外の者にも公平に開放しなければならず、調剤に従事する薬剤師全員が保険薬剤師でなければならない(昭和32年9月2日保発123号)。 厚生労働大臣は、保険薬局の指定をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会
健康保険法について、以下では条数のみ記す。
概要
保険薬局の指定
当該申請に係る薬局が、健康保険法の規定により保険薬局の指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないものであるとき。
当該申請に係る薬局が、保険給付に関し調剤の内容の適切さを欠くおそれがあるとして重ねて厚生労働大臣の指導を受けたものであるとき。
当該申請に係る薬局の開設者又は管理者が、健康保険法その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
当該申請に係る薬局の開設者又は管理者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
当該申請に係る薬局の開設者又は管理者が、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、厚生年金保険法又は国民年金法の定めるところにより納付義務を負う保険料、負担金又は掛金(地方税法の規定による国民健康保険税を含む。以下「社会保険料」という。)について、当該申請をした日の前日までに、これらの法律の規定に基づく滞納処分を受け、かつ、当該処分を受けた日から正当な理由なく3月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料のすべて(当該処分を受けた者が、当該処分に係る社会保険料の納付義務を負うことを定める法律によって納付義務を負う社会保険料に限る。)を引き続き滞納している者であるとき。
前各号のほか、当該申請に係る薬局が、保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき。