促音便
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音便(おんびん)とは、日本語歴史上において、発音の便宜によって語中・語末で起こった連音変化のことをいう。国語史・音韻論形態論的に多様な現象を含んでいる。

なお、本項では以下のような書き方にそって解説している。

用例では、音便化を生じた音を太字で表した。 また後続音が濁音化した場合、あわせて太字とした。

現代では使われない歴史上の例には † を、標準語では使われない方言上の例には ‡ を添えた。

動詞などの活用の種類は必要に応じて 「標準的な現代文法上の活用種類名(古典文法上の活用種類名)」 の形で表現している。

いわゆる音標文字を用いる場合、歴史上の唇音的なハ行音 [ɸ] は h として表記している。

目次

1 概要

1.1 「濁音型」の音便


2 歴史

3 出現する場所による分類

3.1 活用語尾に現れる音便

3.1.1 動詞の連用形+「て」「た」など

3.1.2 形容詞の連体形・終止形

3.1.3 形容詞の連用形

3.1.4 形容詞の「?かった」など


3.2 その他の音便


4 音形上の分類と用例

4.1 ウ音便

4.1.1 濁音型のウ音便

4.1.2 ハ行、カ行等のウ音便


4.2 撥音便

4.2.1 濁音型の撥音便

4.2.2 歴史上のラ行の撥音便


4.3 イ音便

4.4 促音便


5 脚注

6 関連項目

概要

音便とは、単語中の1音(1音節)が別の音に変化する現象である。

変化後の音が「ウ」 「イ」 「ン」 「ッ」であるものを、それぞれ、ウ音便、イ音便、撥音便、促音便と呼んでいる。語頭に現れることはなく、語中または動詞や形容詞の活用語尾にのみ起こる。音便化が生じても、モーラの長さは保存される[1]

各音便の性質として、以下のような事項を挙げることができる。

ウ音便と撥音便とは互いに親和的な関係にある。すなわち、ウ音便を生じる環境では同時に撥音便形も呈することが比較的多く、逆もまた真。同様にして、イ音便と促音便も互いに親和的である。

ウ音便、撥音便を生じるのはイ段、ウ段の音が多い。 濁音型(下記参照)では「ミ」 「ビ」 「ム」などがとくに多い。 ア段、エ段、オ段の例も少数あるが、変則的なものが多い。

イ音便、促音便はもっぱらイ段音に生じる現象である。

「濁音型」の音便

鼻音(マ行音、ナ行音)や鼻音と親和性のある音(バ行音、ガ行音)が音便化する場合は、後続音の強制的な濁音化をともなう[2][3]

以下の文中ではこうしたタイプの音便を便宜上「濁音型」と呼んでいる。
歴史

この節の加筆が望まれています。

歴史的には、各音便とも平安時代初期から音便化の例がある。 一説に、音便の生まれた背景には、大量に流入した漢字音の影響が強いという[4]

すべての音便が一斉に始まったわけではなく、音便の形態、音形によって出現時期には前後があるが、院政期頃には、現在知られている音便の多くが出揃っていたとされる。

ウ音便・イ音便は広く使われたが、撥音便・促音便は漢文訓読漢語での使用が中心であった。また、和歌においては、音便が使われた例はほとんど見かけない。
出現する場所による分類
活用語尾に現れる音便
動詞の連用形+「て」「た」など

「読んで」「読んだ」「読んだら」「読んだり」のように、五段動詞四段動詞ラ変動詞ナ変動詞)の連用形が、語尾に「て」 「た (< たり < て-あり)」 「たら」、列挙の「たり」をとる際に起こる変化。 ※以下の用例では、煩雑を避けるため「て」のケースのみ示している。

語幹子音の種類によって撥音便、イ音便、促音便のいずれも起こり、方言ではウ音便になる場合もある。

以下の文中では、便宜上、この種類の音便を「動詞のテ・タ形」と呼ぶこととする。
形容詞の連体形・終止形

形容詞連体形の語尾はもと「-き」「-しき」の形だったが、「高き → 高い」 「久しき → 久しい」のごとく、k 音の脱落を生じてイ音便化した。なお、終止形はもと「-し」であったが、その後統辞の単純化により、連体形「-い」と変わらぬ形を採用するに至った。
形容詞の連用形

形容詞の連用形においても「‡高く → 高う」 「‡久しく → 久しう」のように k 音を落とす形があり、これもウ音便と呼んでいる。平安時代中期頃から中央(京都)では盛んに使われ、現在も西日本では広く行われる形である。

関東・東北などの方言では本来この形は使用しないが、東京山手方言および標準語では、敬語体系において近畿方言の強い影響を受けたため、「美しゅうございます」「うれしゅう存じます」のように「ございます」「存じます」に接続する場合に限ってウ音便を用いる[5]


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