例外的に夫婦の別姓を実現させる会
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例外的に夫婦の別姓を実現させる会(れいがいてきにふうふのべっせいをじつげんさせるかい)は、笹川堯を会長、山中貞則を顧問として、選択的夫婦別姓制度への反対が党の一部にあることを念頭に、選択的夫婦別姓制度を「例外的に」(家庭裁判所の裁定を通じて)認める法案を、議員立法で通すことを目的とした自民党内グループ。2002年7月16日に発足した[1][2][3][4][5]。しかし、自民党内で議論をまとめあげることができず、この民法改正案提出は結局見送られた[6][7][8][注 1]
法案の骨子

このグループが提案しようとした法案の骨子は以下のようなものである[1]
夫婦の氏について


職業生活上の事情、祖先の祭祀の主宰その他の理由により婚姻後も各自の婚姻前の氏を称する必要がある場合において、別氏夫婦となるための家庭裁判所の許可を得ることができる。

夫婦同氏が原則とし、別氏夫婦から同氏夫婦への転換は認める。逆は認めない。

別氏夫婦の子の氏について


別氏夫婦は、婚姻時に「子が称すべき氏」を定める。

別氏夫婦は、最初の子の出生時に届け出ることによって、婚姻時に定めた「子が称すべき氏」とは異なる氏を「子が称すべき氏」とすることができる。出生時に届出がされなかったときは、子は、婚姻時に定めた「子が称すべき氏」を称する。

別氏夫婦の複数の子は、すべて同じ「子が称すべき氏」を称する。

子の氏の変更について


別氏夫婦の未成年の子は、父母の婚姻中は、特別の事情が存在する場合に限り、家庭裁判所の許可を得て氏を異にする父又は母の氏を称することができる。

成年に達した後は、特別の事情の有無を問わず、家庭裁判所の許可を得て氏を異にする父又は母の氏を称することができる。

1994年の法務省民法改正要綱試案A案がベースとなっているが(他の民法改正案参照)、家庭裁判所の関与を求める点で大きく異なっている。立案を主導した野田聖子は、家庭裁判所の許可を得る「例外的な」選択的夫婦別姓法案とした理由のひとつを「法務部会で、夫婦別氏制度反対の議員(西川京子[9])から『婚姻において夫婦が同氏であるとの原則は崩さない。別氏はあくまでも例外であり、その例外性が明らかに判るように、例えば家裁での許可を要件とするような法改正であれば賛成できる』という発言があったこと」と述べている[1]。その夫婦別氏を認める理由としては、「職業生活上の事情」以外に「祖先の祭祀の主宰その他の理由」という文言を盛り込んだ[1][10][11][12]
評価

村上まどかは、この案について、強硬な反対論者を説得するための苦肉の案で、現状ではやむをえない、と評している[13][14]一方、多賀愛子は、「両性の合意」以外に家裁の許可を必要とするのは憲法違反であり、また、職業による差別、家制度の復活などにつながる恐れもある、と批判している[13][15]
過去の所属メンバー
会長

笹川堯(2009年落選)

最高顧問

山中貞則(2004年死去)

構成body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%}

野田聖子 (発案)

上川陽子

山口俊一

浜田靖一

土屋品子

新藤義孝

松島みどり

小渕優子

下村博文

佐藤勉

逢沢一郎

横内正明(2002年議員辞職)

坂井隆憲(2003年除名)

奥谷通(2003年死去)

谷川和穂(2003年引退)

野中広務(2003年引退)

奥山茂彦(2003年引退)

高鳥修(2003年引退)

佐々木知子(2004年引退)

小西理(2005年落選)

青山丘(2005年落選)

鈴木恒夫(2009年引退)

久間章生(2009年落選)

中馬弘毅(2009年落選)

伊藤公介(2009年落選)

七条明(2009年落選)

山本明彦(2009年落選)

谷本龍哉(2009年落選)

木村隆秀(2009年落選)

近藤基彦(2009年落選)

渡辺喜美(2009年離党)

中山成彬(2010年除名)

浅野勝人(2010年引退)

水野賢一(2010年除名)

大村秀章(2011年議員辞職)

古賀誠(2012年引退)

大野功統(2012年引退)

佐田玄一郎(2017年引退)

河村建夫(2021年引退)

山口泰明(2021年引退)

馳浩(2021年引退)

藤井基之(2022年引退)



脚注[脚注の使い方]
注釈^ 見送られた理由は自民党内の選択的夫婦別姓制度導入への反対派の頑強な抵抗であったが、野田は一般論として自民党において選択的夫婦別姓制度の導入が進まない理由について、「自民党の応援団体である神社庁などが猛烈に反対している。」と述べている(「少子高齢化で国力が深刻になったときが出番」、『政財界』2004年3月号、政界出版社)。

出典^ a b c d 野田聖子ホームページ、“平成14日年7月24日「民法の一部を改正する議員立法案?例外的夫婦別姓制度」”. 2012年9月6日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。
^ 「家裁関与の法案提出確認 自民推進派」河北新報2002年6月28日
^ 「例外的夫婦別姓法案の骨子明らかに 野田衆院議員」 毎日新聞 2002年6月28日
^ 「実現させる会が発足 自民党の国会議員30人で」毎日新聞 2002年7月16日
^ 「例外的夫婦別姓、改正案を提出へ」時事通信 2002年7月16日
^ 「夫婦別姓:「例外的法案」議論まとまらず 自民党法務部会」毎日新聞 2002年7月24日
^ 「今国会での党内手続き断念 自民夫婦別姓の会」 河北新報 2002年7月29日
^「夫婦とは家族とは…民法の岐路 別姓など最高裁初判断へ」、朝日新聞、2015年2月19日
^ 共同通信 2002年7月1日
^ 「夫婦別姓、職業上の理由や家名存続に限り容認」読売新聞 2002年6月29日
^ 毎日新聞 2007年3月11日
^ヒメコミュ-Hime community- 2011年2月22日
^ a b 井戸田博史『夫婦の氏を考える』世界思想社、2004年。
^ 「『家裁許可制』やむを得ぬ」、朝日新聞、2002年12月22日。
^ 「差別有無家裁許可案 撤回を」、朝日新聞2002年11月20日。

関連項目

夫婦別姓

男女共同参画


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