作用は、エネルギーと時間の積の次元を持つ。従って、国際単位系 (SI) では、作用の単位はジュール秒 (J⋅s) となる。作用の次元を持つ物理定数としてプランク定数がある。そのため、プランク定数は作用の物理的に普遍な単位としてしばしば用いられる。なお、作用と同じ次元の物理量として角運動量がある。
物理学において「作用」という言葉は様々な意味で用いられる。たとえば作用・反作用の法則や近接作用論・遠隔作用論の中で論じられる「作用」とは物体に及ぼされる力を指す。本項では力の意味での作用ではなく、解析力学におけるラグランジアンの積分としての作用についてを述べる。 物理法則は微分方程式として表されることが多い。時間に関する微分方程式は、位置や運動量といった時間に対して連続な物理量がどのように変化するかを記述する。それぞれの状況に対応して、微分方程式に初期条件を含む境界条件が与えられ、与えられた境界条件から得られる微分方程式の解は、それぞれの状況に対する系の振る舞いを決定する。微分方程式の解は、境界条件によって定められる時間領域および空間領域のすべての点に対して、粒子の位置や運動量を決定する関数として得られる。 運動方程式を見つけるための異なるアプローチがある。古典力学では、系が実際に辿る経路はその経路の作用が停留値(大抵は最小値)をとるものに限ると仮定される。つまり、古典力学において作用は最小作用の原理(厳密には「停留作用の原理」と呼ぶべきだろう)を満たす。最小作用の原理は変分原理の一種であり、作用の第一変分が 0 となる経路として古典的経路を定める。作用は積分の形で定義され、これを作用積分(さようせきぶん、英: action integral)と呼ぶ。系の古典的運動方程式は、作用積分を最小化する必要条件として、作用積分の境界条件を除いた形で得られる。 この単純な原理は、物理へ深い洞察をもたらす現代理論物理学での重要な概念である。 微分方程式による表現と変分原理による表現の二つのアプローチが互いに等価であることは、ハミルトンの原理 作用は概念の発達とともに様々な方法で定義された。[3]
目次
1 概要
2 歴史
3 数学的定義
3.1 作用汎関数
3.2 簡約された作用
3.3 ハミルトンの主関数
3.4 ハミルトンの特性関数
3.5 ハミルトン・ヤコビ方程式の他の解
3.6 一般化座標の作用
3.7 ハミルトンフローの作用
4 作用積分のオイラー=ラグランジュ方程式
4.1 極座標での自由粒子
5 作用原理
5.1 古典場
5.2 保存則
5.3 量子力学と場の量子論
5.4 単一の相対論的粒子
5.5 一般化
6 参照項目
7 注釈
8 出典
9 関連書籍
概要
歴史