佐方貞人シリーズ
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佐方貞人シリーズ(さかたさだとシリーズ)は、刑事事件を専門に扱う敏腕弁護士で元検察官の佐方貞人が事件の真相を追う柚月裕子推理小説のシリーズ。シリーズ第2作である『検事の本懐』は2012年山本周五郎賞候補となり、2013年大藪春彦賞を受賞した。

剛腕というより骨のある切れ者、しかし自らのポリシーを雄弁に語ることはない佐方の人物像は、著者の柚木が小説を書くきっかけにもなったシャーロック・ホームズシリーズが影響している。助手のワトソンが語り手であるため、主役のホームズの内面はほとんど描かれないが、逆にそのミステリアスさに魅力を感じたため、「佐方についても全てを掲示するより読者に想像して楽しんでほしい、佐方の信念は言葉でなく起こす行動で感じてほしい」とインタビューでは語っている[1]

『最後の証人』『検事の本懐』『検事の使命』の3作で発行部数の累計は2019年12月時点で42万部を超える[2]。作品は今後も検事時代・弁護士時代、長編・短編こだわらずに続く予定[3]

本シリーズを原作としたテレビドラマが2015年にテレビ朝日のスペシャルドラマとして放送され、以降シリーズ化して放送されている。主演は上川隆也目次

1 シリーズ一覧

2 舞台設定

3 登場人物

3.1 主要人物

3.2 その他


4 テレビドラマ

4.1 キャスト

4.1.1 ゲスト


4.2 スタッフ

4.3 放送日程


5 脚注

5.1 注釈

5.2 出典


6 外部リンク

シリーズ一覧
最後の証人


単行本:宝島社2010年5月10日発売、ISBN 978-4-79-667686-1

文庫本:宝島社文庫2011年6月4日発売、ISBN 978-4-79-668364-7、解説:中条省平

文庫本【新装版】:角川文庫2018年6月25日発売、ISBN 978-4-04-106658-4、解説:今野敏
シリーズ第1作、書き下ろし長編作品。佐方は弁護士として登場。なぜ検事を辞めて弁護士となったのかも描かれている。
検事の本懐


単行本:宝島社、2011年11月10日発売、ISBN 978-4-79-668682-2

文庫本:宝島社文庫、2012年11月6日発売、ISBN 978-4-80-020289-5、解説:池上冬樹

文庫本【新装版】:角川文庫、2018年7月24日発売、ISBN 978-4-04-106659-1、解説:大沢在昌
佐方の検事(刑事部)時代の話を集めた短編集。第15回(2013年)大藪春彦賞受賞作。

タイトル初出佐方の職業備考
樹を見る2011年4月 別冊宝島1749
このミステリーがすごい!
大賞作家書き下ろし オール・ミステリー検事

佐方、任官して3年目の出来事[4]

罪を押す2010年11月 別冊宝島1711 
『このミステリーがすごい!』大賞STORIES

筒井の下に配属された日から筒井が佐方の優秀さを目の当たりにするまでの経緯。

恩を返す書き下ろし

佐方、父・陽世の七回忌以来4年ぶりに呉原市へ帰郷[5]

佐方の高校時代の同窓生が登場。
佐方が高校時代に受けた停学2か月の処分の理由も明らかになる[6]

拳を握る

東京地検特捜部からの応援要請により、増田と共に東京地検へ出張。
(しかし増田はヘルニアが悪化して入院[7]

本懐を知る

佐方の父・陽世の事件の真相。


検事の死命


単行本:宝島社、2013年9月5日発売、ISBN 978-4-80-021554-3

文庫本:宝島社文庫、2014年10月4日発売、ISBN 978-4-80-023206-9、解説:西上心太

文庫本【新装版】:角川文庫、2018年8月24日発売、ISBN 978-4-04-106660-7、解説:恩田陸
佐方の検事時代の話を集めた短編集。佐方、筒井、増田は刑事部から公判部へ異動となる。

タイトル初出佐方の職業備考
心を掬う2012年4月 宝島社『しあわせなミステリー』検事

佐方、米崎地検2年目[8]、4月の出来事[9]

業をおろす2012年8月 宝島社
『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK

短編「本懐を知る」の完結編[10]。「本懐を知る」から数か月後の話。
陽世の十三回忌のため、6年ぶりに次原市に帰る[10]

死命を賭ける
「死命」刑事部編2013年8月 宝島社
『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK vol.2

業をおろす」の翌年[11]2月の話[12]
佐方が米崎地検2年目[13]から3年目(検察官としては3年目から4年目)の出来事。

死命を決する
「死命」公判部編書き下ろし

刑事部編から約2か月後。


検事の信義


単行本:角川書店、2019年4月20日発売、ISBN 978-4-04-106657-7
佐方の検事(公判部)時代の話を集めた短編集。

タイトル初出佐方の職業備考
裁きを望む2014年12月 宝島社『このミステリーがすごい! 2015年版』検事



恨みを刻むハルキ文庫『警察アンソロジー 所轄』

佐方、任官4年目の出来事[14]

正義を質す2015年12月 宝島社『このミステリーがすごい! 2016年版』



信義を護る『小説野性時代』2019年3月号・4月号

佐方、任官5年目の春の出来事[15]


舞台設定
米崎
シリーズの舞台となる米崎地検とは架空の
地方検察庁で、同じく架空の県庁所在地・米崎市は東京都内から北へ新幹線で2時間程のところにあるとされている地方都市[16][12]。地酒が美味いらしい[17]。米崎地検で働いている検事は検事正を含めて15名おり[16]、そのうち8人が公判部に所属している[15]。他に米崎東警察署、米崎消防署、米崎拘置所などが存在する。米崎地方裁判所は米崎地検の真向かいにある[12]
広島県次原市(つぐはらし)山田町[10]
佐方の父・陽世の出身地[18]で、こちらも架空の地名。県北の田園都市で[18]広島駅から在来線で2時間程[19]の、山をふたつほど超えたところにある農業と林業が中心の田舎町[18]。米崎からは飛行機と電車で計5時間半ほどかかる[10]。人口2000人程[10]。佐方は3歳から中学時代までをこの地で過ごした[10]。陽世の十三回忌の法事を執り行った曹洞宗龍円寺もこの地にある[10]
広島県呉原市
山田町から車で1時間半程[20]、広島駅からは電車で40分ほどのところにある海沿いの町[21]。呉原市から米崎市は新幹線や在来線を乗り継いで最短でも7時間かかる[22]。佐方が高校時代を過ごした土地。
酒処「ふくろう」
米崎駅から西に歩いて5分ほどのところにある[8]、駅裏の花小路を抜けて次の路地を右に折れたあたり[23]、表通りから一本奥に入ったどんづまりにある飲み屋で、野球好きの親父(巨人ファン)がひとりで切り盛りしている[8]。店は5人掛けのカウンターと小上がりがひとつのみで、全部あわせても10席にならないほど狭く、カウンターの隅には招き猫が鎮座する[8]。親父は野球のシーズンになるとカウンターの端に置いてあるポータブルテレビにかじりつき、客が来てもだるそうに立ち上がるだけで挨拶も「いらっしゃい」の一言もないが、酒を注文されると、無言で酒とお通しを出す[8]。一見やる気のないようにも見えるが、客の顔と酒の好みは何年経っても決して忘れない。臥龍梅(がりゅうばい)のような幻の銘酒が突然でてくることもある[24]。元々は筒井御用達の店で親父とも気が合い、筒井が飲みに行くといえば「ふくろう」と決まっている[8]。佐方が米崎地検に配属になって初日の内輪の歓迎会がここで開かれて初めて来店した以降、佐方も通うようになる[8]
登場人物
主要人物
佐方 貞人(さかた さだと)

【検察官(検事)時代】
今シリーズの主人公。昭和42年生まれ、
広島県出身[19]。独身[12]検察官時代は20代後半[8]から30歳手前。3歳の時に母親の小百合(さゆり)が病気で他界し[25]、父・陽世は仕事で忙しかったため、以後は次原市に住む父方の両親(佐方敏郎・スエ夫妻)に預けられて育てられた[6][20]。中学生の時に陽世が逮捕されたため[6][18]、将来を考え中学卒業を機に呉原市に住む敏郎の妹・美代子の元に預けられ、美代子に実の子のように育てられる[20]。そのまま呉原市にある呉原西高(三流高)に進学するが、真面目とは言えず遅刻や欠席が多かった[6]。しかしそれでいて試験の成績はつねにトップをキープ[6]


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