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住民基本台帳ネットワークシステム(じゅうみんきほんだいちょうネットワークシステム)、通称住基ネット(じゅうきネット)とは、日本において、個々の住民情報が分かれていた全国市区町村の地方公共団体と都道府県・全国センターとを専用回線で結び、住民票の4情報(氏名・生年月日・性別・住所)、住民票コードと変更情報(出生、転居などの異動事由と異動年月日)からなる「本人確認情報」により、住民の利便性の向上と国及び地方公共団体の行政の合理化に資する、居住関係を公証する住民基本台帳をネットワーク化し、全国共通の本人確認ができるシステム地方公共団体間共同システム[1]。
各地方自治体ごとに全く別であった基本台帳事情報を全国統一規格化することで業務の効率化、その後の12桁であるマイナンバー制度に繋がる日本における国民識別番号制度の基盤となった。市区町村や都道府県間において、全国共通の本人確認が可能になり、市区町村の住民基本台帳を元に記載者に全国一律の11桁の住民票コードが割り当てられた。施行準備期間の間に総務省によるe-Japan重点計画の一環と位置付けられて稼働開始した。希望者に配布された確定申告など各電子申請に利用できた住民基本台帳カード(略称住基カード)は身分証明書機能の有無を選べた[2][3][4][5][6][7][8][9][10]。 市区町村、都道府県、全国センター、および行政機関を結ぶ形で構成される[11]。全国センターは指定情報機関である地方公共団体情報システム機構が運営している[12]。 コミュニケーションサーバ(CS)という中継用のサーバが設置され、既存の業務ネットワークと住基ネット回線にそれぞれ個別のファイアウォールを介して接続する[13]。既存の住民記録システムとは業務ネットワーク側のファイアウォールを通して通信を行う[13]。また、CS端末と呼ぶ検索用端末があり、CSと通信して住基ネット上の情報を検索・表示することができる[13]。CS端末はCSと同一のネットワークセグメントに置く場合と、業務ネットワーク内に置いてファイアウォール経由でCSにアクセスする場合と、両方ある。 都道府県サーバが設置されており、ファイアウォールを介して住基ネット回線に接続する[13]。 業務/DBサーバと情報提供サーバが設置されている[13]。業務/DBサーバは、住民票コードを割り当てられた者全ての情報を保持するものであり、情報提供サーバは行政機関からの検索に対して情報提供するものである[13]。住基ネット回線と行政機関との通信回線の双方にファイアウォールを設置[13]。なお、全国センターの所在地は地方公共団体情報システム機構の住所地が事務局として公にされているが、データセンターはこれとは別に2006年(平成18年)度の時点で東京都内に設置されている。セキュリティ上の観点から外観からは一切判らないようになっており、住所も非公開である。 住基ネットの回線は専用回線であるとされている[13]。具体的には専用線ではなく、IP-VPNが今のところ用いられている。 住基ネット上には、住民基本台帳の4情報(氏名・生年月日・性別・住所)、個人番号、住民票コードとこれらの変更年月日と変更理由を含む変更情報が記録される[12][14] 。 本人確認情報の開示請求や訂正の申出は、都道府県知事または指定情報処理機関に対して行うものとされている。
構成
市区町村
都道府県
全国センター
回線
記録される情報
手続・方法
住民基本台帳に記録されている者であれば、特段の事前手続きなく基本的に誰でも利用できるもの。
日本国旅券申請や国民年金・厚生年金の請求、各種検定試験の申し込みに住民票の写しの添付が不要となる(年間約460万件の添付が省略されている。平成20年度(2008年度)実績。総務省公表値[15])。
老齢基礎年金受給者が、年1回生存している事の証明の捺印を市区町村の窓口で貰い、葉書で社会保険庁(現在は日本年金機構)に返信していた「年金受給権者現況届」(現況届)が2006年(平成18年)12月から不要となる[注 1](年間約3600万人分の現況届が省略されている。2008年(平成20年)度実績。総務省公表値)。ただし、住民基本台帳ネットワークシステムを利用して社会保険庁が確認を行うことから[注 2]、住民(受給権者)の住所地市区町村が住民基本台帳ネットワークシステムに参加していないような場合には行えなかった[注 3][注 4]。
この住民基本台帳ネットワークシステムは、公的年金である国民年金および厚生年金や厚生年金基金の年金記録問題などの解決のための照合又は突合せ作業に使用される。ただし、住民である年金加入者および年金受給者の住所地市区町村が、住基ネットに参加していなければ、その作業は行えなかった。
居住地以外でも、住民票の写しの交付を受けることができる(住民基本台帳カード・個人番号カード・運転免許証・日本国旅券など、官公庁が発行した証明写真付きの証明書が必要)。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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