位相的構造
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物理学における位相空間(Phase space)については「位相空間 (物理学)」をご覧ください。
.mw-parser-output .pathnavbox{clear:both;border:1px outset #eef;padding:0.3em 0.6em;margin:0 0 0.5em 0;background-color:#eef;font-size:90%}.mw-parser-output .pathnavbox ul{list-style:none none;margin-top:0;margin-bottom:0}.mw-parser-output .pathnavbox>ul{margin:0}.mw-parser-output .pathnavbox ul li{margin:0}数学 > 空間収束 > 位相空間.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキブックスに位相空間論関連の解説書・教科書があります。

数学における位相空間(いそうくうかん、英語: topological space)とは、集合Xに位相(topology)と呼ばれる構造を付け加えたもので、この構造はX上に収束性の概念を定義するのに必要十分なものである[注 1]

位相空間の諸性質を研究する数学の分野を位相空間論と呼ぶ。
概要

位相空間は、前述のように集合に「位相」という構造を付け加えたもので、この構造により、例えば以下の概念が定義可能となる

部分集合の内部、外部、境界

点の近傍

収束性[注 1]

開集合、閉集合、閉包

実はこれらの概念はいわば「同値」で、これらの概念のうちいずれか一つを定式化すれば、残りの概念はそこから定義できる事が知られている。したがって集合上の位相構造は、これらのうちいずれか1つを定式化する事により定義できる。そこで学部レベルの多くの教科書では、数学的に扱いやすい開集合の概念をもとに位相構造を定義するものが多い。

その他にも

位相空間から位相空間への写像の連続性

連結性

といった概念も位相構造を用いて定義できる。


上述した概念はいずれも元々距離空間のような幾何学的な対象に対して定義されたものだが、距離が定義されていなくても位相構造さえ定義できれば定式化できる。これにより、位相空間の概念は、幾何学はもちろん解析学代数学でも応用されており、位相空間論はこうした数学の諸分野の研究の基礎を与える。位相空間の概念の利点の一つは、解析学や代数学などの研究対象に幾何学的な直観を与えることにある。

このような観点からみたとき、位相空間論の目標の一つは、ユークリッド空間など幾何学の対象に対して成り立つ諸性質を解析学などにも一般化することにある。従って学部レベルで学ぶ位相空間論の性質の多くは、ユークリッド空間などの幾何学的な対象では自明に成り立つ(例えば各種分離公理や可算公理)。

位相空間論ではこうした幾何学的な性質をいかに一般の空間へと拡張するかが問われるので、位相空間の概念自身は非常に弱く、かつ抽象的に定義される。しかしその分個別の用途では必要な性質が満たされないこともあり、例えば位相空間上では収束の一意性は保証されない。そこで必要に応じて、位相空間にプラスアルファの性質を付け加えたものが研究対象になることも多い。前述した収束の一意性は、位相空間に「ハウスドルフ性」という性質を加えると成立する。学部レベルの位相空間論の目標の一つは、こうしたプラスアルファの性質の代表的なものを学ぶ事にある。距離空間 ( R 2 , d p ) {\displaystyle (\mathbb {R} ^{2},d_{p})} の原点の1-近傍をp=2(上の図)、p=1(中央の図)、p=∞(下の図)に対して図示したもの。これらはそれぞれユークリッド距離マンハッタン距離チェビシェフ距離と呼ばれる。
位相空間と距離空間

位相空間となる代表的な空間としては、ユークリッド空間をはじめとした距離空間がある。距離空間は必ず位相空間になるが、逆は必ずしも正しくない。すなわち、距離構造は位相的構造よりも遥かに多くの情報を持った強い概念であり、距離空間としては異なっても位相空間としては同一の空間になることもある。

例えばp≧1を固定して実数空間 R n {\displaystyle \mathbb {R} ^{n}} 上にℓp距離 d p ( x , y ) = ( x 1 − y 1 ) p + ⋯ ( x n − y n ) p p {\displaystyle d_{p}(x,y)={\sqrt[{p}]{(x_{1}-y_{1})^{p}+\cdots (x_{n}-y_{n})^{p}}}}

を入れた距離空間 ( R n , d p ) {\displaystyle (\mathbb {R} ^{n},d_{p})} を考えてみると、ε-N論法ε-δ論法による極限の議論で用いるε-近傍はpに依存して異なるにもかかわらず、収束の有無や収束先の点はpによらず一致する。

より一般に、ユークリッド空間をゴム膜のように連続変形したものは、元のユークリッド空間とは距離空間としては異なるが、位相空間としては同一であり、収束するか否かという性質も互いに保たれて不変である。

以上のように、連続性や収束性といった概念を考えたり、連続変形を対象とした研究を行ったりするときには、距離空間の概念は柔軟性に欠けるところがあり、位相空間というより弱い概念を考える積極的動機の一つとなる。


他にも例えば多様体を定義する際には複数の距離空間(ユークリッド空間の開集合)を連続写像で「張り合わせる」(商空間)が、張り合わせに際して元の空間の距離構造を壊してしまうので、元の空間を距離空間とみなすより、位相空間とみなす方が自然である。
応用分野コーヒーカップからドーナツ(トーラス)への連続変形(同相写像の一種)とその逆

位相空間の概念の代表的な応用分野に位相幾何学がある。


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