伝統音楽
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民俗音楽」とは異なります。

民族音楽(みんぞくおんがく)とは、英語のethnic musicの訳語で、「民族(=共通の言語・文化を持つ人の集団)が固有に伝承してきた音楽」の意味[1]。国語辞典には昭和50年代から載るようになった比較的新しい言葉[1]だが、この語はさまざまな用いられ方をしており、注意を要する。
目次

1 「民族音楽」の意味[2]

1.1 @西洋の古典音楽と大衆音楽以外の伝統的な音楽

1.2 A西洋と日本の古典音楽と大衆音楽以外の伝統的な音楽

1.3 B特定の民族・地域・国で行われている音楽全て

1.4 C「○○の音楽」と言った場合に見落とされやすい音楽を特に示す

1.5 D自民族の伝統的な音楽およびそれに基づいて新たに創作された音楽

1.6 Eエキゾチックな感じを与える音楽


2 類義語との違い

3 世界各地域の概観

3.1 東アジア

3.1.1 東アジアの民族音楽の例


3.2 チベット・モンゴル

3.2.1 チベット・モンゴルの民族音楽の例


3.3 南アジア

3.3.1 南アジアの民族音楽の例


3.4 東南アジア

3.4.1 東南アジアの民族音楽の例


3.5 西アジア・マグリブ

3.5.1 西アジア・マグリブの民族音楽の例


3.6 中央アジア

3.6.1 中央アジアの民族音楽の例


3.7 サブサハラアフリカ

3.7.1 サブサハラアフリカの民族音楽の例


3.8 ヨーロッパ

3.8.1 ヨーロッパの民族音楽の例


3.9 極東シベリア・エスキモー

3.9.1 極東シベリア・エスキモーの民族音楽の例


3.10 北アメリカ

3.10.1 北アメリカの民族音楽の例


3.11 南アメリカ

3.11.1 南アメリカの民族音楽の例


3.12 オセアニア

3.12.1 オセアニアの民族音楽の例



4 「全ての民族は音楽を持っている」のか?

5 出典

6 ブックガイド

6.1 単著

6.2 論文

6.3 辞典


7 関連項目

「民族音楽」の意味[2]
@西洋の古典音楽と大衆音楽以外の伝統的な音楽

もともとethnicには「異民族・異教徒」という意味があり、ethnic musicは「異民族・異教徒のエキゾチックで野蛮な音楽」というニュアンスがあった。歴史的にこの語は欧米で内外の異民族、特に異教徒や少数民族の音楽の特異な響きを指して用いられることが多く、ヨーロッパ人が自民族の音楽を指す言葉としては使わなかった。
A西洋と日本の古典音楽と大衆音楽以外の伝統的な音楽

日本に移入されたこの語は、@の意味から自国である日本を除外して「日本以外の非欧米の伝統的な音楽」の意味でつかわれた。近年は当たり前になったが、以前は例えば「フランスの民族音楽」などのような言い方はしなかった。伝統的な音楽への志向はまだ残っており、例えば「中国の民族音楽」と言った場合、京劇や民謡がすぐ思い浮かぶが、女子十二楽坊ラン・ランは通常含まない。
B特定の民族・地域・国で行われている音楽全て

@Aに含まれる西欧中心主義や自民族中心主義、および伝統的な音楽とそれ以外のジャンルを峻別する考え方への批判から、例えば「日本の民族音楽」といった場合、古典音楽・民謡・民俗芸能・歌謡曲やポピュラー音楽、日本人が作曲・演奏する西洋クラシック音楽に至るまでのあらゆる音楽を指すような用法が近年見られる。この立場を推し進めると「民族音楽」という語が不要になり、単に「○○の音楽」と言えばよいことになる。
C「○○の音楽」と言った場合に見落とされやすい音楽を特に示す

基本的にはBの立場に立つが、「○○の音楽」と言った場合に想起されにくい音楽を示すためにあえて「○○の民族音楽」という語を使う用法。近年はこうした用法が主流になって来ている[3]。例えば「ドイツの音楽」と言った場合、どうしてもクラシックが思い浮かびがちだが、「ドイツの民族音楽」と言われれば民謡や民族舞踊の存在を意識する。
D自民族の伝統的な音楽およびそれに基づいて新たに創作された音楽

ロシア・中国・朝鮮などでは民族音楽という語をそのような意味で使っている。中国の用法では女子十二楽坊は立派に民族音楽である。中国・朝鮮では「民族楽器」「民族舞踊」と言う際の「民族」もほぼこれに準じる[1]
Eエキゾチックな感じを与える音楽

「民族音楽」というより「エスニック・ミュージック」と呼ぶ場合が多い。民族衣装や民族料理を楽しむような気軽さで異民族の音楽のエキゾチックさを楽しむ際にこの用法が使われる場合があるが、エキゾチックさを強調することは@の用法に近い部分があり、注意を要する。
類義語との違い

民俗音楽フォークミュージック(Folk music)その民族の伝統的な音楽のうち、上層階級の芸術音楽を除いた、基層社会が口頭で伝承している音楽[4]。「民謡Folk song」に意味が近いが、楽器による音楽や民俗舞踊まで確実に含めるためにこの言葉を使う[4]。「民族音楽」と言った場合、多くは芸術音楽を含むので、意味は一致しない。またその民族の社会が階級を持たない場合や、階級があってもそれぞれの音楽のジャンルが分かれていない場合はこの語自体を使わない[5]

伝統音楽/トラディショナルミュージック/トラッド(Traditional music) 伝統的な音楽を指す語だが、学術用語ではないため明快な定義はない。日本語の伝統音楽は芸術音楽を含むが、英語版ウィキペディアではFolk musicにリダイレクトされており、民俗音楽に意味が近いようである。

世界音楽ワールドミュージック(World music) 世界中の音楽を総称する意味と、非西欧諸国のポピュラー音楽という意味と二通りの意味が存在する[6]。前者は「民族音楽」という語に含まれる西洋中心主義を避けるために民族音楽学の研究対象を「世界音楽」と呼んだのが始まりであり、後者は民族音楽学が非伝統的という理由で対象外とした新しい融合音楽を示すために使われ始めた用法であり[7]、どちらにしても民族音楽という語と差別化して使われた経緯があり、意味は一致しない。

ルーツミュージック(Roots music)
詳細は「ワールド・ミュージック」を参照
世界各地域の概観

ここでは世界で行われている音楽全て(広義のワールド・ミュージック)から、近代的な商業音楽(ポピュラー音楽)と、ポピュラー音楽の影響で生まれた融合音楽(狭義のワールド・ミュージック)と、西洋芸術音楽(クラシック音楽)を除いた音楽、つまりCの意味での民族音楽について、世界各地域の概観を示す。


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