会話分析
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会話分析(かいわぶんせき、: Conversation analysis)は、1960年代のカリフォルニアで始まった社会学の研究領域のひとつである。ハーヴィ・サックスによって切り拓かれ、エマニュエル・シェグロフ、ゲイル・ジェファーソンらによって大きく展開された。私たちが「会話をおこなう」ことそのものが、きわめて組織だったさまざまな手続きによって成立している現象であることに着目し、実際の会話の音声を詳細に書き起こした上で、そうした手続きの観察・分析をおこなう。
会話分析の由来

会話分析の誕生には、2人の社会学者が大きな影響を与えている。一人はアーヴィング・ゴフマンである。ゴフマンは、「対面的相互行為」がそれ自身の権利において社会学の研究対象となりうることを示し、「相互行為秩序の研究」という領域を社会学の中に打ち立てた人物である。サックスとシェグロフは、カリフォルニア大学バークレー校でゴフマンが教鞭をとっていたときの学生であった。

もう1人はハロルド・ガーフィンケルである。ガーフィンケルは、「社会秩序」という社会学の探究課題を、社会の成員が不断におこなっている協働的な実践の産物として捉え直していくことで、「エスノメソドロジー」という独特の社会学を作り上げた人物である。サックスとガーフィンケルはタルコット・パーソンズのセミナーで出会い、のちにロサンゼルス自殺防止センターでともに研究にあたった。

かれらの影響のもとで研究していたサックスは、ロサンゼルス自殺防止センターにかかってくる自殺相談の電話を分析する中で、「相談者が名前を名乗りたがらない」という現象がしばしばあることに気づく。そしてそこに、「名乗りを避ける」ための方法的なやり方(会話の特定の位置で特定の発言をおこなうことで特定の効果を生み出す手続き)があることに注目していく。ここから、サックスは「会話」を対象とした、当時としてはまったく新しい社会学の可能性を模索していくことになった。サックスの始めた「会話分析」は、「会話」を何かそれ以外の別のもの(たとえば「権力」や「社会構造」)の研究のために参照するのではなく、それ自身の権利において研究するという点でゴフマンの志向を、また研究者の用意した分析枠組を外からあてはめるのではなく、あくまで会話参加者たち自身が会話を組み立てるために(意識していなくても)用いている手続きの記述を目指しているという点でガーフィンケルの志向を受け継いでいる。

現在では、会話分析では社会学の領域にとどまらず、大きな発展を見せている。特に言語学における元来会話データを扱っていた諸分野(機能主義言語学や談話分析、相互行為言語学など)や、人類学心理学などの分野においても会話分析の知見や手法が取り入れられるなど、広く影響を及ぼしている。
会話分析の手法

会話分析では、実際の会話を録音/録画し、それをできるだけそのままの形で書き起こし、詳細に分析することが非常に重視される。ピッチやイントネーション、わずかな間などの音声上の特徴はもちろん、ある発言が会話の順番交替(下記の項目参照)上のどの位置で、どのようなデザインで発言されたかということの詳細は、その発言が会話の中でどのような行為を遂行することになり、会話の進行にいかなる影響をもたらしているかといったことを考察する上できわめて重要である。私たちは普段そうした細かな事柄を、ほとんど意識することなく、しかし繊細に使いこなして会話を組み立てている。想像上の事例では、そうした事柄の詳細に忠実な分析をおこなうことは不可能なのである。

そうした事柄を詳細に分析するために、会話分析では録音した会話の、正確な転写(トランスクリプト)を作成する。ここで重要なのは、会話の内容を要約的にまとめてしまわずに、ゼロコンマ1秒のわずかな間や言いよどみまで逃さず、聞こえた「音」をできるだけ正確に写し取ることである。そのため、専門の会話分析研究者は、日本語の会話であってもローマ字を用いてトランスクリプトを作成することが多い。また、音の転写のために用いられるさまざまな記号が、ゲイル・ジェファーソンによって考案・確立され、世界中の会話分析研究者によって共通に用いられている。
会話を組織するための主要な手続き

ここでは、会話そのものをおこなっていく、あるいは会話の中でさまざまなことをおこなっていくための主要な手続きを紹介する。
順番交替

順番交替は、会話をおこなうにあたって欠かすことのできない、基本的な手続きである。会話では、話し手となることができるのはそのつど一人だけである。誰かが話し手になっているときには他の人は聞き手になり、次に別の誰かが話し手になれば、今まで話し手だった人は聞き手になる。だから、最初から最後まで一人の人が話し続けるのでないかぎり、会話には話し手の交替、つまり発言の順番交替がある。会話分析が確立したのは、いつ誰がどのように話し手となるかがあらかじめ決まっていない日常会話で、その順番交替がおこなわれる手続きを、サックスたちがあきらかにしたことによる。

サックスたちによれば、日常会話の順番交替がどのようにおこなわれているかは、次のふたつの点に注目することでわかる。

ひとつは、今の話し手の発言が、いつ終わるかという点である。今の話し手の発言が終わる場所は、別の人が話し手となる機会が生まれる場所なので、その場所がわかることは、会話に参加している人たちにとって重要なことである。サックスたちは、話し手の発言にはそれがどこで終わるのかを予測可能にする要素があること、そして聞き手はその要素に注意を払って予測をおこなっていることを指摘している。

もうひとつは、今の話し手の発言が終わるとき、次に誰が話し手となるかという点である。これは次のような手続きによって決まる。

(1)今の話し手の発言が終わってもよい場所にきたときに

(1a)そこまでにもし今の話し手が次の話し手を指定(名前を呼んだり、質問を向けたり)していれば、その指定された人が次の話し手となる権利と義務を持つ。

(1b)もし今の話し手が次の話し手を指定していなければ、聞き手のうち最初に話し始めた人が、次の話し手となる権利と義務を持つ。

(1c)そして(1a)と(1b)のどちらも起きなければ、今の話し手はさらに話し続けてもよい(話し続けるなら、順番の交替は起こらない)。


(2)(1c)によって今の話し手が話し続けたときは、再度その話し手の発言が終わってもよい場所が来たときに、(1a)?(1c)の手続きが繰り返される。

こうして、今話している人の発言が終わってもよい場所がくるたびに「次に誰が発言順番をとるか」をそのつど決める手続きがあることで、日常会話の順番交替は成し遂げられている。あらかじめ誰がどれくらい話すか決まっていない日常会話で円滑な順番交替ができるのは、人びとが会話をしながら、常にこの手続きを気にかけているからなのである。
行為の連鎖

「行為の連鎖[1]」は、順番交替と並んで、会話を組み立てるためのもっとも基本的な手続きである。会話参加者は、発言の順番交替をしながら、自分の順番での発言をとおして、さまざまな行為をおこなう。そしてその行為は多くの場合、前後の行為と関係づけられて(連鎖的に)おこなわれる。
隣接ペア

行為連鎖の基本的な単位は、「隣接ペア」と呼ばれる、ふたつの行為の連鎖である。たとえば、「おはよう」「おはよう」は「挨拶‐挨拶」の隣接ペアであり、「今何時?」「5時だよ」は「質問‐答え」の隣接ペアである。

隣接ペアを構成する2つの行為は別の話者によっておこなわれるが、それらは規範的な隣接関係にある。ある人が挨拶したらそのあとには挨拶された人が挨拶を、質問をしたらそのあとには質問された人が答えるべきであり、もし質問があったのに答えがなければ、単に一人の人が話したというのではなく、「答えがない(そのあとで発言するべき人が発言しなかった)」という不在が観察可能になる。

また、2つの行為はタイプ的に結びついていて、順序がある。「質問」は「挨拶」とではなく「答え」と結びついており、そして、質問が先で、答えが後である。このとき、隣接ペアの1つめの行為を「第一成分」、2つめの行為を「第二成分」と呼ぶ。「質問‐答え」であれば「質問」が第一成分、「答え」が第二成分である。
拡張連鎖

拡張連鎖とは、隣接ペアを拡張する行為連鎖のことである。先行連鎖、挿入連鎖、後続連鎖の3つのタイプがある。
先行連鎖

先行連鎖は、1つの隣接ペアの前にもうひとつの隣接ペアが置かれるタイプの拡張連鎖である。たとえば、次のような「誘いの先行連鎖」が典型的である。01 A: 明日ひま?02 B: ひまだよ03 A: じゃあ映画でも行こうよ04 B: いいよ

ここでは、03と04の「誘い‐受諾」という隣接ペアに先行して、「質問‐答え」の隣接ペアが置かれている。「先行」ということのポイントは以下の二点である。第一に、「明日ひま?」という質問が来たら、そのあとに「誘い」が来そうだということが予測できること。第二に、その質問に対する答え次第で、「誘い」が来るかどうかが変わること(「いや忙しい」と答えれば、「誘い」はおこなわれないだろうということ)。この点で、01と02の隣接ペアは、単なる「質問‐答え」というより、「誘いの前置き‐誘いに進むことの促し」という先行連鎖だというほうがより適切だといえる。先行連鎖にはほかにも、申し出の先行連鎖や告知の先行連鎖など、さまざまなものがある。
挿入連鎖

挿入連鎖とは、ひとつの隣接ペアの中にもうひとつ(以上)の隣接ペアが挿入されるタイプの拡張連鎖である。

01 A: 佐藤さんに会ったのは昨晩が初めて?

02 B: 誰に?

03 A: 佐藤さん

04 B: 初めてだよ

ここでは01と04が「質問 ‐答え」の隣接ペアになっているが、その質問と答えのあいだに、もうひとつの「質問‐答え」の隣接ペア(02と03)が挿入されている。このように、ひとつの隣接ペアの第一成分と第二成分のあいだに、その第一成分の受け手(ここではB)によって開始された別の隣接ペアが入りこむとき、それは挿入連鎖と呼ばれる。それによって、最初の第一成分(上の例では「質問」)に答えるために、聞き逃した部分を尋ねたり(上の例)、必要な情報を求めたり(「お酒を売ってくれ」という「注文」に対して答える前に「年齢を聞く」場合など)といった活動がおこなわれる。その間、最初の第一成分の効果(受け手に答える義務があること)はずっと消えずに残っている。この点で挿入連鎖は、隣接ペア第一成分と第二成分のあいだの規範的な隣接関係によって可能になっている連鎖であると言える。挿入連鎖の中にさらに挿入連鎖が挟まれ、何重にも入れ子になった連鎖が形成されることもある。
後続連鎖

隣接ペア第一成分のあとには第二成分がくることが適切であるが、第二成分のあとは、特にそうした制約はない。そこで会話が終わってもよいし(挨拶だけが交わされる会話など)、新たな行為連鎖が開始されてもよい。しかし、第二成分のあとでその行為連鎖が終わらず、さらに行為が付け足されることで連鎖が拡張される場合がある。


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