会計事務所
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この項目では、国際的な公認会計士制度全般について説明しています。

日本の公認会計士制度については「公認会計士 (日本)」をご覧ください。

会計
主要概念
簿記 - 時価会計
現金主義 - 発生主義
環境会計
売上原価 - 借方 / 貸方
複式簿記 - 単式簿記
後入先出法 - 先入先出法
GAAP / US-GAAP
概念フレームワーク
国際財務報告基準
総勘定元帳 - 取得原価主義
費用収益対応の原則
収益認識 - 試算表
会計の分野
原価 - 財務 - 法定
基金 - 管理 -
財務諸表
貸借対照表
損益計算書
キャッシュ・フロー計算書
持分変動計算書
包括利益計算書
注記 - MD&A
監査
監査報告書 - 会計監査
GAAS / ISA - 内部監査
SOX法 / 日本版SOX法
会計資格
JPCPA - ACCA - CA - CGA
CIMA - CMA - CPA - Bcom
税理士 - 簿記検定
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公認会計士(こうにんかいけいし、(: certified public accountant、略称:CPA)とは、会計専門家である。各国の制度によってその業務の範囲と比重は異なるが、共通して会計監査財務諸表監査)を独占業務としている。そのほかに経理業務やコンサルティング業務、税務業務[注釈 1]も行う。

公認会計士の主な業務である財務諸表監査は、財務情報が適正に表示されているかどうかについて、独立した立場から意見を表明するものである。これは、上場会社などの社会的に影響力の大きい会社に義務付けられている。その意義は、虚偽の財務情報によって投資者や債権者などの利害関係者が損害を被ることを防ぐことにある。財務諸表監査が行われないとすると、証券市場を投資家が信認することができなくなり、経済の活性化が阻害される。その意味で財務諸表監査は経済の発展に資しており、公認会計士制度は重要な経済インフラであると言える[注釈 2]。こうした公認会計士の役割はしばしば「資本市場の番人」[1][2][3]と呼ばれる。

財務諸表監査を行う公認会計士は比較的大規模な会計事務所(4大会計事務所4大監査法人など)に所属して活動する。また最近では会計に関する助言、立案および経営戦略の提案などのコンサルティング業務が公認会計士の業務として重要になってきている。最高財務責任者や最高経営責任者などの経営者の職に就くものもいる[注釈 3]

日本における三大難関国家試験の内の一つとして位置づけられる。日本の公認会計士制度については公認会計士 (日本)を参照。
起源「監査の歴史」および「会計史」を参照

公認会計士制度を完成させたのはイギリスである。以前の簿記は基本的に現金主義であくまで現金や債務債権および在庫の記録のみに終始した。ところが産業革命に伴う資本投資および在庫の拡大、さらには金融業の発達に伴う貸借の複雑化などから発生主義会計が重視されるようになり、減価償却などそれまでの簿記に含まれていなかった概念が登場し、会計処理の需要が急増した。当初は専門職として成立していなかったが、19世紀に至ると会計士が専門の組合「会計士協会」を形成する。1853年にスコットランドエディンバラで成立したエディンバラ会計士協会は1854年10月23日に国王より勅許(Royal Charter)を受け、ここに世界最初の公認会計士が誕生した。

さらに、株式会社が資本主義において重要な位置を占めるようになると、会社の経営陣と所有者(株主)の分離がおこり、企業の株(および債券)が有価証券として市場で取引されるようになる。結果としてこれまでは内部資料に過ぎなかった企業の会計資料がこれらの有価証券の公正な価格の基準として公共性を帯びるようになる。前述のエディンバラ会計士協会の会員であるウィリアム・クィルター(William Quilter, 1808年 - 1888年)は、株主が監査を行うことを不適当であるとし、「監査の独立性」を強く主張する。その後、イギリスでは株式市場に上場する企業の財務諸表に関する適正性を証明する監査業務に関しては公認会計士に独占的業務権が法的に与えられる。
業務の概要

公認会計士は、財務書類の監査や証明(保証業務)を主な業務としている。業務の性質上、監査対象からの独立性を確保することが求められており、監査・証明業務と一部の業務の同時提供は禁じられている。

公認会計士の業務は、監査、経理、財務、コンサルティングに大まかに分別される。日本では、税務業務に関しては税理士の独占業務となっているため、税理士登録して税理士となることによりはじめて行うことが可能となる。また最近ではこれに金融とIT関連業務が付加されている。

公認会計士になるためには監査事務所に見習いとして就職し資格試験を合格して監査人としての業務を行うことが典型的であった。しかし最近は監査業務の延長としてのコンサルティング業が会計士の業務に大きな割合を占めるようになってきた。実際に世界四大会計事務所の業務収入の内訳を見てみると監査収入が三分の一ほどで残りの三分の二は企業相手のコンサルティングから得られている。このことを反映して海外、特に英米での公認会計士の最終試験の内容も大いに変わってきている。

例えば米国では会計士事務所よりはむしろ大企業や政府に所属して会計・財務・経営計画などの中核メンバーとして働いている者の方が多い。概算で4割は会計事務所で監査業務等に従事、6割は事業会社や官公庁の経営職として最高財務責任者さらには最高経営責任者といったポストに就く。イギリスの公認会計士の最終試験は例外なくケーススタディ(実際におこりうる経営問題の解決)である。試験の一月前に架空の会社の資料を渡され、試験の開始直前に与えられる経営問題に対して会計学および経営学を駆使して回答するという内容である。経営問題は、企業買収、新市場に参入、節税対策など多岐に及ぶ。(例 ⇒[1])英米の会計士団体は公認会計士の資格をMBAの上位資格として位置付けようとしている。

日本においては、公認会計士は監査の業務に集中する。これは日本では公認会計士の資格の保持者が極端に少ないことと、会計士と別の税理士の資格が存在すること。さらに監査以外の業務で公認会計士が収入を得ることは外部監査の独立性が損なわれる可能性があるため法律で制限されているなどの事情による。また日本においては、公認会計士よりも基礎となる簿記の資格を企業の社員が収得して、他の業務を行う場合が多い。日本国外、特に欧米では監査法人で多数の企業の会計を扱ったあと、民間企業に経理、税務、あるいは財務担当の専門職に天下る、あるいは投資銀行などの金融機関で企業査定の専門家として転職する、コンサルティング会社に就職するなど多彩なキャリアが存在する。日本国外の公認会計士の資格は日本の公認会計士の資格と簿記の資格の中間にあると認識するとその業務内容の多彩さが理解しやすい。
会計士補

日本において、2005年までは公認会計士試験合格者に「会計士補」という資格が与えられていたが、2006年1月1日に施行された改正公認会計士法により、2006年度以降は会計士補の制度は廃止された。ただし、改正法附則の規定により、公認会計士法改正前から会計士補であるものについては、公認会計士の補佐を行うことのほか、会計士補として独立して公認会計士法第2条第2項の業務を行うことができる。また、税理士登録が認められるものは公認会計士であることから、他で税理士登録要件を満たしていない限り、会計士補は税理士業務を行うことはできない。現在は、公認会計士試験に合格した者のうち、公認会計士となる資格要件を満たしていない者は「公認会計士試験試験合格者」と呼称される。
業務領域の例
監査

監査・証明業務ともよばれる。この場合はAudit&Assuranceと英語で表記され、監査と(会計)証明業務という関連する二つの業務を指す。監査(かんさ、auditまたはauditing)とは、ある事象・対象に関して、一定の規準に照らして証拠を収集し、その証拠に基づいて何らかの評価を行い、評価結果を利害関係者に伝達すること。これが会計学においては財務会計の基準にてらして行われる監査証明業務と、管理会計の基準にてらしておこなわれる業務監査(内部監査)に分かれる。会計証明業務とは、他人の求めに応じ報酬を得て、特定の基準に沿って財務書類の監査および証明を行うことである。ほとんどの国でこの業務は公認会計士が行わなければならないと法律で定められているだけでなく、株式市場に上場している企業においては公認会計士による会計監査を受けることが法律で義務付けられている。また日本の公認会計士は、独占業務として財務書類の監査・証明業務(通称1項業務)を行える。

一方の業務監査とは「組織体の経営目標の効果的な達成に役立つことを目的として、合法性と合理性の観点から公正かつ独立の立場で、経営諸活動の遂行状況を検討・評価し、これに基づいて意見を述べ、助言・勧告を行う監査業務、および特定の経営諸活動の支援を行う診断業務」がその本質とされるものである。


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